トルコリラ円レポート月曜版(2019/6/3)

先週はトルコ中銀が月曜に預金準備率を2%引き上げる発表を行いましたが、このこともトルコリラを下支えした要因です。

トルコリラ円レポート月曜版(2019/6/3)

トルコリラ円レポート月曜版

まず、先週の振り返り(ショートコメント)ですが、やや下方向に余裕を持たせて「18.20レベルをレジスタンスに、17.60レベルをサポートとする週」を見ていました。実際のレンジは、安値が17.84レベル、高値が18.67レベルとトルコリラ円は週初安値の後はじり高の一週間となりました。

先週のトルコリラ円は、週前半は直近2週間の安値を下抜けなかったことからテクニカルな買い戻しが先行しましたが、その後はトルコリラ売り規制がとりあえずは効いている様子で目立った好材料が無い中でも積極的に売りにくい雰囲気となっていました。さらに先週はトルコ中銀が月曜に預金準備率を2%引き上げる発表を行いましたが、このこともトルコリラを下支えした要因です。

しかし、引き続きロシアからのS400購入問題や、今月のイスタンブール市長再選挙といった不安材料のほうが多いことには気を付けなくてはなりません。そしてトルコにおける一連のトルコリラ売り防止策ですが、広い意味で介入と似たような効果を狙っているのですが、通貨防衛というのは歴史的に成功した試しがありません。

古くはドル安による変動相場制移行、ソロス氏を一躍有名にしたポンド売り浴びせによる英国のERM離脱、新しいところでは2015年のスイス中銀の対ユーロ介入停止、と失敗例はいくらでもあげることができます。やはり、自国経済にそぐわない通貨防衛は無理をしているために歪みが生じ、最終的には想定以上の急落に結びつくというのが、これまでに見てきたパターンです。

いまだにトルコが通貨防衛策を取っているということは、長期的には昨年の史上最安値をどこかで下抜けるような急落が待っている可能性が高いと考えざるを得ません。そして、こうした防衛策を切り抜けるため、投機筋は一気に仕掛けて24時間以内に勝負を決めに行くために暴落相場へと繋がるということだけは頭の片隅に留めておくべきでしょう。

さて、目先の話ですが、今週は本日CPIの発表があり、前年比、前月比とも低くなる予想です。予想通りであればトルコにとっては好材料となりますが、予想に反して高い数字が出てくると上値を抑えやすくなります。また今週はトルコが火曜から木曜まで祝日(砂糖祭)となっていて、本日から前夜祭が始まることを考えると動き自体は鈍くなりがちです。

今週は何も無ければ動きが鈍そうですが、米国発の貿易摩擦の動きには引き続き注意が必要です。先週金曜はトルコリラへの影響は見られなかったものの、これ以上のリスクオフの動きが出てくるとなると、連休の間の休場で流動性が低下するでしょうから、下げるリスクの方がより高いと思われ明日からの主要株価指数動向にも念の為注意したいところです。

それではテクニカルな観点から、いつもの4時間足チャート(上からトルコリラ円、ドルトルコリラ、ドル円)をご覧ください。

トルコリラ円レポート月曜版

ドルの観点で見ると対トルコリラも対円もドル売りとなっていましたが、先週は対円以上に対トルコリラでドルが売られる動きからトルコリラ円が上がったのですが、タイミングで見るとテクニカルな要因も大きかったことがわかります。

トルコリラ円は、先週水曜まで5月初めからのトライアングル(三角もちあい、青のサポートラインとピンクのレジスタンスライン)を形成中でしたが、木曜にこのトライアングルを上抜けたことで買いが先行しやすい地合いに転じました。さらに、前週高値から3週前高値までをことごとく上抜いたことで買いに弾みが付いた動きと捉えることができます。

テクニカルには現状は青のサポートラインと平行に引いたライン(同じく青のライン)とで構成される上昇チャンネル内での動きと考えることができ、上抜けたレジスタンスがサポートとなることから、ピンクのレジスタンスラインと、上昇チャンネルとの上限の間での動きに短期的にはなってきていると見ることとなります。

今週は緩やかな上昇トレンドを継続しやすいのですが休場も長いため、18.10レベルをサポートに、18.80レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。また、繰り返しになりますが上昇トレンドはいつまでも続かないという点だけは忘れないようにしてください。

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