トルコリラ円見通し 信用不安増大による円高で大幅下落、3月13日夜安値を割り込む(23/3/16)

トルコリラ円の3月15日は概ね7.12円から6.96円の取引レンジ、16日早朝の終値は7.02円で前日終値の7.07円からは0.05円の円高リラ安となった。

トルコリラ円見通し 信用不安増大による円高で大幅下落、3月13日夜安値を割り込む(23/3/16)

信用不安増大による円高で大幅下落、3月13日夜安値を割り込む

〇トルコリラ円、ドル円の急落に合わせ15日夜に6.96をつけ3/13夜安値6.97を割り込む
〇16日未明に7.04まで戻すも午前序盤には再び7円を割り込み安値更新を試す
〇対ドルでは19.10をつけ3/13につけた取引時間中の史上最安値19.07を超え最安値更新
〇15日発表のトルコ2月財政収支は1705.6億リラの赤字で過去最大に
〇7.06超えからは7.08前後への上昇を想定、その後7.05を割り込むところからは下げ再開とみる
〇6.96割れからは6.90台序盤(6.93から6.90)への下落を想定

【概況】

トルコリラ円の3月15日は概ね7.12円から6.96円の取引レンジ、16日早朝の終値は7.02円で前日終値の7.07円からは0.05円の円高リラ安となった。
クレディ・スイス株の暴落と同社CDS(クレジットデフォルトスワップ)が過去最高となったことによる経営破綻懸念で金融市場全般がリスク回避へ向かい、ドル円は15日夕刻高値135.09円から15日夜安値132.21円へ3円近い急落となり3月13日夜安値132.27円をわずかに割り込んで3月8日に付けた年初来最高値137.91円以降の安値を更新した。16日未明に一時133.77円まで戻したものの16日午前には再び133円を割り込むなど一段安への懸念が残る動きとなっている。
トルコリラ円はドル円を見ながら夕刻高値で7.12円まで戻していたが、ドル円の急落に合わせて15日夜に6.96円を付けて3月13日夜安値6.97円を割り込んだ。16日未明に7.04円まで戻したものの16日午前序盤には再び7円を割り込んで安値更新を試している。

【1ドル19.10リラをつけ史上最安値更新】

ドル/トルコリラの3月15日は概ね19.10リラから18.79リラの取引レンジ、16日早朝の終値は18.97リラで前日につけた終値ベースの史上最安値と変わらずだったが、3月13日に付けた取引時間中の史上最安値19.07リラを超えて最安値を更新した。
クレディ・スイス株暴落を発端として先週からの米銀破綻の連鎖及び欧州金融機関へ飛び火する懸念が高まり、15日夕刻から夜にかけてはユーロやポンドがリスク回避による手仕舞いとドルの買い戻しで総じて大幅下落し、豪ドルや南アランド、メキシコペソ等のコモディティ通貨も株安原油安を見ながら下落した。
トルコリラはトルコ中銀によるFX取引におけるスプレッド拡大及び手数料引き上げ指示による規制や営業時間外取引の制限等と非公式での市場介入によりリラ安抑制を行っているものの、2月6日に発生したトルコ南部大地震以降はリラ安の勢いが徐々に加速しており、取引時間中及び終値ベースでの史上最安値更新も繰り返されている。

米銀破綻に続いてクレディ・スイス株暴落により欧米の金融機関に対する信用不安が収まらないようだと、金融市場全般が2008年のリーマンショック発生前の金融機関破綻連鎖を惹起して投機ポジションの縮小を急ぎ、新興国通貨への売り圧力が高まることも懸念され、弱い通貨としてのトルコリラへの売り攻勢がかかることも警戒される。

【トルコの財政赤字は過去最大に】

【トルコの財政赤字は過去最大に】

3月15日に発表されたトルコの2月財政収支は1705.6億リラの赤字となり赤字額としては2021年12月の1457.4億リラを超えて過去最大となった。
財政収支の推移を見ればわかるように、2020年以降は赤字と黒字が交互に繰り返されつつも徐々にその振幅が大きくなっており、2022年5月には1439.8億リラの過去最大黒字を計上したり2022年11月も1083.1億リラで過去2番目の黒字を出しているが、いずれもその後に赤字へと転落しており、財政収支の上下へのブレがスパイラル的に拡大していることはそれだけトルコの財政基盤を脅かすものとなっている印象であり、特に2022年1月以降では黒字が5カ月に対して赤字が8カ月と多い。
2月6日のトルコ大地震による被災者救済や復興へ向けて巨額の財政支出が見込まれる中、サウジ等による財政支援があるとはいえ、高インフレの中でリラ安が進行する状況にあっては財政収支の悪化が深刻化してくることも懸念される。
3月13日に発表されたトルコの1月経常収支は98.49億ドルの赤字で赤字額は過去最大、1月の貿易収支は142.4億ドルの赤字で過去最大であり、貿易収支、経常収支、財政収支の悪化が揃っている。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、3月8日からの大幅下落が3月13日夜安値で落ち着いて強気サイクル入りしたとして3月15日午後から17日午後にかけての間への上昇を想定していた。
15日午前時点では7.06円割れを弱気転換注意とし、7.02円割れからは弱気サイクル入りとしたが、15日夜への急落で7.02円及び3月13日夜安値を割り込んだため、3月15日夕高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして16日夜から20日夜にかけての間への下落を想定する。
7.06円超えからは強気転換注意とするが、現時点からの強気サイクル入りには3月15日夕高値に迫る上昇が必要と思われる。

60分足の一目均衡表では3月15日夜の下落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落した。13日夜安値からの下げ渋りが続けば遅行スパンは好転しやすくなるが、先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところから下げ再開とし、先行スパンを上抜き返すところからは反騰継続とみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は3月15日夜に30ポイントへ迫ってから40ポイント台へ戻しているが50ポイントには届かずにいるので次に40ポイントを割り込むところからは下げ再開とみて20ポイント前後への低下を伴う下落を想定する。ただし、50ポイント以上を維持し始める場合は反騰継続とみて60ポイント台前半への上昇を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、3月15日夜安値6.96円を下値支持線、7.06円を上値抵抗線とする。
(2)7.05円から7.06円にかけての水準は戻り売りにつかまりやすいとみる。7.06円超えからは7.08円前後への上昇を想定するが、その後に7.05円を割り込むところからは下げ再開とみる。
(3)6.96円割れからは6.90円台序盤(6.93円から6.90円)への下落を想定する。6.90円台序盤は買いも入りやすいとみるが、7円以下での推移か直前安値から0.07円を超える反騰が見られないうちは17日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

3月16日
 20:30 週次 外貨準備高 3月10日時点 グロス(3月3日時点 702.8億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 3月10日時点 ネット(3月3日時点 206.9億ドル)
3月20日
 23:30 2月 中央政府債務 (1月 417.8億リラ)
3月23日
 16:00 3月 消費者信頼感指数 (2月 82.5)
 20:00 トルコ中銀 政策金利 (現行 8.5%)
 20:30 週次 外貨準備高 3月17日時点

注:ポイント要約は編集部

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