トルコリラ円見通し 対ドルでの史上最安値更新を気にしつつドル円を見ての推移続く(22/10/3)

トルコリラ円の9月30日は7.84円から7.77円の取引レンジ、10月1日早朝の終値は7.82円で前日終値の7.81円からは0.01円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し 対ドルでの史上最安値更新を気にしつつドル円を見ての推移続く(22/10/3)

対ドルでの史上最安値更新を気にしつつドル円を見ての推移続く

〇トルコリラ円、ドル高リラ安に勝るドル円騰落に同調、9/30は7.77まで下落後に7.80円台回復
〇対ドル、史上最安値の更新続く、週間では9/23終値18.41から0.09のドル高リラ安
〇トルコ8月貿易赤字は過去最大、リラ安と輸入額大幅超過が背景
〇トルコ9月CPI伸び加速の場合、批判的リラ売り勢い付くか、政権は高インフレ下での追加利下げ姿勢
〇今週はトルコ週次外貨準備高や米雇用統計も発表予定、結果次第ではドル高リラ安活発化を懸念
〇7.80以上での推移中は上昇余地ありとし、7.85超えからは7.88前後への上昇を想定する
〇7.79割れからは7.75前後への下落を想定する

【概況】

トルコリラ円の9月30日は7.84円から7.77円の取引レンジ、10月1日早朝の終値は7.82円で前日終値の7.81円からは0.01円の円安リラ高だった。週間では9月23日終値7.78円から0.04円の円安リラ高だった。
トルコリラ円はドル高リラ安の進行を気にしながらもドル円の変動率が勝ることで7月後半からはドル円の騰落に同調した動きを続けている。9月22日に日銀による24年ぶり円買い介入で急激な円高となった局面でトルコリラ円は9月22日高値7.94円から7.65円へ急落し、ドル円の反騰に合わせて9月28日未明高値7.87円へ戻し、ドル円が29日未明に一時144円を割り込んだところで7.76円まで下げたところから再び持ち直し、9月30日夕刻にも7.77円まで下げたもののドル円の持ち直しに合わせて7.80円台序盤を回復している。
ドル円は145円に迫るところで日銀介入の第二弾があるのか、口先介入のみでスルーされて上昇が勢い付くのかにより144円台中心の持ち合いから上下いずれかへ抜け出す可能性があるため、トルコリラ円も引き続きドル高リラ安を気にしつつもドル円の動きに合わせた展開が中心になってくると思われる。

【対ドルでは史上最安値更新試し続く流れ】

ドル/トルコリラの9月30日は18.55リラから18.47リラの取引レンジ、10月1日早朝の終値は18.50リラで前日と変わらずだった。週間では9月23日終値18.41リラから0.09リラのドル高リラ安だった。
9月22日のトルコ中銀による2会合連続利下げをきっかけに昨年12月20日安値18.36リラを超えて史上最安値更新に入り、8月28日に18.55リラへ史上最安値をさらに更新した後も高止まりの様相が続いている。小数点以下3桁まで見れば9月28日安値が18.550リラ、29日安値が18.549リラ、30日安値が18.554リラであり、わずかながらも最安値を更新している。
今週は10月3日夕刻の9月のトルコ消費者物価指数の発表があり、高インフレでも2会合連続で利下げを強行しているトルコ中銀及びエルドアン政権に対する批判的なリラ売りが活発化する可能性も懸念される。また外貨準備高の減少も気になるところであり、10月6日の週次外貨準備高にも注目したい。また為替市場全般としては10月7日の米雇用統計内容次第ではドル全面高の再開へと進む可能性もあり、その際は新興国通貨安の流れでドル高リラ安が勢い付くことも警戒される。

【トルコ貿易赤字は過去最大】

【トルコ貿易赤字は過去最大】

9月30日に発表されたトルコの8月貿易赤字は季節調整前で119.4億ドルとなり7月の107.4億ドルを超えて過去最大となった。季節調整後では112.1億ドルで7月の96.6億ドルから大幅増となった。季節調整後の輸出は204.5憶ドルで前年比9.5%増、輸入は315.7億ドルで前年比37.5%増となった。
輸出は4月に208.3億ドルまで拡大した後は頭打ち、輸入は7月の320.6億ドルからやや減ったものの過去最高水準近辺にあり、リラ安と世界規模のインフレによる輸入額の大幅超過が貿易赤字を拡大し、それが経常収支の悪化へとつながる悪循環が見られる。エルドアン政権による輸出増による経常収支改善は実現していない。

