トルコリラ円見通し 円安一服で7.90円手前から調整気味、今晩のトルコ中銀MPCに注目(22/6/23)

トルコリラ円の6月22日は7.89円から7.82円の取引レンジ、23日早朝の終値は7.85円で前日終値の7.88円からは0.03円の円高リラ安だった。

トルコリラ円見通し 円安一服で7.90円手前から調整気味、今晩のトルコ中銀MPCに注目(22/6/23)

円安一服で7.90円手前から調整気味、今晩のトルコ中銀MPCに注目

〇トルコリラ円、夜にかけややジリ安の推移で7.82まで下げ、その後7.85を挟んでの揉み合い
〇ドル/トルコリラは1ドル17リラ台序盤での軟調推移が続いているもののやや膠着状態
〇今晩のトルコ中銀MPCでの金融政策姿勢によってはリラ売りが勢い付く可能性もあるところと注意
〇22日夕刻発表の6月消費者信頼感指数は63.4となり5月から低下、2021年3月以降は低下傾向
〇22日高値7.89を下回るうちは一段安余地あり、7.82割れからは7.70円台後半への下落を想定
〇7.87超えからは7.89試し、7.89超えからは7.90台序盤への上昇を想定、7.92以上は反落注意

【概況】

トルコリラ円の6月22日は7.89円から7.82円の取引レンジ、23日早朝の終値は7.85円で前日終値の7.88円からは0.03円の円高リラ安だった。
ドル/トルコリラは1ドル17リラ台序盤での軟調推移が続いているもののやや膠着状態にある中、ドル円が6月15日から16日夜にかけて4円を超える急落後に丸1日で下落分を解消する反騰となり、22日午前には136.71円を付けて昨年1月以降の最高値を更新したため、トルコリラ円はドル円の騰落に同調しつつ6月16日安値7.59円からの反騰を継続して22日朝には7.89円まで切り返した。
6月22日の日中はドル円の急騰一服となり夜のパウエル米連銀議長議会証言を控えてやや調整的な動きで136円を割り込んだため、トルコリラ円も夜にかけてはややジリ安の推移で7.82円まで下げ。その後は7.85円を挟んでの揉み合いとなっている。

ドル円は米長期債利回りが低下したことでやや調整気味だが昨年来の大上昇基調を継続している。一方でトルコリラは対ドルでの軟調推移も続いており、弱い通貨同士の綱引き状態にあるが、今晩のトルコ中銀MPC(金融政策委員会)での金融政策姿勢によってはリラ売りが勢い付く可能性もあるところと注意したい。
6月22日夕刻発表の6月消費者信頼感指数は63.4となり5月の67.6から低下した。2021年3月に86.7まで上昇したところからは低下傾向がつづいている。

【1ドル17.40リラに到達、12月23日以降の安値更新】

ドル/トルコリラの6月22日は17.40リラから17.27リラの取引レンジ、23日早朝の終値は17.34リラで前日終値と変わらずだった。
5月9日に3月11日につけた1ドル15リラの壁を突破してリラ安が勢い付き、5月24日には1ドル16リラを突破、6月8日には1ドル17リラも超え、その後も徐々に安値切り下げが続いている。高インフレの進行とエルドアン大統領による利下げ政策の継続強調と大統領の意向を忖度したトルコ中銀による政策金利現状維持がリラ安の背景だが、昨年12月20日に付けた取引時間中の史上最安値18.36リラ及び18リラ台にはまだ距離を残しているものの12月23日以降の安値更新が続き6月22日も安値更新となった。終値ベースではすでに12月17日の16.41リラを超えたところから史上最安値更新に入っており、6月21日と22日も17.34リラで終値ベースでの最安値状態を継続している。
6月22日夜は米連銀のパウエル議長議会証言等から米長期債利回りが低下してドル高がやや緩んだもののトルコリラへの影響は鈍い。今晩のトルコ中銀金融政策がどのような内容になるのか注目される。

