ユーロは横方向、若干底堅い展開か(週報1月3週)

先週のユーロは週初からユーロがじりじりと水準を下げる動きが続きましたが、これは

ユーロは横方向、若干底堅い展開か(週報1月3週)

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロは週初からユーロがじりじりと水準を下げる動きが続きましたが、これはドル円同様に株式市場のリスクオンの動きがドル買いとなった影響が大きかったと言えます。また英国議会でブレグジット案が否決され、修正対案の提示が今週に先延ばしとなったこともユーロの不透明感が広がる要因になったと言えます。

本日の対案とその後の与野党の合意があればブレグジットの期限自体を延期する可能性も出ていて、どうも12月の採決延期以降はブレグジット関連の予定先送りが続いていて、なかなか動きにくい流れと言えます。また週末にはドイツ与党CDU・CSUのCSU党首選が実施されましたが、こちらはゼーホーファー党首の後任にバイエルン州のゼーダー首相が新党首になることが決まり、既定路線ということで週明けのユーロの動きには影響が出ていません。

今週は本日のブレグジット代替案提示、そしてそれ自体の採決が29日と来週です。まずは本日の代替案を見てみないと何とも言えないでしょうが、予想では代替案もまた否決されるという見方が多いようです。その場合今度は議会側が代替案を作成することとなりますが、それにかかる時間が3週間程度と言われますので、その段階で既に2月19日です。そして議会側の代替案も通らない場合、委員会委員長で検討する可能性(このあたりは憶測に過ぎない)があるそうです。

そのような状態では、とても3月29日の期限に間に合うとは思えず、仮にEU側が期限の延期を認めれば英国議会で意見がまとまるまでEUに残留、EU側が何も譲歩しない場合にはハードブレグジット(合意無き離脱)ということになるでしょう。前者の場合でもこれまでのように意見がまとまらないままでは、結局ハードブレグジットとなりますし、再度の国民投票は相当にハードルが高く、現段階では考慮する材料では無いと考えます。

こうしたことを考えるにつけ、不透明感からポンド売りとユーロ売りが出やすい時期であろうと考えていましたが、実際のところユーロはドルの影響でじり安となっただけで、ポンドに至っては買われています。採決直後に下振れはあったものの、その後はユーロとは方向を変えての上昇相場です。ドル円の週報でも円の動きがしっくりこないと書きましたが、ユーロの週報です、ポンドの動きがしっくりこないことを書いておこうと思いました。

上記のことからポンドを買うのは無理がありますので、長期的にポンド売りで入っていた投機筋によるポジションの巻き返しが起きているのであろうと推測しています。ただ、これも米国連邦機関一部閉鎖の余波でCFTCのレポートが出ていないため、正確なところはわかりません。いずれにしても、為替市場ではここ半月ほどそれぞれの通貨ペアで歪みが生じていると個人的には見ています。

また、欧州の材料として今週はECB理事会とドラギ総裁会見が最大のイベントです。現状ではECBの利上げが米国同様に後ろにずれてきていると市場参加者は考えていますが、そのあたりに言及があるかどうか、総裁会見の内容次第では一時的に振れる可能性もありそうです。

テクニカルにはどうでしょうか。ユーロの場合、仮にポンドが上昇傾向を続けても、あるいは調整で売りが出ても直近の緩やかな下降トレンドは継続、ただし中長期的には緩やかな上昇トレンドの中で現状が下降トレンドにあるという見方で良いと思います。
日足チャートをご覧ください。

今週の週間見通しと予想レンジ

日足チャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

サポートラインは11月の2018年安値と12月安値を結んだサポートライン、そのラインに平行な上昇チャンネルを引いてあるのは前回と同じですが、今回は両線の中間に補助線を引いてあります。この平行上昇チャンネルが上述した中長期の上昇トレンドです。現在は先々週高値からの反落で改めてサポートラインに近づく動きとなっていて、これが短期的な下降と連です。このサポートは今週1.13台前半を緩やかに上昇しています。

今週は他所の振れがあったとしても、このサポートラインと補助線との間での動きとなる可能性が高いと見ていますが、そうであるとするとユーロドルは横方向への動きとなります。今週のユーロドルは1.1325レベルをサポートに1.1450レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。

今週のコラム

今週のコラム

今週はコメントでブレグジットに関する話が中心でしたからポンドドルのチャートを見てみましょう。

コメントで書いた通りですが1月3日のドル円急落でポンド円が売られた影響で12月安値を下回っていますが、12月安値と3日のローソク足実体安値を結ぶとそれらしいサポートラインとなっていて、ブレグジット案否決直後の安値もこのサポートラインで止まっています。

また、それに平行に引いたラインで上昇チャンネルを描いてありますが、テクニカルな面からだけ見ると、ポンドはこの上昇チャンネルの中を長期レジスタンスライン(ピンクの太線)に向かって上昇しているようにも見えます。材料的には不透明なことばかりですが、ポンドの買い手はテクニカルなファンドあたりも入ってきているのかなと思わせるチャートではあります。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。

1月21日(月)
**:** NY市場休場
16:00 ドイツ12月PPI
**:** ブレグジット代替案提示
**:** ユーロ圏財務相会合

1月22日(火)
18:30 英国12月失業率
19:00 ドイツ1月ZEW景況感指数
19:00 ユーロ圏1月ZEW景況感指数
**:** ダボス会議(〜25日)

1月23日(水)
16:45 フランス1月企業景況感
24:00 ユーロ圏1月消費者信頼感速報値

1月24日(木)
17:15 フランス1月製造業・サービス業PMI速報値
17:30 ドイツ1月製造業・サービス業PMI速報値
18:00 ユーロ圏1月製造業・サービス業PMI速報値
21:45 ECB理事会
22:30 ドラギECB総裁会見

1月25日(金)
18:00 ドイツ1月ifo企業景況感

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時~NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

1月14日(月)
東京市場が休場となっていたこと、英国議会でブレグジット案の採決を控えていることもあってユーロは全く動意の無い値動きが続きました。値幅も1.14台半ばから後半のわずか30pips程度の狭いレンジでの取引に終始して引けました。

1月15日(火)
ユーロドルは東京市場では小動きとなっていたものの欧州市場序盤に発表されたドイツのGDPが弱かったことをきっかけにユーロ売りの動きが目立ちました。その後はいったん持ち直したものの、ポンドの下げと買い戻しに沿ってユーロも一時1.1382レベルまで下げた後に買い戻されての引けとなりました。

1月16日(水)
ユーロドルは、ブレグジット案否決とNY時間後場のメイ首相不信任案採決を前に上下はあったものの1.14を挟んで方向感のはっきりしない流れが終日続きました。不信任案はさすがに与党の造反者も無く否決されたことで、次は21日のブレグジット修正対案の発表待ちとユーロの取引をしにくい流れの一日となっていました。

1月17日(木)
ユーロドルは前日同様に方向感が無い流れが終日続き、中心レンジが前日から10pips程度下がった以外はこれといって目立った動きはありませんでした。ブレグジットに関して与野党間の合意が取れれば期限延期もありうるとのニュースが出ていましたが、与野党間の話し合いはこれから、対案提示も21日と現時点では動きにくくユーロは蚊帳のその状態が続きました。

1月18日(金)
ユーロドルは、週明けに示される予定のブレグジット対案を前にしてNY市場までは連日の様子見展開が続きました。しかし、NY市場では米中間の通商協議進展思惑を材料にダウが大幅上昇、ドル円上昇の影響もあってユーロは1.13台半ばまで押しての週末クローズとなりました。

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