トルコリラ円見通し 新型国債発行発表から一時急伸するも「往って来い」の反落(22/6/10)

トルコリラ円の6月9日は7.98円から7.73円の取引レンジ、10日早朝の終値は7.81円で前日終値の7.82円からは0.01円の円高リラ安だった。

トルコリラ円見通し 新型国債発行発表から一時急伸するも「往って来い」の反落(22/6/10)

トルコリラ円見通し 新型国債発行発表から一時急伸するも「往って来い」の反落

〇トルコリラ円、6/9夜の円高局面で7.73へ下落したが、新型国債発行計画の発表で6/10未明7.98へ急騰
〇しかし買い一巡後は7.80割れへと急落、一時的な買い戻しにとどまった印象
〇対ドル、6/9夜17.27をつけたところから、新型国債への期待から6/10未明16.76へ反騰
〇その後早々に戻り売りとなり、6/10朝17.27をつけて急騰幅を解消
〇エルドアン大統領、来年6月の大統領選への出馬を表明
〇7.73割れからは、7.60台後半(7.70から7.65)を試すとみる
〇7.85超えからは7.90台序盤(7.90から7.93)への上昇を想定するが、7.90以上は反落警戒とみる

【概況】

トルコリラ円の6月9日は7.98円から7.73円の取引レンジ、10日早朝の終値は7.81円で前日終値の7.82円からは0.01円の円高リラ安だった。
ドル円が午前に134.55円へ上昇して昨年1月底102.57円以降の最高値を更新したものの高値警戒感から夜安値133.17円まで1円を超える急落となり、対ドルでのリラ安基調も継続していたためにトルコリラ円は円高局面でこの日の安値となる7.73円へ下落したが、ドル円が深夜にかけて反騰したことで持ち直しに入り、10日未明から早朝にかけてはトルコ財務省が利回り保証型の新型国債の発行計画を発表したことをきっかけに7.98円へと急騰した。しかしこれまでのリラ安に歯止めをかけるものにはならないとして買い一巡後は7.80円割れへと急落している。一時的な買い戻しにとどまった印象だ。

【新型国債発行報道で一時急騰するも「往って来い」】

ドル/トルコリラの6月9日は16.76リラから17.27リラの取引レンジ、10日早朝の終値は17.19リラで前日終値の17.13リラからは0.06リラのドル高リラ安となった。
5月9日に1ドル16リラの壁を超えたところからリラ売りが加速、5月26日のトルコ中銀による政策金利維持、6月3日のトルコ5月消費者物価上昇率が73%へ加速したこと、さらに6月6日にエルドアン大統領が利下げ政策の維持を強調する演説を行ったことで1ドル17リラ台へと大幅下落が続いてきた。
6月9日夜に17.27リラをつけてこの間の最安値を更新したところから一時的な急騰で10日未明に16.76リラへ反騰したが、早々に戻り売りとなり10日朝には17.27リラをつけて急騰幅を解消している。10日未明への反騰とその後の急落はトルコ財務省が利回り保証付きの新型国営企業所得指数連動債の発行を発表したことでいったん期待からリラ買いが進んだためだが、リラ安解消策としては不足とみて元の水準まで押し返されたということのようだ。

【エルドアン大統領、来年の大統領選出馬表明】

エルドアン大統領は月9日に与党・公正発展党(AKP)の会合において2023年6月に予定される大統領選挙への出馬を表明した。大統領は「選挙は来年6月半ばに行う、エルドアンが候補者」と述べた。既にAKPはエルドアン氏擁立が既定路線だが、2003年から続くエルドアン体制がさらに続くのかどうか、インフレ進行による国民生活苦による支持率低下も指摘され、外交的にもウクライナ戦争における和平調停での活躍もあるがNATOにおける孤立やギリシャとの対立、シリア国境を巡る大量の難民問題、クルド人勢力との闘争など、課題も多い。

トルコ議会は6月8日に2023年7月までの間の家賃引き上げを25%までの制限する法案を可決した。インフレ進行による国民生活への支援策といえる。5月の消費者物価上昇率は73%まで跳ね上がっているため、家賃抑制はテナントには有利だが家主には不利なこととなる。民間調査では4月のイスタンブールの平均家賃は6500リラ(352ユーロ)で国内最低賃金の230ユーロを大幅に超えており、イスタンブールの平均賃貸価格は2021年3月から2022年3月までの間で112.3%上昇しているとの報道もある。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、6月6日夜安値をサイクルボトムとした強気サイクル入りとしていたが、6月8日朝への下落で6日夜安値に迫ったために8日午前時点では既に弱気サイクル入りしている可能性があるとし、8日夕刻への急落で底割れしたために9日午前時点では6月4日早朝高値と6月7日午後高値をダブルトップとした弱気サイクル入りとして9日夜から13日夜にかけての間への下落を想定した。また強気転換には7.90円を超えるような反騰が必要とした。
6月9日夜に一段安したところから7.98円へ急伸し、その後に再び急落しているため、9日夜安値を直近のサイクルボトムとして強気サイクル入りしたが、既に戻り一巡から新たな弱気サイクル入りしていると思われる。
6月9日夕安値割れ回避のうちは7.85円超えから上昇再開の可能性も残るが、7.85円以下での推移中は下向きとし、9日夜安値割れからは弱気サイクル入りとして14日夜から16日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では、6月9日夜からの反騰で遅行スパンが一時好転して先行スパンも上抜いたが、10日早朝への反落で遅行スパンは再び悪化となり先行スパンからも転落している。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。先行スパン下限が戻りを抑えると思われ、強気転換には先行スパンを上抜き返す反騰が必要と考える。

60分足の相対力指数は6月10日早朝への急伸時に70ポイントを超えたがその後の反落で50ポイントを割り込んでいるので下落再開とみる。60ポイント以下での推移中は下向きとし、40ポイント割れからはて20ポイント台を目指すとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.73円を下値支持線、7.85円を上値抵抗線とみる。
(2)7.82円から7.85円手前は戻り売りにつかまりやすいところとし、7.73円割れからは7.60円台後半(7.70円から7.65円)を試すとみる。7.80円以下での推移なら週明けも安値試しが続くとみる。
(3)7.85円超えからは7.90円台序盤(7.90円から7.93円)への上昇を想定するが7.90円以上は反落警戒とみる。

【当面の主な予定】

6月10日
 16:00 4月 失業率 (3月 11.5%)
6月13日
 16:00 4月 鉱工業生産 前月比 (3月 -1.8%)
 16:00 4月 鉱工業生産 前年同月比 (3月 9.6%)
 16:00 4月 小売売上高 前月比 (3月 0.3%)
 16:00 4月 小売売上高 前年同月比 (3月 2.5%)
 16:00 4月 経常収支 (3月 -55.54億ドル)
6月15日
 17:00 5月 財政収支 (4月 -517.7億リラ)
6月23日
 20:00 トルコ中銀 政策金利 (現行 14.00%)



注:ポイント要約は編集部

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