トルコリラ円レポート月曜版
まず、先週の振り返り(ショートコメント)ですが、テクニカルに上昇トレンド継続、高値追いの動きを考え「18.75レベルをサポートに19.25レベルをレジスタンスとする流れ」を見ていました。実際のレンジは、安値が18.66レベル、高値が19.16レベルと、直筋の高値19.11レベルを上抜けたにも関わらず大いなるダマシとなり売りが強まる週となりました。
先週のトルコリラ円は、前週の流れを受け週初は買いが先行し19.11レベルを上抜けたことで上昇に弾みが付きそうでしたが、火曜の海外市場以降は急速に下げる展開を見せました。ひとつには米国の経済指標が弱くリスクオフの円買いの動きとともに、流動性が低い通貨ということでドルトルコリラではトルコリラ売りが目立ったということがあります。これはフラッシュクラッシュがなぜ起きるかで以前説明した通りです。
また、トルコ国内の要因として「IMFがトルコの銀行の減損処理やローン債権再構築のやり方は見直すべきで、これらの資産に関するストレステストを実施すべきと提言した」(ロイター)ことで、これまで比較的楽観的な見通しが続いたトルコの金融市場に対して改めて警戒感も出てきたということがあります。ちょうど、週前半のリスクオフの動きの中で出てきたこともトルコリラ売りに繋がりました。
そして、週後半には「米当局者らは、トルコが間もなくシリア北部に大規模な進攻を行い、クルド人部隊との衝突を招くのではないかと懸念を強めている」(WSJ)という、これまで表向きは平穏に進んでいた対シリア問題の懸念も改めて持ち上がってきたこともトルコリラ売りとまでは行かないものの、トルコリラの上値を抑える要因となりました。その後の米中通商協議に向けての懸念による週明けの円買いの動きによって、早朝市場では先週安値を割り込む展開が見られました。
どれも大きな変動要因ではないかもしれませんが、高値を抜けたところでこれまでも言われてきたトルコの経済と軍事問題に対しての懸念が強まり、トルコリラ買いのポジション調整が起きたというのが先週の下げの理由と考えられます。しかし、本邦個人投資家は週初こそポジションを減らす動きとなっていたものの、その後週後半のもみあいの中では減らした分を買い戻す動きが目立ちました。それほど、大きな動きでは無い下げの後のもみあいではよく見られるパターンではあります。
今週ですがトルコ国内の材料としては経常収支程度しかありませんので、基本的にノーケアで良いかと思います。それよりは週を通してワシントンで続く次官級と閣僚級の米中通商協議の行方がどうなるか、そして最大の懸念はシリアに対しての動きですが、米国との中立地帯の話も含めてトルコがこれ以上の動きをするのかどうか、一歩間違えるとこれまで穏便に事を運んできた米国側が突然制裁等の話を持ち出してくるリスクが無いとは言えません。今回の場合、米国、トルコ双方とも国内の不満の目をそらすために軍事行動というのは考えておく必要がありそうです。
チャートを見てみましょう。いつもの4時間足チャート(上からトルコリラ円、ドルトルコリラ、ドル円)をご覧ください。
これまで続いてきた上昇チャンネル(ピンクの平行線)を完全に下抜いた動きとなっていることがわかります。その後はもみあいとなっていて、まだレジスタンスラインを引くには至りませんが、先週後半のもみあいの中で一時的に買われた際も抜けたサポートがレジスタンスとなっていて、18.90レベルが当面はレジスタンスとして効いてくるでしょう。
また下値ですが、このチャート内には示されていませんが、8月16日のミニフラッシュクラッシュ時につけた安値17.27と先週高値とのフィボナッチ・リトレースメントを計算すると38.2%押しが18.44(赤のターゲット)となっていて、当面は同水準をターゲットとしやすい流れにあると考えられます。
今週はテクニカルに下降トレンドに転じたことから戻りは鈍く、動き次第では一段の下げを想定する必要がありそうです。ターゲットに近い18.50レベルをサポートに18.90レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。
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