南アランド週報:『対ドルで約2年ぶり安値更新。来週は南アCPIとSARBに注目』(7/16朝)

南アランドの対円相場は6/9に記録した直近高値8.81円をトップに反落に転じると、今週前半にかけて、約2カ月ぶり安値となる7.97円まで下落しました。

南アランド週報:『対ドルで約2年ぶり安値更新。来週は南アCPIとSARBに注目』(7/16朝)

『対ドルで約2年ぶり安値更新。来週は南アCPIとSARBに注目』

〇今週の南アフリカランド円、週前半に7.97まで下落、週後半には円安進行に8.18まで上昇
〇テクニカルには地合いの悪化を印象付けるチャート形状、7.86割れでダブルトップ完成
〇ファンダメンタルズも、南アランド円相場のダウンサイドリスクを連想させる材料揃う
〇南アランド円相場の下落をメインシナリオとして予想
〇来週は南ア6月消費者物価指数と、南ア中銀金融政策決定会合に注目
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):7.85ー8.25

今週のレビュー(7/11−7/15)

今週の南アフリカランド円(ZARJPY)相場は、週初8.06円で寄り付いた後、@米FRBによる金融引き締め観測の高まり(過剰流動性相場逆流懸念→南アフリカから米国への資本流出懸念)や、A南アフリカ経済の先行き不透明感、B南アフリカの主要産品であるプラチナ価格の軟調推移が重石となり、翌7/12にかけて、週間安値7.97円(5/19以来、約2ヵ月ぶり安値圏)まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると(心理的節目8.00円前後での押し目買いに下支えされると)、C日銀による金融緩和の長期化観測(世界的な円独歩安→ドル円急伸→クロス円急伸→南アランド円連れ高)が支援材料となり、週後半にかけて、週間高値8.18円まで上昇しました。もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、引けにかけて反落に転じ、本稿執筆時点(日本時間7/16午前5時00分現在)では、8.10円前後で推移しております。尚、南アランドの対ドル相場は、2020年8月以来、約2年ぶり安値圏まで売り込まれる展開となっております。

来週の見通し(7/18−7/22)

南アランドの対円相場は6/9に記録した直近高値8.81円をトップに反落に転じると、今週前半にかけて、約2カ月ぶり安値となる7.97円まで下落しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、21日移動平均線や90日移動平均線、一目均衡表雲上下限を下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する一目均衡表三役逆転も成立するなど、テクニカル的に見て、地合いの悪化を印象付けるチャート形状となりつつあります。5/12に記録した安値7.86円を割り込むことが出来れば、4/19高値と6/9高値で形成されたダブルトップが完成するため、中長期的な視点でも「上昇から下落へのトレンド転換」が明確となります。目先は7.86円を死守できるか否かに注目が集まりそうです。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、@米FRBによるタカ派傾斜スタンスの明確化(今週発表された米CPIおよび米PPIが市場予想を大幅に上回る結果となったことから、7月FOMCでの100bp利上げ観測が浮上)や、A上記@を背景とした資産現金化需要のドル買い圧力(新興国から米国への資本流出圧力)、B南アフリカ経済の先行き不透明感(景気停滞と高インフレが同時に進むスタグフレーション懸念。今週発表された南ア5月小売売上高は予想+0.6%に対して、結果は前月比▲1.0%と冴えない数字。南アフリカの主要株価指数も約9ヵ月ぶり安値圏へ下落)、C南ア中銀による追加利上げ観測(スタグフレーション懸念が燻る中での金融引き締めは景気への逆風)、D南ア財政収支の悪化懸念(構造的な南アランド売り圧力)、Eコモディティ価格の冴えない動き(南アフリカの主要産品であるプラチナ価格が2020年7月以来、約2年ぶり安値圏へ急落→南アフリカの交易条件悪化)、F南アフリカと経済的な結びつきの強い中国の景気減速懸念(中国におけるコロナ感染再拡大)など、南アランド円相場のダウンサイドリスクを連想させる材料が揃っています。

以上を踏まえ、当方では引き続き、南アランド円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(テクニカル的にもファンメンタルズ的にも南アランド円相場の下落を示唆)。尚、来週は南ア6月消費者物価指数と、南ア中銀金融政策決定会合(SARB)に注目が集まります。南ア6月消費者物価指数が市場予想を上回る場合は、SARBでの大幅利上げ観測の再燃を通じて(市場予想は50bp利上げであるが、CPIの結果次第で75bp利上げ観測が浮上する恐れあり)、「スタグフレーション懸念が燻る中での大幅利上げ実施→南ア経済への更なる逆風→南ア主要株価指数下落→市場心理悪化→南アランド売り」の波及経路が意識され易くなります。来週はCPIが発表される7/20以降のダウンサイドリスクに特に警戒が必要でしょう(※従来はCPI上振れ→利上げ観測台頭→南アランド買いの波及経路が一般的でしたが、現在は上述の理由で南アランド売りに繋がる傾向あり)。

今後の注目材料
07/20(水)南ア6月消費者物価指数
07/21(木)南ア中銀金融政策決定会合
07/28(木)南ア6月生産者物価指数
07/30(土)南ア6月貿易収支
07/31(日)中国7月製造業PMI
08/01(月)中国7月財新製造業PMI

来週の予想レンジ(ZARJPY):7.85ー8.25

注:ポイント要約は編集部

『対ドルで約2年ぶり安値更新。来週は南アCPIとSARBに注目』

南アランド円日足

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