ユーロは対ドルで横ばい、対円は続落か(週報8月第1週)

先週のユーロドルは、今後の景気後退リスクを強めるとの見方からユーロは売られてのスタートを切りました。

ユーロは対ドルで横ばい、対円は続落か(週報8月第1週)

ユーロは対ドルで横ばい、対円は続落か

〇先週のユーロドル、売られてスタートしFOMC後ドル売りユーロ買いと上下を繰り返す一週間
〇横方向のもみ合い続け、ユーロドルは161pipsの動きに留まり積極的には動きにくそうな流れ
〇欧州はスタグフレーション状態、9月まで積極的にユーロ買いに動くことは難しいと言える
〇4日に英中銀MPC、0.25%利上げがコンセンサスでサプライズは無いとみる
〇今週は1.0100レベルをサポートに1.0300レベルをレジスタンスとする週とみる

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロドルは、週初はロシアによる欧州向けガスの輸出量がこれまでの6割減から8割減にまで急減することからEU全体として15%の節ガスを決定、今後の景気後退リスクを強めるとの見方からユーロは売られてのスタートを切りました。水曜にはFOMC後の米金利低下によるドル売り・ユーロ買い、木曜には弱い欧州の経済指標を受けてユーロ売りのあと米国GDPによる買い戻し、金曜は週末前のポジション調整と月末実需により上下を繰り返す一日で一週間を終えました。

週を振り返ってみると1.01台前半ではユーロ買いが見られるいっぽうで1.02台半ばではユーロ売りが出てくるなど前週と似たようなレンジの中で方向感がはっきりしない動きを続けていました。欧州の景気後退リスクに米国の景気後退リスクも加わったことで材料的にはニュートラル、ユーロドルとしては横方向のもみあいを続け、ドル円が5円近く動いたのに対して、ユーロドルは161pips の動きに留まり、積極的には動きにくそうな流れとなっていました。

先週は米国での景気後退リスクが急速に広がったことによるドル売りが目立ったのですが、景気後退に関して言うならば米国以上に欧州の方がハイリスクです。米国の場合は景気回復後の景気後退ですが、欧州は景気回復を見ないままに景気後退となるにもかかわらず、インフレが進行しているスタグフレーション状態で今後も利上げを継続する必要があります。またイタリアの政局が不安定で解散となったことから9月25日に総選挙が実施されます。9月8日には次回のECB理事会もあり、9月まで積極的にユーロ買いに動くことは難しいと言えるでしょう。

今週の欧州関連の経済指標は主要国のPMI改定値とユーロ圏PPI程度で、それほどインパクトは無いと考えられます。また英中銀MPCが4日にありますが、0.25%利上げがコンセンサスでこちらもサプライズは無いと見られます。今週もドル要因の影響の方が大きそうですが、上下ともに止められている水準が今週も止められるかどうか、テクニカルな要因もそろそろ気になるところです。

テクニカルには、いつもの日足チャートをご覧ください。

ユーロは対ドルで横ばい、対円は続落か

依然として年初来高値からの下降チャンネル(青)の中での動きを続けていますが、ここ2週間ほどは横方向のもみあいが続いています。水準としては7月安値(=年初来安値)0.9951とその後の戻り高値1.0277の半値押し1.0114がサポート、6月下旬の戻り高値1.0614と7月安値との半値戻し1.0282がレジスタンスとして効いていると言えるでしょう。

今週はこれら両水準を参考に1.0100レベルをサポートに1.0300レベルをレジスタンスとする週を見ておくこととします。

今週のコラム

今週もユーロ円の日足チャートです。

ユーロは対ドルで横ばい、対円は続落か 2枚目の画像

ドル円の調整が進み大きく円高に動いたことでユーロ円も月間安値を更新しての月末クローズとなりました。下降ウェッジも下抜けしてきたことで年初来高値からの逆N波動(ピンク)の100%エクスパンションの134.90を目先のターゲットに下降トレンドを継続しやすい流れです。

さらに年初来安値と年初来高値の半値押しが134.32となることから、今週の下値目途として135円の大台を割り込みドル円の動きによっては134円台前半も視野に入れる展開となってきそうです。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

8月1日(月)
15:00 ドイツ6月小売売上高
16:50 フランス7月製造業PMI
16:55 ドイツ7月製造業PMI
17:00 ユーロ圏7月製造業PMI
17:30 英国7月製造業PMI
18:00 ユーロ圏6月失業率

8月2日(火)
15:00 英国7月住宅価格

8月3日(水)
15:00 ドイツ6月貿易収支
16:50 フランス7月サービス業PMI
16:55 ドイツ7月サービス業PMI
17:00 ユーロ圏7月サービス業PMI
17:30 英国7月サービス業PMI
18:00 ユーロ圏6月PPI ☆、小売売上高

8月4日(木)
15:00 ドイツ6月製造業新規受注
17:30 英国7月建設業PMI
20:00 英中銀MPC結果発表 ☆

8月5日(金)
15:00 ドイツ6月鉱工業生産
15:45 フランス6月貿易収支
21:30 米国7月雇用統計 ☆

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時~NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

7月25日(月)
ユーロドルは東京市場では動意薄、欧州市場に入りECB関係者が弱いユーロは問題と発言したこと、ロシア政府がノードストリーム経由の欧州向けガスは停止しないと発言したことからユーロ買いの動きとなったものの、その後ロシアが供給量を減らすとの発表もしたことで上がる前の水準に下押し後、若干戻しての引けとなりました。

7月26日(火)
ユーロドルはロシアによるガス供給削減(これまでの6割減から8割減へ)を受けEU全体での15%の節ガスに合意しました。年後半の景気後退リスクにさらなる悪影響が出てくると見られ欧州市場でユーロドルは売りが目立ち、NY市場では1.0108レベルと先週初の水準まで下げ、安値引けとなりました。

7月27日(水)
ユーロドルはFOMC前に買い戻しが先行した後に売りが強まり一時1.0097レベルの週間安値をつけていました。FOMC後はドル円同様に米金利低下によるドル売りからユーロドルは1.0221レベルまで上昇し、そのまま高値圏での引けとなりました。

7月28日(木)
ユーロドルは東京市場では動意薄でしたが欧州市場に入ると予想通りに弱かった経済指標を受けユーロドルは下落、NY市場前には1.0114レベルの安値をつけました。NY市場ではGDPマイナスを見たドル売りの動きからユーロドルにも買い戻しが入り、1.0200レベルの戻り高値をつけて引けました。なお、ユーロ円はドル円の下げが大きくNY前場に136.37レベルまで水準を切り下げ、引けにかけては137円に近づいての引けとなりました。

7月29日(金)
ユーロドルはドル円でのドル安に引っ張られて東京後場に一時1.0254レベルまで買われたものの、欧州市場以降はドル円とともにドル買い・ユーロ売りとなり1.0146レベルまで下押ししました。NY市場でもドル円と歩調を揃え米金利低下によるドル売り・ユーロ買いから1.0226レベルまで買い戻されての週末クローズとなりました。

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