トルコリラ円見通し ドル高リラ安続き6月27日以降の安値更新(22/7/26)

トルコリラ円の7月25日は7.69円から7.63円の取引レンジ、26日早朝の終値は7.66円で先週末終値と変わらずだった。

トルコリラ円見通し ドル高リラ安続き6月27日以降の安値更新(22/7/26)

トルコリラ円見通し ドル高リラ安続き6月27日以降の安値更新

〇トルコリラ円、7/25はドル高リラ安が継続したことで夕刻7.63へ下落、その後はドル高リラ安一服
〇7/26午前はドル円の戻り売り優勢と、ドル高リラ安への切り返しで失速、安値更新への余裕が乏しい
〇対ドル、7/25は17.85から17.74の取引レンジ、リラ売りの流れ継続
〇終値ベースでは先週末に続いて史上最安値を更新、取引時間中の史上最安値18.36を試す流れか
〇7月トルコ製造業景況感は悪化、設備稼働率は改善し概ね良好な稼働を保つ
〇7.69以下での推移中は一段安警戒とし、7.63割れからは7.50台後半を試すとみる
〇7.69を超える場合は7.73試しとするが、その後に7.68を割り込むところからは下げ再開とみる

【概況】

トルコリラ円の7月25日は7.69円から7.63円の取引レンジ、26日早朝の終値は7.66円で先週末終値と変わらずだった。
ドル高リラ安が続く中で7月22日夜にドル円が135円台半ばまで急落した局面で7.64円へ下落し、7月25日はドル円が急落後の買い戻しで136円台後半へ戻したことが若干の支えとなったもののドル高リラ安が継続したために7.70円には届かずに夕刻安値で7.63円へ安値を更新、その後はドル高リラ安が一服したことで26日早朝にかけて7.68円台へ持ち直した。
しかし7月26日午前はドル円が137円に届かないとみて戻り売り優勢から136円台前半へ失速し、ドル/トルコリラも26日早朝からは再びドル高リラ安へ切り返したことで7.64円台へ失速しており、安値更新への余裕が乏しくなっている。

【ドル/トルコリラは12月23日以降の最安値をさらに更新】

ドル/トルコリラの7月25日は17.85リラから17.74リラの取引レンジ、26日早朝の終値は17.77リラで先週末終値の17.72リラからは0.05リラのドル高リラ安となった。
7月25日は独IFO景況指数のほかは注目度の高い米経済指標の発表はなく、7月26-27日の予定で開催される米FOMCも迫った状況の中で為替市場全般の動きはやや慎重でドルの強弱もまちまちだったが、リラ売りの流れは継続した。
7月18日からは6日連続の日足陰線での下落であり、昨年12月23日にリラ預金保護政策をきっかけに急騰したところでつけた高値10.06リラ以降の最安値を更新、終値ベースでは先週末に続いて史上最安値を更新した。
1ドル18リラへ徐々に迫っており、連日の終値ベース最安値更新のため、12月20日に付けた取引時間中の史上最安値18.36リラを試す流れと思われる。

【7月のトルコ製造業景況感は悪化】

トルコ統計局が発表した7月のトルコ製造業景況指数は103.7となり6月の106.4から悪化した。パンデミック後の景気回復により昨年7月には114.8まで上昇していたが、その後は頭打ちから低下傾向にあり、7月はこの1年間で最低となり前年比では6月のマイナス5.8%から7月はマイナス9.7%と悪化している。リラ安が輸出に有利とは言っても高インフレが続く中で製造業への負担も大きい。

トルコリラ円見通し ドル高リラ安続き6月27日以降の安値更新

7月の設備稼働率は78.2%で6月の77.6%から改善した。昨年9月に78%台に到達して以降は一時的な低下が見られるものの77%台までで確りしており、概ね良好な稼働を保っている。
エルドアン政権による低金利政策はリラ安をてことした輸出拡大、観光集客による景気拡大と経常収支改善を目指すものであり、今のところは昨年9月から12月にかけてインフレ進行中にも関わらず4会合連続で利下げに踏み切ったことがリラ暴落を招いてインフレをさらに悪化させる結末となったが、世界のサプライチェーンが混乱を続ける中でのトルコへの代替需要拡大もあり、パンデミック後の景気回復力としてはG20の中でも秀逸といえる。インフレとリラ安が落ち着けばトルコ経済の地力の強さも認められるところだが、世界同時進行のインフレはまだ収まらず、リラ売り攻勢も続いている。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、7月19日夜安値をサイクルトップとしていったん戻していたものの7月21日夜からの急落で7月19日夜安値を大幅に割り込んだために7月22日午前時点では7月20日早朝高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして22日夜から26日夜にかけての間への下落を想定した。
7月25日夕刻へ安値を更新してから小反発し、26日午前は再び失速しているところだが、前回ボトムから4日を経過しているので25日夕安値で直近のサイクルボトムを付けたと仮定する。底割れ回避のうちは26日の日中から27日早朝にかけての間への上昇余地ありとするが、既に底割れへの余裕が乏しいと注意し、底割れからは新たな弱気サイクル入りとして28日夕から8月1日夕にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では、7月26日午前の下落で遅行スパンが悪化、先行スパンから転落した状況も続いているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。遅行スパンが一時的に好転しても先行スパン下限に上値を抑えられやすいとみてその後に遅行スパンが悪化するところから下げ再開とする。強気転換には先行スパンへ潜り込む反騰が必要と思われる。

60分足の相対力指数は7月22日早朝に20ポイントを割り込んだところから戻してきたが、26日早朝に60ポイントへ迫ったところから40ポイント割れへ失速しているのですでに戻り一巡から下落再開に入ったとみて20ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.63円を下値支持線、7.69円を上値抵抗線とする。
(2)7.69円以下での推移中は一段安警戒とし、7.63円割れからは7.50円台後半(7.60円から7.55円)を試すとみる。7.57円以下は反騰注意とするが、7.65円以下での推移なら27日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)7.69円前後では戻り売りにつかまりやすいとみる。7.69円を超える場合は7.73円試しとするがその後に7.68円を割り込むところからは下げ再開とみる。

【当面の主な予定】

7月28日
 16:00 7月 経済信頼感 (6月 93.6)
 20:00 トルコ中銀 年末予想インフレ率 (6月 42.8%)
 20:30 週次 外貨準備高 7/22時点
7月29日
 16:00 6月 貿易収支 (5月 -106.1億ドル)
 16:00 6月 観光客数 前年同月比 (5月 308%)
8月1日
 16:00 7月 イスタンブール製造業PMI
8月3日
 16:00 7月 消費者物価 前月比 (6月 4.95%)
 16:00 7月 消費者物価 前年同月比 (6月 78.62%)
 16:00 7月 生産者物価 前月比 (6月 6.77%)
 16:00 7月 生産者物価 前年同月比 (6月 138.31%)


注:ポイント要約は編集部

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