【10月3日夕刻発表予定のトルコ9月CPIは伸び率が再び加速か】

10月3日16時にトルコの9月消費者物価上昇率等の発表がある。消費者物価上昇率についての事前予想では全体の前月比が8月の1.46%へ鈍化したところから再び伸びが加速して3.8%上昇と予想され、前年同月比は8月の80.21%から84.63%へ加速すると予想されている。前月比の予想レンジは3.1%から4.1%、前年比の予想レンジは83.50%から85.35%と幅があり、伸び率が予想中心値を上回る場合はエルドアン政権による年末にかけてのインフレ低下期待が損なわれ、それでも利下げを継続する姿勢を踏まえてリラ売りが勢い付く可能性がある。

8月3日発表のトルコ7月CPIが前年同月比比79.60%へ上昇し、8月12日にムーディーズが、「B2」から「B3」に格下げし、8月15日に終値で1ドル17.95リラをつけて終値ベースの史上最安値更新を更新した後の8月18日にトルコ中銀が政策金利を14%から13%へと予想外の利下げを決定したために1ドル18リラの壁を超えるリラ安進行となった。

8月18日の利下げに対してエルドアン大統領は8月22日にトルコ経済は強いとして「利上げの必要なし」と演説、リラ安はさらに進行した。
9月3日の8月トルコCPIが80%を超えたもののエルドアン政権の政策姿勢は変わらず、エルドアン大統領は9月20日の「来年からインフレ問題を克服してトルコ経済は前進する」「インフレ率は年末には低下し始め、来年2月から3月までには適切なレベルまで低下する」として利下げを促し、9月22日にトルコ中銀は再び予想外の2会合連続利下げを決定した。大統領はさらに9月28日に「年末までに政策金利を一桁にすべき」と述べ、9月29日には「トルコ中銀に対して次回の金融政策委員会で追加利下げすべきとのアドバイスを行った」と述べている。トルコ中銀は3会合連続での高インフレ進行下での利下げをせざるを得ない状況に追い込まれているのだろうと思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、9月22日の日銀介入による急落に対するリバウンド一巡により9月28日未明高値をサイクルトップとして弱気サイクル入りしていたが、9月29日夜に7.82円まで戻したために30日朝時点では29日未明安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして10月1日未明から5日未明にかけての間への上昇を想定した。
9月30日夕刻への下落では29日未明安値割れを回避して戻り高値を切り上げているので引き続きサイクルトップ形成中とするが、7.79円割れからは弱気サイクル入りとして10月3日夜から6日未明にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では9月30日夕安値からの上昇により遅行スパンが再び好転し、先行スパンも上抜いてきたので遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、次に先行スパンから転落するところからは下落期入りの可能性ありとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は9月29日未明に30ポイントを割り込み、30日夕安値字には40ポイントを割り込んだがいずれも切り返して指数のボトムが切り上がり基調にあるため、45ポイント以上での推移中は70ポイント台を目指す上昇余地ありとするが、45ポイント割れからは下落期入りとみて30ポイント割れを試す流れとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.79円を下値支持線、7.85円を上値抵抗線とする。
(2)7.80円以上での推移中は上昇余地ありとし、7.85円超えからは7.88円前後への上昇を想定する。7.88円以上は反落注意とするが、円安が勢い付く場合は7.90円前後へ上値目途を引き上げる。また7.82円以上での推移なら4日午前にかけても高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)7.79円割れからは7.75円前後への下落を想定する。7.75円以下は反騰注意とするが、下げ足が速まる場合は7.73円前後へ下値目途を引き下げ、7.79円以下での推移が続く場合は4日午前も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

10月3日
 16:00 9月 CPI 前月比 (8月 1.46%、予想 3.80%)
 16:00 9月 CPI 前年同月比 (8月 80.21%、予想 84.63%)
 16:00 9月 コアCPI 前月比 (8月 3.1%)
 16:00 9月 コアCPI 前年同月比 (8月 66.1%)
 16:00 9月 PPI 前月比 (8月 2.41%)
 16:00 9月 PPI 前年同月比 (8月 143.75%)
 16:00 9月 イスタンブール製造業PMI( 8月 47.4)
10月6日
 20:30 週次 外貨準備高 9/30時点 グロス (9/23時点 713.4億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 9/30時点 ネット (9/23時点 96.7億ドル)
10月7日
 23:30 9月 財務省現金残 (8月 287億リラ)
10月10日
 16:00 8月 失業率 (7月 10.1%)
10月11日
 16:00 8月 経常収支 (7月 -40.1億ドル)

注:ポイント要約は編集部

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