トルコリラ円見通し 円高に押されて一段安するも、深夜からは円安再開で持ち直しを図る(22/7/20)

7月19日は7.92円から7.81円の取引レンジ、20日早朝の終値は7.87円で前日終値の7.90円からは0.03円の円高リラ安だった。

トルコリラ円見通し 円高に押されて一段安するも、深夜からは円安再開で持ち直しを図る(22/7/20)

円高に押されて一段安するも、深夜からは円安再開で持ち直しを図る

〇トルコリラ円、7/19夜7.81まで一段安、ドル円138円台回復で7/20早朝7.87に戻す
〇ドル/トルコリラ、市場全般でドル高緩むがリラ安基調は変わらず、安値17.59更新
〇7/21トルコ中銀会合、14%政策金利維持予想、高インフレ下でも利下げ機会伺う
〇欧米金融引き締め、トルコ利下げ姿勢の乖離によるリラ売りエスカレートに注意
〇日銀金融緩和によるドル円上昇、ドル高リラ安の綱引きでトルコリラ円が上昇する可能性も
〇7.85以上での推移中は上昇余地ありとみる
〇7.85割れからは下向きとして、7.81試しを想定する

【概況】

トルコリラ円の7月19日は7.92円から7.81円の取引レンジ、20日早朝の終値は7.87円で前日終値の7.90円からは0.03円の円高リラ安だった。
ドル円が7月14日に139.39円へ上昇して昨年1月6日底102.57円以降の最高値を更新した局面でトルコリラ円は7.90円台中盤へ上昇し、ドル円が上昇一服でやや下げたもののドル/トルコリラにおけるドル高リラ安が一服してリラ買いが入った7月15日深夜に8.02円へ上昇したが、その後はドル円が138円割れへ続落したことに圧迫されて7月18日には7.88円へ下落、19日午前まではやや下げ渋っていたが、ドル円が19日夜に137.37円まで一段安したためにトルコリラ円も7.81円まで一段安となった。
7月19日深夜からはドル円が米長期債利回りの連騰を見て持ち直しに入り138円台序盤を回復したため、トルコリラ円も20日早朝には7.87円まで戻しており、7月15日夜からの下落が落ち着いて持ち直しを図り始めた印象だ。

【全般のドル高が緩んでいるもののドル高リラ安は継続】

ドル/トルコリラの7月19日は17.59リラから17.44リラの取引レンジ、20日早朝の終値は17.56リラで前日終値の17.43リラからは0.13リラのドル高リラ安となった。
7月5日から7月14日にかけてユーロドルが大幅下落して1ユーロ1ドルのパリティを割り込み為替市場全般におけるドル高が加速していたが、ユーロドルが反騰に転じたことで15日以降はドル高が緩みポンドや豪ドルなども戻してきた。しかしドル/トルコリラにおけるドル高リラ安基調は変わらず、7月15日夜に一時的なドル安リラ高となる局面もあったものの早々にドル高リラ安へと切り返されており、7月18日は終値ベースでの史上最安値を更新、19日も17.59リラの安値をつけて12月23日以降の最安値を更新、終値ベースでも17.50リラを超える水準で最安値を更新した。

【7月21日は日銀、トルコ中銀、ECBの金融政策決定会合】

7月21日には昼前後に日銀の金融政策発表、午後に黒田総裁会見、夜にはトルコ中銀とECBの政策金利発表がある。
日銀は現状の金融緩和政策維持と思われ、ECBは従来から7月理事会での利上げ方針を示してきたが、ユーロ圏におけるインフレ高進により従来想定の0.25%利上げではなく0.50%利上げの可能性が高まりつつある。
一方でトルコ中銀は14.0%での政策金利現状維持が予想されている。7月19日にロイター社が集計した18人のエコノミスト予想では全員が14.0%の現状維持予想となっている。
6月の消費者物価上昇率が前年同月比で78.62%となり高インフレが一段と悪化している中にあってもエルドアン政権は利上げをせずに利下げの機会を伺う姿勢を崩していない。6月6日には5月の消費者物価が一段と上昇した後にも関わらずエルドアン大統領は利下げ政策の維持を強調している。

