ドル円 引き続き上昇トレンドも短期高値は見たか(週報3月第1週)

先週のドル円は、木曜までは米金利上昇の動きがドル高の動きとなりました。

ドル円 引き続き上昇トレンドも短期高値は見たか(週報3月第1週)

引き続き上昇トレンドも短期高値は見たか

〇先週のドル円、木曜までは米金利上昇の動きがドル高の動きとなり一時137円台に
〇しかし一部FRB関係者のハト派発言もあり週末に向けては135円台後半へ押しての引け
〇引き続き米金利がドル円の大きな材料、市場でタカ派に振れ過ぎていたための調整と考える
〇今週も上下院での議会証言を前に金利の思惑が最大の材料
〇10年債利回りがクリティカルな3.9%を上抜け、それより上での動きなら金利先高観続いていると見る
〇今週は134.50レベルをサポートに、先週高値圏に重なる137.00レベルをレジスタンスとする流れ

今週の週間見通し

先週のドル円は、木曜までは米金利上昇の動きがドル高の動きとなりました。水曜には米金利以上にドイツ金利上昇が目立ち、ユーロドルでの買いからドル円が下げるというトリッキーな動きも挟みましたが、週後半には昨年11月10日以来の4.089%を見たことからドル円も一時137円台に乗せました。しかし一部FRB関係者のハト派発言も出たことから週末に向けては135円台後半へ押しての引けとなりました。

引き続き米金利がドル円の大きな材料となっていることに変わりはありませんが、低下スピードが鈍化しているインフレ率や強い経済指標を見る限り、今週のパウエルFRB議長の議会証言に向けてあまりハト派な見方はできませんし、先週のアトランタ連銀総裁の発言も3月FOMC0.25%と以前までの中心的な見方を示しているともいえ、市場でタカ派に振れ過ぎていたための調整と考えて良いでしょう。

すでに今週の議会証言の元ネタとなるハンフリー・ホーキンス(金融政策報告書)である程度わかることですが、前回FOMCよりもややタカ派的な印象で前回FOMCで出てきたディスインフレという言葉は出て来ていません。最近の経済指標を見た上で若干タカ派寄りに修正してきたというところだと思います。FF先物を見てもターミナルレート(ピーク金利)が5.25~5.5%は変わりませんし、年内の緩和への転換思惑も後退し、12月FOMCまでピーク状態が続くという見通しです。

今週も上下院での議会証言を前に金利の思惑が最大の材料となりますが、10年債利回りがクリティカルな3.9%を上抜けし、それよりも上で動いている限りは金利先高観が続いているという認識でよさそうです。ただ大台4%を見たという達成感もあり、当面は横ばいとなっていく可能性が高いように思えます。

引き続き上昇トレンドも短期高値は見たか

テクニカルにはいつもの日足チャートをご覧ください。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

2月安値からの短期的な上昇チャンネル(青)の中での動きが先週も続きました。いっぽうで昨年高値と年初来安値との38.2%戻しとなる136.65はかなり上抜けた感じもしますが、137円台の滞空時間は短く同ターゲットを達成したことによる調整局面入りしやすい状況です。ファンダメンタル(米金利の上昇トレンド)と方向性が異なる感じもしますので、基本は上昇チャンネル内での動きを想定した方がよいかもしれません。

今週はサポートが位置する134.50レベルをサポートに、先週高値圏に重なる137.00レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2023年FOMCメンバー(ニューヨーク、シカゴ、フィラデルフィア、ダラス、ミネアポリス)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

3月6日(月)
18:30 英国2月建設業PMI
19:00 ユーロ圏小売売上高
24:00 米国1月製造業新規受注

3月7日(火)
09:01 英国2月小売売上高
09:30 豪州1月貿易収支
**:** 中国2月貿易収支
12:30 豪中銀政策金利発表 ☆
16:00 ドイツ1月製造業新規受注
18:30 南ア10〜12月期GDP
24:00 パウエルFRB議長議会証言(上院)☆
24:00 米国1月卸売売上高
30:55 豪中銀総裁講演 ☆

3月8日(水)
08:50 本邦1月貿易収支(国際収支)
16:00 ドイツ1月小売売上高、鉱工業生産
19:00 ラガルドECB総裁講演 ☆
19:00 ユーロ圏10〜12月期GDP確報値
19:00 南ア1〜3月期企業信頼感
22:15 米国2月ADP全国雇用者数 ☆
22:30 米国1月貿易収支
24:00 パウエルFRB議長議会証言(下院)☆
24:00 カナダ中銀政策金利発表 ☆
24:30 週間原油在庫統計
28:00 ベージュブック ☆

3月9日(木)
**:** 日銀会合(〜10日)
08:50 本邦10〜12月期GDP改定値
09:01 英国2月住宅価格
10:30 中国2月CPI・PPI ☆
18:00 南ア10〜12月期経常収支
21:30 米国2月チャレンジャー人員削減数
22:30 米国新規失業保険申請数
**:** 予算教書 ☆
30:45 NZ10〜12月期製造業売上高

3月10日(金)
**:** 日銀会合結果発表 ☆
15:30 黒田日銀総裁会見 ☆
16:00 ドイツ2月CPI
16:00 英国1月鉱工業生産、貿易収支
16:00 トルコ1月失業率、鉱工業生産
16:45 フランス1月貿易収支
22:30 米国2月雇用統計 ☆

3月12日(日)
**:** 米国夏時間開始

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時~NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

2月27日(月)
週明けのドル円は材料出尽くし感もあり、136円台前半でのもみあいを続けました。押し目では買いたい向きも多い中、金曜の上げが速かったこともあり、136円台半ばでは利食い売りが出ていました。終日レンジもドル円にしては狭い65銭、ドル円よりもユーロドルの動きに目が向かっていました。

2月28日(火)
ドル円は東京市場では動かず、海外市場ではこれまで同様に米金利の上下とともにドルも上下する展開でした。欧州市場序盤に米金利が上昇するとドル円は直近高値を上抜け、NY市場前場に10年債利回りが3.983%まで上昇すると136.92レベルまで高値を切り上げました。引けにかけては米金利低下とともに136円間近へと下げました。

3月1日(水)
ドル円は欧州市場序盤から米金利が低下するいっぽうでドイツ金利が上昇し、ユーロドルが買われる動きに引っ張られてのドル売りとなりました。その後米金利も上昇に転じ4%の大台乗せとともに東京前場の水準に戻して引けました。

3月2日(木)
ドル円は引き続き米金利を見ての動きが続きました。東京時間から米金利上昇、ドル高で始まり欧州市場序盤に押しを挟んでNY市場では強い経済指標もあって10年債利回りは4.089%まで上昇、ドル円は137.10レベルの高値をつけました。その後アトランタ連銀総裁がハト派な発言をしたことをきっかけに下げ、引けは136円台後半へと調整が入りました。

3月3日(金)
週末前にドル円は調整売りが先行していましたが、米金利が大幅に低下する動きが終日続いたこともありNY市場では136円割れ。強いISMに一時的に買い戻される場面も見られましたが、引けにかけて135.75レベルの安値をつけ若干戻して引けました。

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