トルコリラ週報:『サプライズ利下げで対ドル相場は急落も、対円相場は底堅さを維持』(8/20朝)

トルコリラの対円相場は、7.35ー7.65円をコアレンジとした上下動が続いております。

トルコリラ週報:『サプライズ利下げで対ドル相場は急落も、対円相場は底堅さを維持』(8/20朝)

『サプライズ利下げで対ドル相場は急落も、対円相場は底堅さを維持』

〇今週のトルコ円、週初7.36まで下落後週後半にかけ7.58まで反発
〇トルコ中銀の8/18の予想外の利下げで対ドルは8か月ぶりの安値まで売り込まれる状況
〇テクニカルには三役逆転、弱気のパーフェクトオーダー、ダウ理論の下降トレンド成立、地合い弱い
〇ファンダメンタルズも高インフレ下での中銀利下げで実質金利が急低下する等売り材料多い
〇トルコリラ円相場の下落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):7.30ー7.70

今週のレビュー(8/15−8/19)

今週のトルコリラ円(TRYJPY)相場は、週初7.44円で寄り付いた後、早々に週間安値7.36円まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、@対主要通貨での円売り圧力(日米金融政策格差を背景としたドル買い・円売りと、株高に端を発したリスク選好の円売りの組み合わせ)や、Aロシア政府系NWF(ナショナル・ウェルス・ファンド)によるリラ買いの思惑(ロシア中銀は8/12に中国やインド、トルコなど友好国の通貨購入を検討していることを発表)、Bトルコ中銀による為替介入観測が支援材料となり、週後半にかけて、週間高値7.58円まで反発しました。もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、Cトルコ中銀によるサプライズ利下げ(トルコ中銀は8/18の会合で主要政策金利である1週間物レポ金利を14.0%から13.0%へ100bp引き下げることを決定)や、D米当局者による相次ぐタカ派発言(米長期金利上昇→新興国から米国への資金流出圧力)が重石となり、本稿執筆時点(日本時間8/20午前4時40分現在)では、7.55円前後で推移しております。尚、対円相場は底堅さを維持しましたが、対ドル相場は2021年12月以来、約8ヵ月ぶり水準まで売り込まれております。

来週の見通し(8/22−8/26)

トルコリラの対円相場は、6/27に記録した戻り高値8.42円をトップに反落に転じると、8/2に一時7.24円(昨年12/20以来の安値圏)まで下げ幅を広げましたが、その後は7.35ー7.65円をコアレンジとした上下動が続いております。但し、上方に複数のレジスタンスポイントを控えていることや、強い売りシグナルを示唆する一目均衡表三役逆転、弱気のパーフェクトオーダー、ダウ理論の下落トレンドが成立していることなどを踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは弱いと判断できます(現在は下落トレンドの過程で見られる一時的な小休止局面→夏枯れ相場明けの反落リスクに要警戒)。ファンダメンタルズ的に見ても、@ロシア・ウクライナを巡る地政学的リスクの長期化懸念(ロシアとトルコが急接近→西側諸国とトルコの関係悪化懸念)や、A米FRBによるタカ派傾斜観測(米当局者によるタカ派的な発言が相次ぐ展開→米長期金利の反転上昇→ドル建て債務を多く抱えるトルコの資本流出懸念)、

Bトルコ中銀によるサプライズ利下げ(トルコ7月消費者物価指数が前年比+79.60%と、約24年ぶり高水準を記録したにも係わらず、トルコ中銀はエルドアン大統領の方針に沿う形で100bpのサプライズ利下げを実施。利下げは2021年12月以来、8会合ぶり)、C上記Bを背景としたトルコリラの実質金利急低下、Dトルコ経済の先行き不透明感(今週発表されたトルコ7月住宅販売は前年比▲12.9%と、前月の+11.7%を大幅に下回る結果)、E経常赤字と財政赤字の双子の赤字、Fリラ売り防衛能力の脆弱さ(外貨準備残高の乏しさ)など、トルコリラ円相場の下落を連想させる材料が揃っています。以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(一巡後の急落リスクに要警戒)。尚、来週は8/23に予定されているトルコ8月消費者信頼感指数や、8/25のトルコ8月設備稼働率などに注目が集まります。

来週の予想レンジ(TRYJPY):7.30ー7.70

注:ポイント要約は編集部

『サプライズ利下げで対ドル相場は急落も、対円相場は底堅さを維持』

トルコ円日足

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