今回、さすがに利下げできる状況にはないと思われるが、ECBが大幅利上げに踏み切れば、来週の7月26〜27日の米FRBによる大幅利上げも見込まれていることから欧米の金融引き締めに対するトルコの利下げ姿勢との乖離からリラ売りが一段とエスカレートする可能性がある。
ただし、日銀もマイナス金利と量的金融緩和及び長期債利回り上昇抑制姿勢を強固に主張してきたために、金融緩和から引き締めへの転換へ進めないことによる弱い円と弱いリラの弱さ比べとなり円安が勢い付けばドル/トルコリラでのドル高リラ安とドル円の上昇の綱引きでトルコリラ円が上昇するという結果になることも考えられる。
7月9日にフィッチレーティングスがトルコの格下げを発表したが、ムーディーズやS&Pも格下げに踏み切ればリラ安への投機的な攻撃とトルコ中銀による防戦的なリラ買いがぶつかる展開となることも考えておく必要がありそうだ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、7月13日夕安値をサイクルボトムとして上昇していたが、7月15日深夜高値で直近のサイクルトップをつけて弱気サイクル入りしたとし、ボトム形成期を18日夕から20日夜にかけての間と想定した。
7月19日夜に一段安したところから反騰しているため、13日夕安値から4日目となる19日夜安値で直近のサイクルボトムを付けて強気サイクル入りしたと思われる。トップ形成期は20日夜から22日夜にかけての間と想定されるのでまだ上昇余地ありとみるが、7.85円割れからは弱気転換注意として19日夜安値7.81円試しとし、底割れからは新たな弱気サイクル入りとして22日夜から26日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では、7月15日深夜高値からの反落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落したが、その後も両スパンそろっての悪化が続いている。7月19日夜からの反騰で遅行スパンは好転しやすい位置に来ているので遅行スパン好転からは高値試し優先とするが、その際は先行スパンが上値抵抗帯になりやすいと思われる。また遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところからは下げ再開とみる。

60分足の相対力指数は7月19日夜に20ポイント割れまで一段安してから50ポイント台まで戻しているので19日夜安値からは戻りを試す流れと思われる。40ポイント以上での推移中は上昇余地ありとするが、40ポイント割れからは下げ再開とみて20ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.85円を下値支持線、7.90円を上値抵抗線とする。
(2)7.85円以上での推移中は上昇余地ありとみる。7.90円前後では戻り売りも出やすいとみるが7.90円を超える場合は7.93円前後への上昇を想定する。また7.87円以上での推移なら21日午前にかけての高値を試す余地ありとみる。
(3)7.85円割れからは下向きとして7月19日夜安値7.81円試しとし、底割れからは7.77円前後への下落を想定する。7.77円以下は買い戻し入りやすいとみるが、7.83円以下での推移なら21日午前も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

7月20日
 16:00 7月 消費者信頼感 (6月 63.4)
 23:30 6月 中央政府債務 (5月 336億リラ)
7月21日
 20:00 トルコ中銀MPC(金融政策委員会) 週間レポレート (現行 14.0%)
 20:30 週次 外貨準備高 7/15時点 グロス (7/8時点 588.7億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 7/15時点 ネット (7/8時点 60.7億ドル)
7月25日
 16:00 7月 製造業景況感 (6月 106.4)
 16:00 7月 設備稼働率 (6月 77.6%)
7月28日
 16:00 7月 経済信頼感 (6月 93.6)
 20:00 トルコ中銀 年末予想インフレ率 (6月 42.8%)
 20:30 週次 外貨準備高 7/22時点

注:ポイント要約は編集部

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