トルコリラ円見通し 大幅下落一服、7円割れからの切り返しで4日ぶり反発(23/3/15)

トルコリラ円の3月14日は概ね7.11円から7.01円の取引レンジ、15日早朝の終値は7.07円で前日終値の7.02円からは0.05円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し 大幅下落一服、7円割れからの切り返しで4日ぶり反発(23/3/15)

トルコリラ円見通し 大幅下落一服、7円割れからの切り返しで4日ぶり反発

〇トルコリラ円、3/14夜、ドル円が135円に迫ると7.11まで戻り高値切り上げ、7.06までの下げで確り
〇対ドル、3/14は7.11-7.01の取引レンジ、新たな最安値更新は回避、概ね18.90リラ台での推移
〇米銀破綻の影響うけ急落した新興国通貨が反騰する中、リラは他市場動向に左右されず最安値近辺で推移
〇3/23トルコ中銀MPC、追加で0.50%利下げの予想も。追加利下げ決定でリラ安が一層進むことも
〇7.04以上で推移中は一段高余地あり、7.11超えからは7.14前後への上昇想定。7.13以上は反落注意圏
〇7.04割れからは下げ再開の可能性を優先、7.02割れからは3/13安値6.97前後への下落を想定

【概況】

トルコリラ円の3月14日は概ね7.11円から7.01円の取引レンジ、15日早朝の終値は7.07円で前日終値の7.02円からは0.05円の円安リラ高だった。
ドル円の騰落に合わせた展開を続けている。ドル円は3月10日の米雇用統計と米銀破綻関連報道をきっかけとした急落で3月13日夜に132.27円へ安値を切り下げて3月8日につけた年初来高値137.91円からの下げ幅を5.64円としたが、13日夜からは株売り・債券買いによる米長期債利回りの大幅低下が落ち着いて持ち直しの動きに入ったことで133円台へ戻し、14日夜の米2月CPIが概ね予想通りだったことで無難に通過した後はNYダウが6営業日ぶりに反騰したことと米長期債利回りの反発により134.89円まで戻り高値を切り上げた。14日早朝に134円を割り込んだところも買い戻されて確りしている。

トルコリラ円は年初来高値となった3月8日午後高値7.29円から下落に転じ、ドル円の急落に合わせて13日夜には6.97円へ一段安したが、その後はドル円の持ち直しに合わせて7円台を回復し、14日夜にドル円が135円に迫ったところで7.11円まで戻り高値を切り上げた。その後も7.06円までの下げで確りしている。

【1ドル19リラ台を中心に最安値近辺での推移続く】

ドル/トルコリラの3月14日は概ね19.02リラから18.78リラの取引レンジ、15日早朝の終値は18.97リラで前日終値の18.97リラと変わらずだった。
中長期的なリラ安基調が継続する中、2月6日のトルコ南部大地震の影響と2月23日のトルコ中銀による地震対策での利下げ等をきっかけにリラ安が徐々に勢いを増しており、3月13日には19.07リラをつけて取引時間中の史上最安値を更新したが、14日は新たな最安値更新を回避したもののトルコ中銀による非公式市場介入等による不規則なリラ高局面を除けば概ね18.90リラ台での推移を続けている。
終値べースでは3月13日に18.97リラつけて最安値を更新したが、小数点以下三桁で見れば13日終値18.966リラに対して14日は18.974リラでわずかながら最安値を更新している。

3月14日はNYダウが6営業日ぶりに反発して先週後半から大幅低下が続いていた米長期債利回りが上昇したことで金融市場全般が米銀破綻連鎖不安による動揺を落ち着かせたが、ユーロやポンドは先週後半からの上昇を継続して高値を切り上げており米国市場リスクとしてドルストレートではドル安感が優勢となっている。新興国通貨でも米銀破綻の影響をうけやすいとして急落していたメキシコペソが反騰、南アランドも8日以降のランド高を継続しているが、トルコリラは他市場動向にはさほど左右されずに最安値近辺での推移を続けている。

