ユーロ 材料的には上下ともあり得るが調整の下げが入りやすい(週報3月第3週)

先週のユーロは停戦協議に対する期待と合意に至らなそうという懸念がミックスしていましたが、どちらかと言えば期待が強くユーロ買い戻しにつながったと言えるでしょう。

ユーロ 材料的には上下ともあり得るが調整の下げが入りやすい(週報3月第3週)

材料的には上下ともあり得るが調整の下げが入りやすい

〇先週のユーロ、高値1.1137レベル、ウクライナ情勢によるユーロ売り一段落
〇ECB理事会、7月以降APP停止し年内利上げに動く可能性も
〇今週はラガルド総裁らECB関係者講演、ユーロ圏3月製造業・サービス業PMI速報値など予定
〇今週は1.0900レベルをサポートに1.1100レベルをレジスタンスとする
〇ウクライナ情勢、ECB関係者発言次第で上下に振れる可能性も

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロはロシアとウクライナの停戦協議に対する期待と短期的に合意には至らなそうだという懸念とがミックスしていましたが、どちらかと言えば最終的には合意に至るであろうという期待の方が強くユーロの買い戻しにつながったと言えるでしょう。

また、ECB理事会ではAPP増額を減額することと、7月以降はAPPを停止し年内利上げに動く可能性を感じさせるものでしたが、オランダ中銀総裁が年内2回の利上げという見解を示したことから、ECBでもインフレ率上昇を懸念して緩和政策の転換が近づいてきていることを感じさせる一週間となりました。3月安値1.0805レベルから上下しながらも先週高値は1.1137レベルと332pipsの上昇となり、ウクライナ情勢によるユーロ売りは一段落した流れとなりました。

今週はECB関係者の講演も多く、ラガルド総裁、レーン理事を中心にECB理事会後の発言に変化が見られるかどうかが気になるところですが、基本的には6月まではAPPが継続する点は今後も変化が無い中で、米国はそれまでに更に2回の利上げが行われるであろうことを考えると、よほどタカ派な発言が出て来ないと金融政策を材料にしたユーロ買いには限界があると思います。

また停戦協議への期待は大きいのですが、ロシアは依然として侵攻を止めませんし、ミサイル攻撃もしています。一番怖いのは戦況が思わしくないことで、プーチンが更なる攻撃を指示したり核ミサイルに対する発言をしたりすることです。ロシア国内ではプロパガンダ、言論統制と戦時下の政策が採られています。しかし、生活レベルも急激に変化し物資が入らず物の値段も急騰していることから、ネットを駆使できる若い世代はおかしいと一部の人は声を上げています。

ただ、依然としてTVからしか情報を得ない上の世代はプーチンを支持している層も多く、ロシア国内でもウクライナ侵攻に対する見方が二分しています。若い世代が動いてプーチン独裁ロシアから民主主義のロシアへと変わるのかどうか、今後の世界の流れを考えるとウクライナが善戦している動きがひょっとするとロシアの政治体制を根本的に変化させる可能性もあり、2022年は後から振り返ると重大な一年になるかもしれないと考えています。

仮に停戦協議がまとまってもロシアに対する金融経済制裁は続きますので、プーチン政権が倒れて民主化し制裁解除となったほうがロシアだけでなく世界経済にとっても望ましく、特に欧州経済にとっては大きく好転する結果となることは明らかですから、プーチンが追い込まれる前に失脚することがベストシナリオというところでしょうか。今週もまだ停戦協議の結果は見えてこないと思いますが、色々な可能性を考えながらその際のユーロの動きを考えておくことは重要になってくるでしょう。

材料的には好悪ミックスしていますので、テクニカルにも見てみましょう。いつもの日足チャートです。

材料的には上下ともあり得るが調整の下げが入りやすい

ピンクの平行線で示した下降チャンネルは先週の週足チャートで引いたものです。下側を若干抜けた動きはありましたが引き続きこのチャンネルの中での下降トレンドを継続するという見方は変えていません。また青のラインは以前の拡散型もみあいの下側のラインですが、現在はこのラインがレジスタンスとなりやすいと見てよいでしょう。

