南アランド週報 『米中を巡るヘッドラインに振らされる展開。ファンダメンタルズ面での脆さが重石』

南アフリカランドは、テクニカル的にみて「持ち直し」の兆しが見られるものの、ファンダメンタルズ面の弱さを考慮すれば、リスクは依然「下向き」と考えられます。

南アランド週報 『米中を巡るヘッドラインに振らされる展開。ファンダメンタルズ面での脆さが重石』

米中を巡るヘッドラインに振らされる展開。ファンダメンタルズ面での脆さが重石

今週のレビュー(9/2−9/6)

今週の南アフリカランド・円相場(ZARJPY)は、週初6.999円で寄り付いた後、翌9/3に週間安値となる6.933円まで下落しました。しかし、一目均衡表転換線をバックに下げ渋ると、その後は、@南アフリカ・第2四半期GDP(結果+3.1%、予想+2.5%)が市場予想を大幅に上回ったことや、A香港情勢の好転、英合意なき離脱リスクの後退など、リスク選好の動きに繋がるポジティブ・サプライズが相次いだこと、B米中通商協議の再開合意(10月初旬)を受けて、中国と結び付きの強い南アフリカ経済への過度な悲観論が後退したこと等が支援材料となり、9/6には、約1ヵ月ぶり高値となる7.263円まで急伸しました。引けにかけて反落するも下値は堅く、結局7.222円付近での越週となっております。

来週の見通し(9/9−9/13)

南アフリカランド・円相場は、一目均衡表転換線にサポートされる形で反発に転じると、週央以降、ボリンジャー・ミッドバンドや、一目均衡表基準線の突破に成功しました。強い売りシグナルを表す一目均衡表・三役逆転の終焉や、8/12安値と8/26安値を起点としたダブルボトムの上放れなど、テクニカル的に見て、「下落→中立」へのトレンド転換が意識されます。

とはいえ、@南アフリカにおける景気後退リスクの高まり(※第2四半期GDPは市場予想を上回る結果となったものの、大幅マイナスを記録した第1四半期GDPの反動である可能性が高く、額面通りに受け取れないとの見方が大勢)や、A国営電力会社エスコムを巡る負債問題、B南アフリカ中銀(SARB)による追加利下げ観測(次回会合は9/19)、C米中対立激化を通じた南アフリカ最大の貿易相手国「中国」の景気下触れ懸念、D大手格付け機関の中で唯一投資適格級を付与しているムーディーズによる格下げリスクなど、ファンダメンタルズ面での不安要素が南アフリカランドの上値を抑制する状況に変わりはありません。

上記Cについては、米中通商協議の再開合意(10月初旬)を受けて、リスク回避的なランド売りの動きはひとまず後退しましたが、まだまだ油断は出来ません。中国商務省は「米国へのWTO提訴を取り下げる計画はない」と発言している他、トランプ米大統領も「中国の米債売却リスクは心配していない」と、両者の溝は一向に埋まる気配を見せておりません。米中を巡る楽観ムードが突如急変(悪化)するリスクは少なくなく、今後も、潜在的な売り圧力として残存しそうです。

また、上記Dについても、国営電力会社エスコムに対する政府支援策の発表を契機に、「南アフリカ財政の悪化懸念→南アフリカ国債の格下げ→グローバル債券指数構成国からの除外→非居住者による証券投資の逆流→経常赤字の拡大→南アフリカランド売り」への連想が強まりつつあります。ムーディーズによる定例格付見直しは11/1に行われる見通しであり、時期が近づくに連れて、南アランド売り圧力が強まると考えられます。

以上の通り、南アフリカランドは、テクニカル的にみて「持ち直し」の兆しが見られるものの、ファンダメンタルズ面の弱さを考慮すれば、リスクは依然「下向き」と考えられます。米中を巡るネガティブな報道が見られれば、楽観ムードが一転して悲観ムードに切り替わるリスクもあり、「南アフリカランド」の上値を積極的に追っていく展開にはならないと予想いたします。米中を巡るヘッドラインや、南アフリカ経済指標の結果を睨みながらも、来週はやや反落リスクに警戒が必要でしょう。(来週の予想レンジ ZARJPY 6.900ー7.500)

米中を巡るヘッドラインに振らされる展開。ファンダメンタルズ面での脆さが重石

南アランド円日足

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