<< 東京市場の動き >>
8日の東京市場は、ドルが小じっかり。レンジは狭いが、昨日に続き本日も「寄り付き安・大引け高」に近い値動きをたどっていた。
ドル/円は寄り付いた107.20円レベルを日中安値に緩やかな右肩上がり。堅調に推移した日米株価などを背景に、夕方には107.45円レベルをつけ、昨日高値に一時面合わせした。その後はやや上げ渋るも底堅く、ドルは強保ち合い。16時時点では107.35-40円で推移し、欧米時間を迎えている。
なお、円はユーロ/円やポンド/円などクロスも含め、全面安の展開。そうしたなか、もっとも上昇が目に付いたのはトルコリラ/円で、夕方に18円半ばまで一時急騰する局面が観測されていた。
一方、材料的に注視されていたものは、「米中貿易協議」と「米金融政策」について。
前者は、7日から始まった「米中次官級貿易協議」について、時事通信は「対立の小さい分野の合意を優先したい意向」などとし、中国サイドは米農産物の購入や金融市場の開放などをターゲットにしていると指摘。それに対する米国は「構造改革の確約を求める構え」と報じていた。ただ、そうしたなかトランプ米大統領から「米中通商協議の部分合意を認めない」旨の発言が聞かれており、いずれにしても交渉妥結の困難さが改めて示されている。
それに対して後者は、パウエルFRB議長の講演が実施され、中銀の独立の重要性を強調する発言が聞かれるも、金融政策についての言及はなし。しかし、そののちブルームバーグがボストン連銀総裁の発言として「利下げ支持派に加わらない」と指摘した反面、ミネアポリス連銀総裁は「増大する経済へのリスクに対応するため、利下げを継続すべき」と発言するなど見解がわかれる格好に。ただ、別途トランプ氏は「FRBが大幅な利下げを実施することを望んでいる」とプレッシャーを掛けていたようだ。
<< 欧米市場の見通し >>
先週末に掛けて形成したレンジ上限の107.15円、あるいは107.30円を昨日NY時間に上抜けてきた。一時107.46円まで上昇している。ドル高方向へのリスクが再燃した感も否めず、続伸を期待する声も少なくない。ただ、昨日高値は直近高値108.48円を起点とした下げ幅のちょうど半値戻しに当たるレベルで、上抜けたとしても107.55円レベルには移動平均の25日線が位置するなど、上方向の抵抗は相次ぐことになる。上値も重そうだ。
材料的に見た場合、「北朝鮮情勢」や「イラン・サウジ情勢」、「英国情勢」、「米貿易問題」、「米金融政策」のほか「トランプ氏のウクライナ疑惑」に対する関心も高い。それぞれに注意を払いたいが、目先とくに注視されているのは引き続き「米金融政策」と「米中貿易協議」について。うち後者は、新華社通信が「10-11日に実施する閣僚級協議は劉副首相が中国の代表を務める」と伝えたことなどもあり、またもや合意への期待感が再燃しつつあるようだ。再三再四指摘しているように、これまでの経験則では、期待感先行するも最後は失望で終えるということが多いのだが、そんな経験則を打破するような結末を迎えることが出来るのだろうか。
テクニカルに見た場合、ごく目先のレンジ上限である107.30円を上抜けてきたが、それでも過去1ヵ月程度推移している106.50-108.50円という大きなレンジのちょうど中間地点に位置しているだけだ。つまり、戻りも限られている状況で、明確な方向性はまだ乏しい。
108.50円の大きなレンジ上限に向けてドルが続伸するのか、それとも反落に転じ、再び106円半ば割れをうかがうのか、いましばらく動静をしっかりと見極めたいところだ。
一方、材料的に見た場合、9月の生産者物価指数という米経済指標が発表されるほか、昨日に続き本日もパウエル米FRB議長による講演が実施される見込みとなっている。昨日の発言機会でパウエル氏は金融政策について言及しなかったが、果たして本日は如何に。またエバンズ・シカゴ連銀総裁など、ほかの米地区連銀総裁の発言を警戒する声も少なくない。
そのほか、10-11日の「閣僚級協議」を前に、昨日から始まった「次官級協議」についても引き続き注意を払いたい。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、106.80-107.80円。ドル高・円安方向は、昨日高値にあたる107.46円が最初の抵抗。本日東京では面合わせするも、超えられなかった。しっかり抜ければ107.55円や107.70-75円などがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、本日東京安値を含めた107.10-20円の攻防にまずは注視。割り込んだ場合には、最近のレンジ下限である106円半ばが再び意識されそうだ。
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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