先週はユーロ買戻しの動きが目立ちましたが、今週はその反動もあって先週高値を超えずに上値が重くなる展開を考えています。今週は1.0900レベルをサポートに1.1100レベルをレジスタンスとする一週間を見ておきますが、ウクライナ情勢とECB関係者の発言次第で上下に振れる可能性はありそうです。

今週のコラム

今週はユーロ円の日足チャートを見てみましょう。

材料的には上下ともあり得るが調整の下げが入りやすい 2枚目の画像

V字回復している動きですが、ドル円の円安の動きがクロス円にも波及したことで132円に近づいてきました。しかし今月の安値は124.38レベル、先週高値は131.91レベルと既に7円53銭もの上昇です。ユーロドル同様に今週は調整が入りやすいのではないかと考えています。

ただ、その場合でも大台130円を割ることは当面は無さそうなチャートとなっています。今週は130円台半ばから132円台前半の動きを考えていますが、130円台半ばまで押すようなことがあれば、絶好の押し目となりそうです。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

3月21日(月)
16:00 ドイツ2月PPI ☆
16:30 ラガルドECB総裁講演 ☆
18:00 フィンランド中銀総裁講演
24:30 ドイツ連銀総裁講演 ☆

3月22日(火)
16:20 デギンドスECB副総裁講演 ☆
18:35 フランス中銀総裁講演
19:00 ユーロ圏1月建設支出
22:00 パネッタECB理事講演
22:15 ラガルドECB総裁講演
24:15 カンリフ英中銀副総裁講演 ☆
26:00 レーンECB理事講演 ☆

3月23日(水)
16:00 英国2月CPI ☆
21:00 英中銀総裁講演 ☆
21:00 ドイツ連銀総裁講演
24:00 ユーロ圏3月消費者信頼感速報値 ☆
24:30 イタリア中銀総裁講演

3月24日(木)
16:45 フランス3月企業景況感
17:15 フランス3月製造業・サービス業PMI速報値
17:30 ドイツ3月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
18:00 ユーロ圏3月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
18:30 英国3月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
18:30 エルダーソンECB理事講演
**:** EUサミット(〜25日)☆

3月25日(金)
09:01 英国3月GFK消費者信頼感 ☆
16:00 英国2月小売売上高
18:00 ドイツ3月ifo企業景況感 ☆

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時~NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

3月14日(月)
ユーロドルは東京市場では動かず、欧州市場に入ってからロシアとウクライナの停戦協議に期待した買い戻しが見られましたが、話はまとまらず15日も継続協議となったことで引けにかけては買われる前の水準へと押す動きとなりました。またドル円だけでなくユーロ円でも買いが強まっていることもユーロドルを底堅くしていました。

3月15日(火)
ユーロドルは東京市場から買いが目立っていましたが、動きとしては停戦協議よりも米債利回りが低下する動きに沿ったドル売りが対ユーロで出ていた様子でした。欧州市場序盤にはドル円に若干遅れてドル売りが強まり、日中高値となる1.1020レベルの高値をつけましたが、上がったところでは売りも根強くNY後場には東京前場の水準へと押し、若干買い戻されての引けとなりました。

3月16日(水)
ユーロドルは終日ロシア・ウクライナの停戦合意期待から底堅い動きが続きました。FOMC直後にはドル買いの動きでユーロは押す場面も見られましたが、引け間際には1.1047レベルの高値をつけ、そのまま高値圏での引けとなりました。

3月17日(木)
ユーロドルは前日からの流れを受けて買いが先行する流れでしたが、NY市場に入りオランダ中銀総裁が年内2回の利上げに言及したことから一段と買いが強まり、実需のユーロ買いも加わって1.1137レベルまで上昇しました。引けにかけては調整の売りも見られ、1.10台後半に押して引けました。

3月18日(金)
ユーロドルは前日高値以降は上値が重くなり、金曜もじり安の展開。欧州市場では停戦協議が長引きそうなことを嫌気したユーロ売りが強まり、NY市場前場には1.1004レベルと大台目前の水準まで下げましたが、引けにかけては1.10台半ばへと戻して引けました。

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