トルコリラ円見通し トルコ中銀7会合連続現状維持でドル高リラ安が加速、ドル円も反落(22/7/22)

トルコリラ円は円高とリラ安の両面から押されて下げ幅を拡大、22日早朝も安値を更新している。

トルコリラ円見通し トルコ中銀7会合連続現状維持でドル高リラ安が加速、ドル円も反落(22/7/22)

トルコ中銀7会合連続現状維持でドル高リラ安が加速、ドル円も反落

〇トルコリラ円、7/21は7.88から7.73の取引レンジ、円高とリラ安の両面から押され下げ幅を拡大
〇対ドル、7/21は政策金利据え置きを受け17.75へ下落、前日に続き終値ベースの最安値更新
〇トルコ中銀は7会合連続で政策金利据え置き、金融政策への不信感からリラ売り勢い付く
〇7.80以下での推移中は一段安警戒とし、7.70割れからは7.60台中盤を試すとみる
〇7.80を超える場合は7.83試しとするが、その後に7.77を割り込むところからは下げ再開とみる

【概況】

トルコリラ円の7月21日は7.88円から7.73円の取引レンジ、22日早朝の終値は7.75円で前日終値の7.85円から0.10円の円高リラ安となった。6月16日安値7.59円から6月27日高値8.37円までの上昇で戻りが一巡して下落に転じ、7月15日にかけては下げ渋りからやや持ち直しも見られたが、7月18日から下落再開に入り7月20日まで3営業日続落となっていた。
7月21日は午前に日銀金融政策決定会合、夜にトルコ中銀金融政策委員会とECB理事会があった。日銀が金融緩和を維持して円安へのけん制が鈍かったことで夕刻にかけてはドル円が上昇していたものの、一方ではドル高リラ安が進行したためにトルコリラ円は円安を活かせずに下げ渋り程度にとどまり、夜のトルコ中銀による政策金利現状維持=利上げ拒否からリラ売りが加速して一段安に陥った。またECBの利上げを材料消化とした後は欧米長期債利回り低下によりドル円が7月19日夜安値を割り込む一段安となったため、トルコリラ円は円高とリラ安の両面から押されて下げ幅を拡大、22日早朝も安値を更新している。

【トルコ中銀の政策金利据え置きでドル高リラ安が一段と加速】

ドル/トルコリラの7月21日は17.75リラから17.70リラの取引レンジ、22日早朝の終値は17.71リラで前日終値の17.60リラからは0.11リラのドル高リラ安だった。
高インフレが続く中でリラ安阻止のための利上げをせずに将来の利下げ希望を強く主張するエルドアン政権による金融政策への不信感が再び強まっており、7月20日には17.62リラの安値をつけて12月23日高値10.06リラ以降の安値を更新していたが、21日はトルコ中銀の政策金利据え置きを受けて17.75リラへと安値水準をさらに切り下げた。また終値ベースでは昨年12月20日に18.50リラの史上最安値を付けた前日の12月17日終値16.41リラが暫くは終値ベースでの史上最安値だったところ、6月にこれを割り込んでからも最安値更新が続いており、7月21日終値17.71リラで前日に続いて終値ベースの最安値更新となった。

【トルコ中銀は利上げ意志無し】

7月21日夜にトルコ中銀は政策金利の週間レポレートを14.0%で据え置いた。昨年9月から12月まで4会合連続の利下げで19.0%から14.0%まで引き下げた後はインフレの深刻化とリラ暴落回避のために据え置きに入ったが、1月から7月まで7会合連続の据え置きとなった。消費者物価上昇率が80%近くへと悪化している中では利下げは不可能だがエルドアン大統領による利下げ政策を忖度して中銀は据え置きにとどまったといえる。
政策金利の現状維持は市場予想通りだったが、ECBが21日の理事会で市場予想の0.25%利上げを上回る0.50%の利上げを決定、南ア中銀も6月の4.75%から5.50%へと0.75%の大幅利上げをしており、来週7月26-27日の米FOMCでも0.75%利上げが確実視されている中、利上げを拒否してインフレが収まらないトルコ金融政策への不信感からリラ売りが勢い付いている。

トルコの6月消費者物価上昇率は前年比で%だったが、勢いはまだ衰えずに7月は80%を超える見通しとなっており、次回会合でも利下げできずに据え置きとなりそうだ。市場は利上げ催促的なリラ売り攻勢を仕掛けつつ、既に17リラ台後半へ下落している状況のため、18リラ台も射程圏として意識しつつ12月20日の取引時間中の史上最安値18.50リラへ徐々に迫ってゆくのではないかとの印象が強まった。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、7月15日深夜高値をサイクルトップとして18日夕から20日夜にかけての間と想定していたが、7月19日夜に一段安したところから反騰したために7月20日午前時点では7月13日夕安値から4日目となる7月19日夜安値で直近のサイクルボトムを付けて強気サイクル入りしたとし、新たなトップ形成期を20日夜から22日夜にかけての間と想定した。
7月21日午前にかけては持ち合い推移にとどまっていたため21日午前時点ではまだ上昇余地ありとしたが、7.84円割れからは弱気転換注意とし、7月19日夜安値7.81円割れからは弱気サイクル入りとした。
7月21日夜からの急落で7月19日夜安値を大幅に割り込んでいるため、20日早朝高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして22日夜から26日夜にかけての間への下落を想定する。
強気転換には7.80円を超えるような反騰が必要と思われる。

60分足の一目均衡表では、7月21日夜からの一段安により遅行スパンが悪化、先行スパンへ潜り込みかけたところから転落している。その後も両スパンそろっての悪化が続いているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。遅行スパン好転からは戻りを試すとみるがその際は先行スパンが上値抵抗帯になりやすいとみる。

60分足の相対力指数は7月22日早朝に20ポイントを割り込んでおり19日夜の水準も割り込んでいるためさらに一段安の懸念がある。相場が一時的に戻してから一段安する際に指数のボトムが切り上がる強気逆行が見られる場合は反騰注意とするが、上昇再開には50ポイントに迫る上昇が必要と思われる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.70円を下値支持線、7.80円を上値抵抗線とする。
(2)7.80円以下での推移中は一段安警戒とし、7.70円割れからは7.60円台中盤(7.67円から7.63円)を試すとみる。7.65円以下は反騰注意とするが、7.80円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)7.77円から7.80円手前は戻り売りにつかまりやすいとみる。7.80円を超える場合は7.83円試しとするがその後に7.77円を割り込むところからは下げ再開とみる。

【当面の主な予定】

7月25日
 16:00 7月 製造業景況感 (6月 106.4)
 16:00 7月 設備稼働率 (6月 77.6%)
7月28日
 16:00 7月 経済信頼感 (6月 93.6)
 20:00 トルコ中銀 年末予想インフレ率 (6月 42.8%)
 20:30 週次 外貨準備高 7/22時点


注:ポイント要約は編集部

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