南アランド週報:『ラマポーザ大統領の不正疑惑問題で約9ヵ月ぶり安値圏へ急落』(12/3朝)

南アフリカランドの対円相場は、約2ヵ月に亘って続いた8.00ー8.30レンジを下方ブレイクすると、週後半にかけて、約9ヵ月ぶり安値となる7.57円まで急落しました。

南アランド週報:『ラマポーザ大統領の不正疑惑問題で約9ヵ月ぶり安値圏へ急落』(12/3朝)

『ラマポーザ大統領の不正疑惑問題で約9ヵ月ぶり安値圏へ急落』

〇今週の南ア円、南ア指標の好調や中国のコロナ規制緩和期待に週央にかけ高値8.24まで上昇
〇その後はラマポーザ大統領の金銭不正疑惑、対主要通貨での円買いに7.57まで急落
〇南ア円8.00ー8.30レンジを下方ブレイク、約9ヵ月ぶり安値に急落
〇主要サポートラインを軒並み下抜け、強い売りシグナルも成立、テクニカルの地合い悪化
〇南アランド円相場の下落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):7.50ー7.85

今週のレビュー(11/28−12/2)

今週の南アフリカランド円(ZARJPY)相場は、週初8.12円で寄り付いた後、(1)南ア7ー9月期失業率(結果32.9%、予想33.5%、前回33.9%)の良好な結果や、(2)中国政府による厳格なコロナ規制の緩和期待、(3)上記2を背景とした市場心理の急速な回復が支援材料となり、週央にかけて、週間高値8.24円まで上昇しました。しかし、11/23に記録した直近高値8.25円をバックに伸び悩むと、(4)ラマポーザ南ア大統領の金銭を巡る不正疑惑(調査委員会による「ラマポーザ大統領が重大な違反を犯した可能性がある」との結果報告→同氏が弾劾されるとの思惑)や、(5)一部メディアによる「不正疑惑を巡りラマポーザ大統領が辞任を検討している」とのネガティブ報道、(6)上記4、5を背景とした南アフリカの政局不透明感、(7)対主要通貨での円買い圧力(日米名目金利差縮小観測→円キャリートレードの逆流懸念→ドル円急落→南アランド円連れ安)が重石となり、週後半にかけて、週間安値7.57円(3/9以来、約9ヵ月ぶり安値圏)まで急落しました。週末にかけて持ち直すも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間12/3午前3時00分現在)では、7.68円前後で推移しております。

来週の見通し(12/5−12/9)

南アフリカランドの対円相場(ZARJPY)は、約2ヵ月に亘って続いた8.00ー8.30レンジを下方ブレイクすると、週後半にかけて、約9ヵ月ぶり安値となる7.57円(3/9以来の安値圏)まで急落しました。この間、主要サポートラインを軒並み下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する「一目均衡表三役逆転」や「弱気のパーフェクトオーダー」も成立するなど、テクニカル的に見て、地合いの悪化を印象付けるチャート形状となりつつあります。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)南アフリカ国内における電力不足の長期化懸念や、(2)高水準の政府債務、(3)主要産業で相次ぐストライキ問題、(4)経済的な結び付きの強い中国の景気減速懸念、(5)ラマポーザ大統領の金銭を巡る不正疑惑とそれに伴う政局不透明感(12/16から予定されている与党ANCの党首選挙での再選が絶望的→市場参加者の信認が厚かった同氏の退任リスクは直接的に南アランドの失望売りに波及)、(6)南ア中銀の利上げペース鈍化観測(先週開催された南ア中銀会合の中で5名のうち2名が75bpの利上げではなく50bpの利上げを支持)、(7)円キャリートレードの逆流懸念など、南アランド円相場のダウンサイドリスクを連想させる材料が増えつつあります。

事実、南ア中銀は11/29に公表した報告書の中で、南アフリカの金融安定性に対する主なリスクとして、上記1に該当する電力不足の長期化懸念と、上記2に該当する高水準の政府債務を挙げています。また、上記6についても、南ア中銀は、世界的にスタグフレーション懸念が燻る中での金融引き締めは国内景気の逆風となり得ることからリスクが大きいと指摘しました。以上を踏まえ、当方では引き続き、南アランド円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は12/6に発表される南ア第3四半期GDPに注目が集まります。

来週の予想レンジ(ZARJPY):7.50ー7.85

注:ポイント要約は編集部

『ラマポーザ大統領の不正疑惑問題で約9ヵ月ぶり安値圏へ急落』

南アランド円日足

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