『直近高値圏でのレンジ相場継続。来週はトルコ中銀会合に注目』
〇今週のトルコ円、円独歩安の流れに週央にかけ、週間高値7.94まで上昇
〇その後米欧が対露制裁実施に向けトルコへ圧力強化との報道やドル円反落に7.83前後まで反落
〇テクニカルには上方に強力なレジスタンスあり、上値余地は乏しいか
〇ファンダメンタルズもエルドアン大統領と欧米との関係悪化懸念、米タカ派政策等売り材料多い
〇9/22利下げ懸念のあるトルコ中銀政策決定会合に注目集まる
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):7.60ー8.00
今週のレビュー(9/12−9/16)
今週のトルコリラ円(TRYJPY)相場は、週初7.82円で寄り付いた後、@エルドアン大統領による「米国がトルコにF16戦闘機を売却しない場合、ロシアを頼る可能性がある」との発言(米・トルコ関係の悪化懸念)や、Aトルコ7月経常収支(結果40.1億万ドル赤字、予想37.0億万ドル赤字)の市場予想を上回る赤字額拡大、Bトルコ7月鉱工業生産(結果+2.4%、予想+8.2%、※前年比)の冴えない結果が重石となり、翌9/13に、週間安値7.74円まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、C円独歩安の流れ(ドル円が144.96まで急伸→トルコリラ円連れ高)が支援材料となり、週央にかけて、週間高値7.94円まで持ち直す場面も見られました。
もっとも、心理的節目8.00円をバックに戻り売り圧力が強まると、D英フィナンシャル・タイムズ紙による「米国と欧州連合がロシアに対する制裁実施に向けてトルコへの圧力を強めている」との報道や、E本邦通貨当局による円安牽制発言およびレートチェック実施に伴う円ショートの巻き戻し(ドル円急落→トルコリラ円連れ安)、F米FRBによるタカ派傾斜観測とそれに伴うリスクオフ再開(トルコから米国への資本流出懸念)などが重石となり、本稿執筆時点(日本時間9/17午前2時30分現在)では、7.83円前後まで反落する動きとなっております(対ドル相場は昨年12/20以来、約9ヵ月ぶり安値を更新)。
来週の見通し(9/19−9/23)
トルコリラの対円相場(TRYJPY)は、直近高値圏(7.75円ー8.00円)でのレンジ相場が続いております。但し、アップサイドに強力なレジスタンスとして意識されている心理的節目8.00円や、200日移動平均線8.15円が控えているため、テクニカル的に見て、上値余地は乏しいと判断できます(円独歩安の流れが収束次第、トルコリラ円相場が反落に転じる恐れあり。来週はレンジ下限7.75円の下方ブレイクを想定)。また、ファンダメンタルズ的に見ても、@トルコと欧米諸国との関係悪化懸念(エルドアン大統領がロシアに急接近→欧米諸国による対トルコへの圧力が強まる恐れ)や、A米FRBによるタカ派傾斜観測とそれに伴う資本流出懸念(米CPI・米PPIが共に市場予想を大幅に上回るサプライズを記録→次回FOMCでの100bp利上げ観測台頭→米長期金利急上昇→トルコから米国への資本流出圧力)、
Bトルコ中銀による追加利下げ観測(トルコ中銀はCPIが歴史的高水準を記録しているにも係わらず利下げスタンスを継続→実質金利低下に伴うリラ売り圧力)、Cトルコ経済の先行き不透明感、D経常赤字・財政赤字拡大に伴う構造的なリラ売り圧力など、トルコリラ円相場のダウンサイドリスクを連想させる材料が揃っています。以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(米FRBによるタカ派傾斜を背景に日本円以上に新興国通貨が売られ易い地合いが到来)。尚、来週は9/22に予定されているトルコ中銀政策決定会合に注目が集まります。市場予想は政策金利の据え置き(13.00%)となっていますが、前回同様、サプライズ利下げに踏み切る恐れもあるため、週末にかけてのトルコリラ円下落に警戒が必要でしょう。
来週の予想レンジ(TRYJPY):7.60ー8.00
注:ポイント要約は編集部
トルコ円日足
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