トルコリラ円見通し ドル円が年初来高値更新するもドル高リラ安継続で上値の重い展開(23/5/24)

トルコリラ円の5月23日は概ね7.00円から6.82円の取引レンジ、24日早朝の終値は6.97円で前日終値の6.98円からは0.01円の円高リラ安だった。

トルコリラ円見通し ドル円が年初来高値更新するもドル高リラ安継続で上値の重い展開(23/5/24)

ドル円が年初来高値更新するもドル高リラ安継続で上値の重い展開

〇トルコ円、5/23午前7.00へ上昇するも伸びず、ドル円の高値更新の場面でも戻り高値をやや切り下げる
〇5/23午後の一時的なドル買いリラ売りによる下落以外は、6.95から7.00のレンジ推移
〇対ドル、5/23は概ね19.93から19.62の取引レンジ、取引時間中・終値ベースともに史上最安値を更新
〇オアン氏がエルドアン支持を表明、エルドアン現大統領再選の可能性高まり、市場は状況悪化を懸念
〇6.95以上での推移中は上昇余地ありとし、7.00超えからは7.03前後への上昇を想定
〇6.95割れからは6.93試しとし、6.93割れからは6.90、6.88を順次試す下落を想定

【概況】

トルコリラ円の5月23日は概ね7.00円から6.82円の取引レンジ、24日早朝の終値は6.97円で前日終値の6.98円からは0.01円の円高リラ安だった。
対ドルでリラの最安値更新が連日続く中、トルコリラ円はリラ安を気にしつつも目先はドル円を追いかける展開を続けている。
ドル円は5月19日早朝高値138.74円から19日深夜安値137.42円へ下げたものの、米地区連銀総裁らの利上げ継続支持発言等を背景に22日夜から上昇再開感を強めて23日午前には138.87円を付けて19日早朝高値を超え、いったん138円台序盤へ下げてから夜高値で138.90円を付けて年初来高値を更新した。

トルコリラ円はドル円の上昇に合わせて5月11日夜安値6.83円から19日早朝に7円台に到達したところでドル円の反落とドル高リラ安により19日深夜に6.94円へ下落し、22日午後には一時的なリラ売りを反映して6.87円まで下げたものの、ドル円の反騰に合わせて23日早朝には6.99円へ切り返した。23日午前に7.00円へ高値をわずかに切り上げたものの伸びず、ドル円が23日夜に高値を更新した場面でも戻り高値をやや切り下げてている。23日午後には一時的なドル買いリラ売りにより6.82円まで下げる場面があったがそれ以外は6.95円から7.00円までのレンジで推移した。

【対ドルでは連日の史上最安値更新続く、1ドル=20リラ台の安値提示も】

ドル/トルコリラの5月23日は概ね19.93リラから19.62リラの取引レンジ、24日早朝の終値は19.85リラで前日終値の19.83リラからは0.02リラのドル高リラ安だった。
5月28日のトルコ大統領選決選投票が迫る中、エルドアン大統領優勢との報道によりリラ安の歯止めがかからなくなっており、大統領選挙の1回目投票で敗退したオアン氏がエルドアン支持を表明したことによりエルドアン氏勝利の可能性が高まったため、23日も取引時間中の史上最安値を更新、終値ベースでも最安値を更新した。
ベンダーによってドル/トルコリラのレート提示には大きな開きがあるが、5月23日の安値については1ドル=20.30リラや20.32リラの提示も見られている。トルコ国内の市中取引ではFX市場レートに対して0.5%増しの水準で取引されているとされ、既に実質的には1ドル=20リラ時代に突入しているといえる。

【1回目投票3位のオアン氏がエルドアン支持を表明】

5月28日のトルコ大統領選挙の決選投票が迫る中、1回目の投票で5.2%を獲得した民族主義極右政党のオアン氏がエルドアン大統領支持を表明した。1回目の投票ではエルドアン氏が49.5%、野党統一候補のクルチダルオール氏が44.9%であり、オアン氏の5.2%の内の過半がエルドアン氏に流れれば50%を超えて勝利する可能性が高まる。
エルドアン現大統領は再選されればインフレ対策として利下げを行うことを公言しており、最近の外貨準備高の激減や経常収支及び財政収支の悪化、中央政府債務の膨張等によるファンダメンタルズの悪化と共に、主要国の金融政策と異なる高インフレ進行に対して利下げが有効とする政策の継続と、意に沿わない中銀総裁の更迭を繰り返して中銀の独立性を損なってきた状況がさらに悪化すると市場は懸念している。

トルコ中銀の外貨準備高と金準備高を合わせた総外貨準備高は5月12日までの週間で90億ドル減少して1051.3億ドルとなり2022年7月以来の低水準となった。銀行関係者によれば先週の総外貨準備高は33〜37億ドル減少している見込みで、ネットの外貨準備高は21〜27億ドル減少しており、5月12日時点が 23.3億ドルだったためにマイナス勘定になるのではないかとみられている。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】 

【60分足一目均衡表・サイクル分析】 

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、5月19日深夜の下落で弱気転換目安とした6.96円を割り込んだために22日午前時点では19日朝高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとし、ボトム形成期を19日夜から23日夜にかけての間としてすでに反騰注意期にあるとして6.98円超えからは強気転換注意としたが、22日深夜に7円へ迫る反騰となったために23日午前時点では22日午後安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして24日朝から26日朝にかけての間への上昇を想定した。
5月23日午後の一時的急落で付けた安値を除けば6.95円以上を維持しているのでまだ上昇余地ありとするが、6.95円割れを弱気転換注意とし、6.93円割れからは弱気サイクル入りとして25日の日中から29日昼にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では5月22日夜の反騰で遅行スパンが好転したが、23日午前高値以降の伸び悩みで遅行スパンは悪化してきている。先行スパンからの転落を回避してるので遅行スパンが好転するところからは上昇再開とするが、先行スパンから転落する場合は下落期入りと仮定して遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は5月22日夜の上昇で60ポイントを超えた後は軟調推移で戻り高値を切り下げつつ50ポイントを割り込んでいるため、55ポイント超えからは上昇再開とするが、50ポイント以下での推移中は下向きとして30ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、6.95円を下値支持線、7.00円を上値抵抗線とする。
(2)6.95円以上での推移中は上昇余地ありとし、7.00円超えからは7.03円前後への上昇を想定する。7.03円以上は反落注意とするが、6.95円を上回っての推移なら25日も高値試しへ向かう可能性があるとみる。
(3)6.95円割れからは6.93円試しとし、6.93円割れからは6.90円、6.88円を順次試す下落を想定する。6.90円以下は買い戻しも入りやすいとみるが、6.93円を割り込んでの推移なら25日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

5月24日
 16:00 5月 製造業信頼感指数 (4月 108.0)
 16:00 5月 設備稼働率 (4月 75.4%)
5月25日
 20:00 トルコ中銀金融政策委員会 政策金利 (現行 8.5%)
 20:30 週次 外貨準備高 5/19時点 グロス (5/12時点 608.2億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 5/19時点 ネット (5/12時点 23.3億ドル)
5月26日
 17:00 4月 海外観光客数 前年比 (3月 12.32%)
5月28日 大統領選挙第二回投票

注:ポイント要約は編集部

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