ユーロ週報 ポンドの動きに追随し一段安か(4月第1週)

先週のユーロは、週初からじり安の動きを続け火曜以降は連日安値を切り下げていく流れとなりました。

ユーロ週報 ポンドの動きに追随し一段安か(4月第1週)

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロは、週初からじり安の動きを続け火曜以降は連日安値を切り下げていく流れとなりました。しかし、週を通しても値幅は120pipsと目立った動きとはなっていません。ここに至るまでECB理事会、FOMCと世界的な景気減速懸念を一通り織り込み、4月12日に向けて英国が合意無き離脱へと向かう可能性が一段と高まったことから上値の重たい展開が続いていると言えます。

今週も欧州からは連日のように経済指標が発表されますが、すでにドラギECB総裁が利上げ時期の一段の後退に言及していますし、四半期末を控えているということも重なって積極的な取引は見られませんでした。英国の離脱期限は4月12日へと延期されたものの、金曜の英国議会では修正離脱案は3度目の否決、このままで行くと12日でもって合意無き離脱ということになります。

その場合でも、英国政府は暫定的に関税ゼロといった方針を示していますが、合意の有無によって今後の英国とEUだけでなく世界各国との交渉に影響が出てくるでしょうし、少なくとも英国、ポンドにとって好材料とは言えません。すでに残り11日ですから、結果を見るまでポンドもユーロも上値が重たくなりやすいこと、また仮に合意に至ったとしても長期的な英国の環境変化を考えると戻りは鈍いと言わざるを得ません。

ただ、ポンドもユーロも下げてきたことで、米ドル上昇につながりドルインデックスは金曜時点で96.91まで上昇しました。個人的にドルが買われ過ぎの水準を97と考えていることがあり、その点はやや気になります。現状、欧州通貨は買いにくいものの、ここからのドルの一段高については、いつトランプ大統領が口を挟んできてもおかしくはないという警戒感だけは持っていたいものです。

日足チャートをご覧ください。

今週の週間見通しと予想レンジ

日足チャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

チャートとしては年初来高値以降、ほぼ高値安値とも切り下げる下降チャンネルの中での推移を続けています。平行ではないのですがレジスタンスに合わせ、下値のラインと中間ラインを引いてあります。最近のユーロは値幅を伴わない動きが多いものの、大きくはこの下降チャンネルの中で中間ラインよりも上でレジスタンスに近づくと買われすぎ、同じく中間ラインより下で下限(サポート)ラインに近づくと売られすぎといった動きとも見えます。

今週時点では下限ラインは1.11台前半まで下がってきますが、ポンドの動き次第ではトライしてもおかしくはない水準です。これまで動きが鈍かったものの新しい月に入ったことや、いよいよ合意無き離脱の警戒が高まっていることを考え、今週のユーロドルは、インターバンク勢が好むゾロ目1.1111レベルをサポートに1.1300レベルをレジスタンスとする一週間を見ておきます。

今週のコラム

合意無き離脱懸念が広がる中でも、不思議なほど英国株は強い地合いを保っています。米国株が上がっているから連れ高という見方もできなくはありませんが、NYダウが2月高値を超えられない中で英国株価指数(FT100)は、2月高値を上抜けてさえいます。

日足チャートをご覧ください。

今週のコラム

上段がFT100、下段がダウです。FT100は昨年末の安値からいまだ平行上昇チャンネル(ピンク)の中での推移をしていることがわかります。ポンドもかなり強い動きをしていましたが、3月に入り変調して上値を重くしてきています。

ポンドもFTも不自然なほどの強さで、誰か(AI?)が仕掛けているように思えます。FTが下げに転じる動きが出てきた時こそ英国売りのような気がしているため、当面は注視していこうと考えています。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。

4月1日(月)
 **:** 欧州・英国夏時間
16:50 フランス3月製造業PMI改定値
16:55 ドイツ3月製造業PMI改定値
17:00 ユーロ圏3月3月製造業PMI改定値
17:30 英国3月製造業PMI
18:00 ユーロ圏3月CPI速報値
18:00 ユーロ圏2月失業率


4月2日(火)
17:30 英国3月建設業PMI
18:00 ユーロ圏2月PPI

4月3日(水)
16:50 フランス3月サービス業PMI改定値
16:55 ドイツ3月サービス業PMI改定値
17:00 ユーロ圏3月サービス業PMI改定値
17:30 英国3月サービス業PMI
18:00 ユーロ圏2月小売売上高
**:** 米中通商協議(閣僚級)


4月4日(木)
15:00 ドイツ2月製造業新規受注
20:30 ECB理事会(3月7日)議事要旨公表


4月5日(金)
15:00 ドイツ2月鉱工業生産
15:45 フランス2月貿易収支
21:30 米国3月雇用統計

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時~NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

3月25日(月)
ユーロドルは、東京前場から値幅は伴わないものの、週末の下げの調整の買い戻しが先行しました。海外市場に移ってからは動きを止め1.13台前半の狭いレンジの中で様子見の流れのまま引けました。


3月26日(火)
ユーロドルは東京市場では小動き、欧州市場序盤にはやや買いが見られたものの、全般的なドル買いの動きに沿ってユーロは下落。NY市場では金曜安値を下抜け1.1263レベルをつけて安値引けとなりました。


3月27日(水)
ユーロドルは前日からの下げの流れを継続、欧州市場では一時的に買い戻しも出たものの、イタリアの低い成長率見通しやECBドラギ総裁の利上げがさらに後退する可能性に言及したことをきっかけに再び売られる流れに。引けにかけては1.1242レベルへと押し、連日の安値圏での引けとなりました。

3月28日(木)
ユーロドルは、東京市場では動意薄だったものの、火曜以降連日の安値切り下げの動きから前日安値を下抜けるとストップオーダーも巻き込んでじり安、何も決まらない英国議会の状況からポンド売りの動きもユーロの上値を抑えました。NY前場には1.1214レベルの安値をつけ、若干戻して引けました。


3月29日(金)
ユーロドルは、英国議会でブレグジット3回目の採決を巡って、合意可能性の有無をめぐる思惑からポンドが上下に触れる展開となり、ユーロドルはその動きを値幅を狭めて追随しました。結局は3回目も否決、ユーロドルも1.1211と週間安値を更新後も安値圏での月末クローズとなりました。

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