ドル円 止まらない円安への歩みを再開(週報4月第3週)

先週もドル円は週初から上下しながらも円安が進行、2015年高値を上抜け2002年以来20年ぶりの円安水準を示現しました。

ドル円 止まらない円安への歩みを再開(週報4月第3週)

止まらない円安への歩みを再開

〇先週のドル円、2015年高値を上抜け2002年以来20年ぶりの円安水準を示現
〇ドル買い材料は米10年債利回りの底堅い推移、円売り材料は要人の大規模緩和継続発言
〇次のターゲットは2002年高値の135.16レベル、決して遠い距離ではない
〇円安による物価上昇に対し国民の不満広がれば参院選を控え為替水準に対し警戒感を示す可能性も
〇今週は125.60レベルをサポートに127.10レベルをレジスタンスとする流れとみる

今週の週間見通し

先週もドル円は週初から上下しながらも円安が進行、2015年高値を上抜け2002年以来20年ぶりの円安水準を示現しました。材料的にはドル買い材料として米10年債利回りが2018年以来の2.8%台に乗せ底堅い推移をしたこと、円売り材料として日銀大阪支店長の円安容認発言と黒田日銀総裁による大規模緩和継続発言があったことが影響しました。

米金利上昇と日銀筋の円安容認発言はこれまで通りで財務省筋からは注視するとの発言はあったものの積極的に円安を食い止めようとするものでは無いため、現時点では円安を止める力はありません。そこにテクニカルに2015年高値を上抜けたことで、次のターゲットとしては2002年高値の135.16レベルが視野に入ってきたこととなります。8円以上離れているとはいえ3月に10円以上円安が進んだことを考えると決して遠い距離ではありません。

今週は材料的にはそれほど目立ったものは無いのですが、週明け朝方の黒田日銀総裁と財務大臣の発言を見ている限り、円安水準を更新してきているにも関わらず円安の進行速度に対してのみ警戒を示していることから、水準に対して警戒を示すとすると130円を超える円安になって来た時ではないかと見られます。

ただ、今朝の発言では財務大臣が価格転嫁や賃上げが無い今の現状では悪い円安との見方も示したため、今後円安による物価上昇に対して国民の不満が広がることとなれば、参院選を控えて具体的な為替水準に対して警戒感を示す可能性は高いでしょう。

テクニカルにも見て行きますが、まず日米金利差とドル円の日足です。

止まらない円安への歩みを再開

青のラインが米国10年債と日本10年債の利回り差で右側の軸がその値を示しています。オレンジのラインはドル円で左側の軸がレートを示しています。これを見てもわかる通り、1月の一時期を除いて日米金利差とドル円レートの相関は高く、今後も米金利上昇が見込まれる一方で日本の金利は上がらないとなるとドル円レートも円安に進む可能性が高いということになるでしょう。

いつもの日足チャートもご覧ください。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

赤の水平線は2015年高値125.67レベルで、現状では既に同水準がサポートとなりやすい水準と言えます。いっぽうで上値は長期的には135円を視野に入れてきたものの短期的には目立ったターゲットが無いため、年初来安値を起点とした上昇N波動(ピンク)を考えます。すると50%エクスパンションが127.07、61.8%エクスパンションが128.44となっていて、今週のところは前者の水準をレジスタンス兼ターゲットに考えたいところです。

今週は上記テクニカルな水準を参考に125.60レベルをサポートに127.10レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2022年FOMCメンバー(ニューヨーク、ボストン、クリーブランド、セントルイス、カンザスシティ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

4月18日(月)
**:** イースターマンデーで日本と米国を除く主要市場休場 ☆
11:00 中国1〜3月期GDP ☆
11:00 中国3月鉱工業生産、小売売上高
23:00 米国3月NAHB住宅指数
29:00 セントルイス連銀総裁講演

4月19日(火)
10:30 豪中銀理事会議事要旨公表 ☆
21:30 米国3月住宅着工・建築許可
25:05 (シカゴ連銀総裁講演)

4月20日(水)
08:50 本邦3月貿易収支(通関)
15:00 ドイツ3月PPI ☆
18:00 ユーロ圏2月鉱工業生産
20:15 フィンランド中銀総裁講演
23:00 米国3月中古住宅販売件数
23:30 (サンフランシスコ連銀総裁講演)
23:30 週間原油在庫統計
26:00 (アトランタ連銀総裁講演)
27:00 ベージュブック ☆

4月21日(木)
07:45 NZ1〜3月期CPI
15:45 フランス3月企業景況感
18:00 ユーロ圏3月CPI
21:30 米国4月フィラデルフィア連銀製造業景況指数
21:30 米国新規失業保険申請件数
23:00 ユーロ圏4月消費者信頼感速報値
25:30 英中銀総裁講演
26:00 パウエルFRB議長、ラガルドECB総裁講演

4月22日(金)
08:01 英国4月消費者信頼感
08:30 本邦3月CPI ☆
16:15 フランス4月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
16:30 ドイツ4月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
17:00 ユーロ圏4月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
17:30 英国4月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
22:45 米国4月製造業・サービス業PMI速報値 ☆

4月24日(日)
 **:** フランス大統領選決選投票 ☆

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時~NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

4月11日(月)
週明けのドル円は東京前場から米金利が上昇する動きとともにドル買い・円売りの動きが強まりました。後場には日銀支店長会議で大阪支店長が円安容認発言を行ったことも重なり125円台半ばまで円安が進みました。海外市場に移ってからも円安が進行しNY前場には125.77レベルの高値をつけましたが2015年高値125.86レベルには9銭差で届かず、引けにかけては125円台前半に押して引けました。

4月12日(火)
ドル円は東京前場には財務大臣の円安注視発言をきっかけに125.56レベルから125.12レベルまで下げたものの、押し目は絶好の買い場とされました。東京後場には改めてドル買いの動きとなりましたが前日高値に1銭足らず上値が重たい展開に。NY市場ではCPIは高かったものの予想通りであったことから既に下げていた米金利が一段の低下を見せ、ドル円も124.76レベルまで水準を下げましたが、引けにかけては押し目買いが出ていました。

4月13日(水)
ドル円は東京前場からじり高の展開を辿り後場には今週高値圏に迫っていましたが、黒田日銀総裁が大規模緩和を継続するとの発言に円売りの動きが強まり2015年高値も一気に上抜け126.32レベルと2002年以来の高値を見ることとなりました。その後は新値更新の達成感が出たこともあり米金利低下とともにNY昼過ぎには125.37レベルまで水準を下げ、若干戻して引けました。

4月14日(木)
ドル円は前日に126円台に乗せた後の利食いが続きNY市場まで上値が重たい展開が続きましたが、125円台前半での押し目買いも根強く方向感が出ない流れが続きました。ECB理事会後にユーロが大幅安となった動きに沿ったドル買いから126.02レベルの高値をつけ、ドル円は高値圏でのもみあいのまま引けました。

4月15日(金)
ドル円は早朝に前日高値を上抜け仲値に向けた実需のドル買いも出たことから126.55レベルと2002年以来の高値を更新、東京後場にはさらに126.68レベルへと高値を切り上げました。海外市場はグッドフライデーでほぼ休場となったことから126円台半ばでもみあいのまま引けました。

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