トルコリラ円見通し 金融市場全般の波乱続く中、3月8日以降の安値更新後に7円台回復(23/3/17)

トルコリラ円の3月16日は概ね7.04円から6.93円の取引レンジ、17日早朝の終値は7.03円で前日終値の7.02円からは0.01円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し 金融市場全般の波乱続く中、3月8日以降の安値更新後に7円台回復(23/3/17)

トルコリラ円見通し 金融市場全般の波乱続く中、3月8日以降の安値更新後に7円台回復

〇トルコリラ円、ドル円の騰落を見ながらの展開、3/16夜には6.93まで安値を切り下げる
〇その後深夜からのドル円の反騰により、3/17未明には7.04まで戻す
〇対ドル、3/16は概ね19.02から18.75の取引レンジ、終値は18.98をつけ終値ベースの史上最安値更新
〇トルコの外貨準備高は減少傾向、大地震後の市場介入を反映していると思われる
〇7.05超えからは反騰継続とみて、7.08から7.10にかけての水準を試す上昇を想定する
〇6.98割れからは下げ再開を警戒して、3/16夜安値6.93試しとする

【概況】

トルコリラ円の3月16日は概ね7.04円から6.93円の取引レンジ、17日早朝の終値は7.03円で前日終値の7.02円からは0.01円の円安リラ高だった。
先週末からの米銀破綻が続いて欧米長期債利回りがリスク回避から急低下したためにドル円は3月8日につけた年初来高値137.91円から3月13日夜に132.27円へ下落し、いったん落ち着いて15日夕刻に135.09円まで戻したもののクレディ・スイス株暴落による欧銀への飛び火が懸念されたことで15日夜には132.21円へ安値を切り下げた。3月16日は米銀の新たな経営不安も伝わったことで夜安値で131.71円へ一段安したが、ECBのラガルド総裁が「2008年の金融危機よりも銀行セクターは確りしている」と不安を払拭して0.50%利上げを決定したこと、イエレン米財務省長官が「バイデン政権の最重要課題はインフレ対策」と強調して来週のFOMCにおける利上げを支持する姿勢を示したことで持ち直し、17日未明には133.82円まで切り返した。

トルコリラ円はドル円の騰落を見ながらの展開で、3月8日高値7.29円から下落に転じ、3月13日へ3営業日続落となり、13日夜に6.97円をつけたところから3月15日夕高値7.12円まで戻したものの、ドル円の一段安に合わせて15日夜安値で6.96円へ下落、16日夜には6.93円まで安値を切り下げたが、深夜からのドル円の反騰により17日未明には7.04円まで戻した。
欧米金融機関の経営不安問題はまだ続く可能性があり、欧米長期債利回りの騰落も大きな変動幅で日々乱調な展開を続けていること、ドル円もトルコリラ円も3月8日高値以降は戻り高値を切り下げつつ安値更新を繰り返しているため、しばらくは波乱注意、下ブレ注意の状況と思われる。

【対ドルでは終値ベースの史上最安値更新】

ドル/トルコリラの3月16日は概ね19.02リラから18.75リラの取引レンジ、17日早朝の終値は18.98リラで前日終値の18.97リラからは0.01リラのドル高リラ安だった。
一昨年末からの長期的なリラ安基調が続く中、2月6日のトルコ南部大地震による震災級の被害発生からリラ安が徐々に勢い付いており史上最安値の更新が繰り返されている。
手元データでは3月15日にそれまでの取引時間中の史上最安値だった19.07リラを超えて19.10リラへ安値を更新し、終値ベースでは3月14日と3月15日の18.97リラを16日終値でわずかに超えて最安値更新となった。
3月17日午前は19.02リラから18.95リラの範囲で推移している。
トルコ南部の大地震被災地で3月15日に洪水が発生、仮設住宅やテントが流されているという。大震災の被害が甚大な中で追い打ちをかける事態であり、トルコの被災地対策での財政支出増大や対策そのものに対する政権批判が強まることも懸念される。

【トルコの外貨準備高は減少傾向】

3月16日夜に発表されたトルコ中銀の外貨準備高は3月10日時点のグロスで697億ドルとなり3月3日時点の702.8億ドルから減少、ネットでは186.2億ドルとなり3月3日の206.9億ドルから大幅に減少した。
グロスの外貨準備高は大地震発生以降で既に90億ドル以上減少しており、ネットでも2月3日時点の270.9億ドルから80億ドル以上の減少となっている。
大地震発生からの当初2週間でトルコ中銀は数十億ドル規模の市場介入を行ったとされ、グロス及びネットの外貨準備高の減少は市場介入を反映しているものと思われるが、トルコ中銀によるFXスワップ市場におけるドル売りリラ買いポジションは372.7億ドルとされ、外貨準備高の実際は不足状態に陥った状況が続いているとされる。
先般、サウジアラビアがトルコ中銀に50億ドルを預託すると表明していたが、報道では3月13日にトルコ中銀の口座に入金されたとされるので、次週の発表ではサウジからの入金が反映されると思われるが、一時的な拡大にとどまるのではないかと思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、3月15日夜の急落で弱気転換目安とした7.02円及び3月13日夜安値を割り込んだため、16日午前時点では3月15日夕高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして16日夜から20日夜にかけての間への下落を想定した。
3月16日夜へ一段安したが、その後に7円台を回復しているので3月13日夜から3日目となる16日夜安値で直近のサイクルボトムをつけたと思われる。サイクルトップ形成期は20日午後から22日夕にかけての間と想定されるのでまだ上昇余地ありとするが、戻りは短命の可能性もあり金融市場全般が不安定なため、6.98円割れからは弱気転換注意として3月16日夜安値6.93円試しとし、底割れからは弱気サイクル入りとして21日夜から23日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では3月16日夜安値からの反騰で先行スパン突破を試したものの上抜け切れずにいる。先行スパンを上抜くところからは反騰継続として遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、6.98円割れからは下げ再開を警戒して遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は3月15日夜から16日夜にかけての一段安に際して指数のボトムが切り上がる強気逆行を見せて反発しているので、50ポイント以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは60ポイント台後半への上昇余地ありとみるが、45ポイント割れからは下げ再開とみて20ポイント台への低下を伴う下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、6.98円を下値支持線、7.05円を上値抵抗線とする。
(2)7.05円超えからは反騰継続とみて7.08円から7.10円にかけての水準を試す上昇を想定する。7.09円以上は反落警戒とするが、7.05円を上回っての推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)6.98円割れからは下げ再開を警戒して3月16日夜安値6.93円試しとし、底割れからは6.90円前後への下落を想定する。6.90円前後では買い戻しも入りやすいとみるが、6.98円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

3月20日
 23:30 2月 中央政府債務 (1月 417.8億リラ)
3月23日
 16:00 3月 消費者信頼感指数 (2月 82.5)
 20:00 トルコ中銀 政策金利 (現行 8.5%)
 20:30 週次 外貨準備高 3月17日時点 グロス(3月10日時点 697.0億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 3月17日時点 ネット(3月10日時点 186.2億ドル)



注:ポイント要約は編集部

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