【大地震の影響、経済指標の悪化、追加利下げの可能性】

3月13日に発表されたトルコの1月経常収支は98.49億ドルの赤字で赤字額は過去最大となった。
1月の貿易収支は142.4億ドルの赤字で過去最大となり、世界的なインフレの高止まりとリラ安により輸入額が増加する一方で、ウクライナ戦争の影響継続と主要国の金融引き締め及び中国の景気回復がまだ鈍い中でトルコの輸出が頭打ちとなっていることが貿易収支悪化及び経常赤字拡大の背景となっている。
2月6日のトルコ南部大地震の影響については当面する被災者支援への政府支出増大による財政基盤の悪化が懸念されるが、年後半には復興需要で持ち直すとの楽観的な期待もある。3月15日夜は2月の財政収支の発表がある。

米銀が相次いで破綻し始めたことで金融市場は動揺しており、今後は海外投機筋もより慎重な姿勢をとり新興国への投資を手控えたり引き上げる可能性も懸念され、エルドアン政権による国政や経済政策への疑念が根強い状況にあっては脆弱なトルコへの売り圧力も増大してくるのではないかと思われる。
3月23日に次回のトルコ中銀MPC(金融政策委員会)があるが、2月23日には大地震対策として政策金利の週間レポレートを従来の9.0%から8.5%へと引き下げており、3月23日にも追加で0.50%利下げを行うのではないかとの見方も出ている。トルコの高インフレはやや伸び率が鈍化してきたとは言え、主要国と比較すれば異常な高インフレ状態にとどまっており、追加利下げが決定される場合にはリラ安が一層進むことも考えられる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、3月8日から大幅下落してきたが3月13日夜安値で直近のサイクルボトムをつけて強気サイクル入りしている。トップ形成期は3月10日午後高値を基準とすれば15日午後から17日午後にかけての間と想定されるが、戻りは短命の可能性もあるため7.06円割れからは弱気転換注意とし、7.02円割れからは弱気サイクル入りとして16日夜から20日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では3月13日夜からの反騰で遅行スパンが好転したが、先行スパン突破には至らずにいる。遅行スパン好転中は高値試し優先とし、先行スパンを上抜くところからは上昇が勢い付く可能性があると注意するが、先行スパンから転落する場合は下落再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は3月10日夜から13日夜への一段安に際して指数のボトムが切り上がる強気逆行を見せて60ポイント台へ上昇し、その後の反落でも50ポイント以上を維持しているのでまだ上昇余地ありとみる。ただし、50ポイント割れを弱気転換注意とし、45ポイント割れからは下げ再開とみて30ポイント割れを目指す下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.04円を下値支持線、7.11円を上値抵抗線とする。
(2)7.04円以上での推移中は一段高余地ありとし、7.11円超えからは7.14円前後への上昇を想定する。7.13円以上は反落注意圏とするが勢い付く場合は7.15円超えへ上値目途を引き上げる。また7.04円以上での推移か直前高値から0.05円を超える反落が発生しないうちは16日午前も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)7.04円割れからは下げ再開の可能性を優先し、7.02円割れからは3月13日安値6.97円前後への下落を想定する。6.68円以下は反騰注意とするが、7.04円以下での推移か直前安値から0.50円を超える反騰が見られないうちは16日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

3月15日
 17:00 2月 財政収支 (1月 -322.4億リラ)
3月16日
 20:30 週次 外貨準備高 3月10日時点 グロス(3月3日時点 702.8億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 3月10日時点 ネット(3月3日時点 206.9億ドル)
3月20日
 23:30 2月 中央政府債務 (1月 417.8億リラ)
3月23日
 16:00 3月 消費者信頼感指数 (2月 82.5)
 20:00 トルコ中銀 政策金利 (現行 8.5%)
 20:30 週次 外貨準備高 3月17日時点


注:ポイント要約は編集部

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