【今晩、トルコ中銀の政策金利発表】

今晩20時、トルコ中銀の金融政策決定会合(MPC)がある。
トルコ中銀は昨年9月に政策金利の週間レポレートを19.0%から18.0%へ引き下げてから12月の14.0%まで4会合連続の利下げを強行した。その後は5会合連続で現状維持としているが、利下げがリラ暴落を招いて12月には対ドル、対円等で史上最安値を更新、通貨安による輸入インフレも一層悪化して消費者物価上昇率は大幅上昇を続けて5月には70%を超えた。しかしエルドアン大統領は6月6日に利下げ政策を継続すると演説しているため、トルコ中銀も本来なら利上げすべきところを現状維持にとどめているものの、大統領の圧力次第では利下げ再開へ踏み切る可能性もゼロではないと市場はみている。現時点での市場予想平均値は14%での据え置きだが、一部には13%への利下げ可能性を示唆するものもある。

トルコ政府はこれまでも最低賃金の引き上げ、リラ預金の為替差損補填、付加価値税の大幅引き下げ、輸出企業の外貨収入を中銀などへの預託強制、国営企業収益連動型の利回り保証付き債券発行など、リラ防衛や国民生活支援策を講じているため、中銀の金融政策発表からリラ安が進行するようだと何らかの手を打ってくる可能性もある。
また金融政策発表後には外貨準備高の発表もあるため、リラ防衛的な介入による外貨準備高減少などが見られる場合にはリラ売りを助長しやすいと注意したい。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、6月15日午前高値を直近のサイクルトップとして6月16日夜へ急落したが、その後にV字反騰したために6月17日午前時点では6月16日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして6月20日午前から22日午前にかけての間への上昇を想定した。
6月22日朝高値からは22日夜にかけて下落したため、22日朝高値で直近のサイクルトップを付けて弱気サイクル入りしているところと思われる。ボトム形成期は22日の日中から23日深夜にかけての間と想定されるのですでに反騰注意期にあるが、中銀政策発表を前後して下落反応となる場合は24日にかけてもさらに安値試しが続く可能性もあるところと注意する。強気転換は6月22日朝高値超えからとし、その際は25日朝から29日朝にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では、6月22日夜の下落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落しやすい位置にあるため、遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、先行スパン転落からは下げ足が早まる可能性もあると注意する。ただし、6月22日朝高値を上抜くところからは上昇再開に入ったとみて遅行スパン好転中の高値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は6月22日夜の下落で40ポイント台へ低下した後は50ポイントを挟んで揉み合いとなっている。60ポイント超えからは上昇再開とするが、40ポイント割れからは30ポイント以下への低下へ向かうとみる。下げ足が早まる場合は10ポイント台への低下もあり得ると注意したい。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.82円を下値支持線、7.89円を上値抵抗線とする。
(2)7.89円を下回るうちは一段安余地ありとし、7.82円割れからは7.70円台後半(7.80円から7.75円)への下落を想定する。7.75円以下は反騰注意とするが、下げ足が早まる場合は7.75円以下への急落もあり得ると注意する。また7.82円を下回っての推移なら24日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)7.87円超えからは7.89円試しとし、7.89円超えからは7.90円台序盤(7.90円から7.92円)への上昇を想定する。7.92円以上は反落注意とするが、7.89円を超えた後も7.85円を上回っての推移なら24日も高値試しへ向かう可能性があるとみる。

【当面の主な予定】

6月23日
 20:00 トルコ中銀 政策金利 (現行 14.00%、予想 14.00%)
 20:30 週次 外貨準備高 6/17時点 グロス (6/10時点 607.9億ドル)
     週次 外貨準備高 6/10時点 ネット (6/10時点 81.5億ドル)
6月24日
 16:00 6月 製造業景況感 (5月 109.4)
 16:00 6月 設備稼働率 (5月 78.0%)

注:ポイント要約は編集部

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