ユーロドル テクニカルに一段安を見込む(8月第2週)

これまでも1.15の大台手前で反発する動きを繰り返してきましたが、月曜に売りが強まった時にも1.1530レベルとトライしきれなかったことから、改めて買いが出た印象です。

ユーロドル テクニカルに一段安を見込む(8月第2週)

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロドルは、週初の段階で5月から続くトライアングルを下抜けたことで上がっても下がってもユーロ売りに結びつきやすいスタートを切りましたが、木曜東京市場までは一貫した押し目買いの動きが続きました。これまでも1.15の大台手前で反発する動きを繰り返してきましたが、月曜に売りが強まった時にも1.1530レベルとトライしきれなかったことから、改めて買いが出た印象です。

しかし、木曜にトルコリラ円が史上最安値を更新する動きから、クロス円全般に円買いが目立つ動きとなりユーロ円でもユーロ円の売りが強まったことからユーロドル売りと、連鎖する動きによりユーロが月曜安値をトライして金曜に入りました。そこにECBが欧州の銀行が保有するトルコ資産に懸念を示したことで、ユーロ売りがトルコリラ売り、またユーロ売りとこちらも連鎖する動きをトルコとユーロの間で繰り返しました。

結局トルコリラが暴落相場となったことでユーロドルも1.13台後半へと水準を大きく下げ、昨年7月以来の安値を見ての週末クローズとなったのですが、この1年ぶりの安値水準に入ってきたことで、ユーロドルは更に地合いが悪くなってきています。

今週はユーロ各国の経済指標が出てきますが、焦点が米国対トルコの情勢となりますし、なんといっても長期のチャートの形の悪さが、今週も上がっても下がってもユーロ売りの動きに繋がるのではないかとの懸念しか持てません。

まずは次のユーロドル週足チャートをご覧ください。

今週の週間見通しと予想レンジ

水色の点線で示したような変形ヘッド&ショルダー型のリバーサル(反転)パターンと見ても良いでしょう。トライアングルが数か月程度のパターンに対して、こちらは1年超の長期チャートパターンです。ネックラインをピンクの点線1.1508と考えると、ターゲットは1.0461とかけ離れた水準となってしまいますので、ここでは2017年安値1.0338と2018年高値1.2555をベースにフィボナッチリトレースメントを考えます。

既に半値押しの1.4447は下抜けていますので、61.8%押しを考えます。この61.8%押しの1.1185が中期的なユーロドルのターゲット(赤のターゲット)になってくると考えています。

次に日足チャートもご覧ください

今週の週間見通しと予想レンジ 2枚目の画像

日足チャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

収支チャートの拡大版ですから、トライアングルの下抜けがよくわかります。ご丁寧に下抜けた後のプルバック(ダマシの戻し、ピンクの丸印)でサポートライン近辺へと戻してから下げたことで、下げがよりきつくなるパターンです。ここでは、6月高値から6月安値への押し、その後に7月高値への戻しを3点とした逆N波動によるフィボナッチエクスパンションを考えます。すると、100%エクスパンションの1.1447が先の半値戻しと一致することがわかります。

先の61.8%押しの手前では127.2%(161.8%の平方根)エクスパンションが1.1354となっていて週初は同水準を試し、その後の展開次第では161.8%エクスパンションにあたる1.1235レベルをトライしやすい地合いにあると言えます。今週は更なる下げの可能性を考え、1.1250レベルをサポートに、1.1450レベルをレジスタンスとする値動きを考えておきます。

今週のコラム

先週時点では「上値の重たい展開を継続しやすく、まずは128.30、次に127円台半ばをターゲットとする流れ」を考えましたが、ことごとくターゲットを下抜け既に125円台に入ってきています。

先週のチャートから抜けてしまったターゲットを消し、新たなターゲットを示した日足チャートをご覧ください。

今週のコラム

現在のターゲットは5月安値の124.61であることは明確です。しかし、同安値を下抜けた場合には目立ったサポートが無いことも事実で、あえてあげるとなると昨年6月安値の122.40くらいです。そこで前回も示した7月高値を起点とした逆N波動にフィボナッチエクスパンションを計算すると127.2%(161.8%の平方根)エクスパンションが123.70となります(青のターゲット)。

現在のユーロ円は、ユーロドル同様にトルコリラ情勢も見ながら一段安を考えるべき地合いにあると考えるべきでしょう。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。

8月13日(月)
 特になし

8月14日(火)
15:00 ドイツ4〜6月期GDP速報値
15:45 フランス7月CPI改定値
17:30 英国7月失業率
18:00 ユーロ圏4〜6月期GDP改定値
18:00 ドイツ8月ZEW景況感

8月15日(水)
17:30 英国7月CPI

8月16日(木)
15:00 ドイツ7月PPI
17:30 英国7月小売売上高
18:00 ユーロ圏6月貿易収支

8月17日(金)
18:00 ユーロ圏7月CPI改定値

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。

前週のユーロ

8月6日(月)
ユーロドルは、東京市場では動きが無かったものの欧州市場に入り売りが強まったポンドの動きを見て1.1530レベルへと安値を切り下げましたが、その後はユーロポンドでの買いや相変わらず1.15台前半に残っているユーロ買いオーダーに阻まれて反発、1.1570レベルと日中高値を更新後にやや押しての引けとなりました。

8月7日(火)
ユーロドルは、基本的にドル円とドルの歩調を合わせる動きとなり、NYの朝方まではユーロ買いが目立ちました。その後は米国株が上昇する動きも手伝ってドル買い・ユーロ売りとはなったものの、リスクオンによるユーロ円の買いも強かったことで、比較的底堅い地合いのまま引けました。

8月8日(水)
ユーロドルは、東京後場まではドル売りの動きで買いが先行していたものの、ポンド売りに引っ張られて売りへと転じ、NY朝方には1.1574レベルの安値をつけた後に米株安によるドル売りからユーロの買い戻しが入って引けました。

8月9日(木)
ユーロドルは、東京市場では動きが見られませんでしたが、欧州市場に入りユーロクロスの売りが目立ちじり安の動き、その後は対新興国通貨での円買いがリードする形でユーロ円が大幅安。ユーロ円の売りがユーロドルへと波及しNY市場では一貫して売りが続き1.1526レベルと週間安値を更新しての安値引けとなりました。

8月10日(金)
ユーロドルは、トルコに資産を持つ欧州系銀行に対してECBが懸念を示したことからユーロ売りが先行、米国のトルコに対する制裁関税からトルコリラが急落するとさらにユーロが売られと、ユーロドルは1.1388レベル、ユーロ円も126.02レベルの安値をつけました。

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