ユーロ 方向感ははっきりしないが売り材料は多い(週報1月第2週)

年明けのユーロは週初の下げの後に米国雇用統計まで1.13割れで底固めをし、その後の買い戻しで週初の水準に戻しと方向感は無いがユーロが底堅い印象の週でした。

ユーロ 方向感ははっきりしないが売り材料は多い(週報1月第2週)

方向感ははっきりしないが売り材料は多い

〇先週のユーロ、高値1.1376安値1.1273、ドルやユーロ円に追随し横方向の動き
〇今週欧州関連材料少ないが、米FRB議長再任公聴会、米12月CPI、PPI等ユーロにも影響か
〇米利上げ思惑強まる場合、株安、ユーロ円の下げ、ユーロドルの下げという動き想定
〇欧州新型コロナ感染爆発、1〜3月期欧州景気への影響、ユーロ安進行のリスク懸念
〇今週は1.1275レベルをサポートに1.1400レベルをレジスタンスとする週とみる


今週の週間見通しと予想レンジ

年明けのユーロは週初の下げの後に米国雇用統計まで1.13割れで底固めをし、雇用統計後の買い戻しで週初の水準に戻しと、方向感は無かったもののどちらかというとユーロが底堅い印象の一週間でした。材料的にはドルの動きであったり、株式市場とともに動くユーロ円の動きに追随したりする程度で、欧州材料での動きは見られず週間の値幅も100pips程度に留まりました。

今週も欧州関連の材料は少ないのですが、米国CPIをはじめ2022年のFOMCで持ち回りとなる地区連銀総裁の講演が続き、また米国CPIやベージュブックなど米国材料によるドルの動き、そして先週同様に利上げ思惑が強まる場合には株安、ユーロ円の下げ、ユーロドルの下げという動きが考えやすいシナリオですが、そうであるとすると今週も先週のレンジを中心とした横方向のもみあいとなる可能性が高そうです。

もうひとつ気になるのはまったく無視されているに等しい欧州での新型コロナ感染爆発です。一例としてフランスを見ると1日あたりの感染者が30万人を超え始め7日平均でも20万人を超え、過去に見ないほどの感染者数となってきました(感染者数グラフ下段)。重症化率は低いとは言うものの感染者数が激増していることを考えると1〜3月期の欧州景気への影響を考えざるを得なくなりそうです。今のところ材料視されていないものの、今後改めて悪材料となる時にはユーロ安が進行するリスクがあります。

方向感ははっきりしないが売り材料は多い

今週は他には目立った材料もありませんので、テクニカルにはいつもの日足チャートをご覧ください。

方向感ははっきりしないが売り材料は多い 2枚目の画像

こちらも先週から何も変わっていません。11月下旬からのサポートライン(ピンクの細線)と11月半ばの高値から水平に引いたライン(ピンクの太線)とで形成されるウェッジの中で底固めをしているパターンです。テクニカルには上抜けの方が動きが出そうですなのですが、9月高値からのレジスタンスライン(青)もあり、上値が限定的なものとなりそうなことは先週同様です。

現在このレジスタンスラインは1.1410レベルを緩やかに下降中ですから、上値は1.14水準で止められそうですし、サポートラインも1.1270レベルと徐々に上がってきています。今週はこれらの水準から1.1275レベルをサポートに1.1400レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。

今週のコラム

今週はユーロスイスの日足を見てみましょう。

方向感ははっきりしないが売り材料は多い 3枚目の画像

先週はユーロクロスでの買いが目立ちましたが、特に週後半はユーロスイスでの買いが他のユーロクロスの買いを先導していた印象です。ユーロスイスは9月高値から下降トレンドを継続していましたが12月には目先の安値をつけ、1月に入り上昇に転じてきたことで、横方向のもみあいとなるのか、このまま上昇トレンドに転じるのか重要な局面になってきました。

12月高値を明確に上抜けてくるようだと9月からの下降トレンドが終わり、上昇トレンドが始まる可能性が高まります。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

1月10日(月)
19:00 ユーロ圏11月失業率

1月11日(火)
09:01 英国12月小売売上高
24:00 パウエルFRB議長再任公聴会 ☆

1月12日(水)
19:00 ユーロ圏11月鉱工業生産
22:30 米国12月CPI ☆
28:00 ベージュブック ☆

1月13日(木)
09:01 英国12月住宅価格
22:30 米国12月PPI ☆

1月14日(金)
16:00 英国11月鉱工業生産、貿易収支
16:45 フランス12月CPI
19:00 ユーロ圏11月貿易収支

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

1月3日(月)
ユーロドルはアジア市場ではドル円同様にドルの動きからユーロ売りが先行した後に買い戻されました。NY市場では株安の動きからユーロ円が下げ、ユーロ円での売りがユーロドルの下げにもつながり、さらにはストップオーダーも巻き込んでと1.1280レベルの安値をつけましたが、引けにかけては若干の買い戻しも入りました。

1月4日(火)
ユーロドルはドル円でのドル高の動きもあって上値が重い印象でしたが、株高の動きでユーロ円が大幅高となったことから下値も固く、多少の振れはあったものの終日横方向の動きとなっていました。

1月5日(水)
ユーロドルはNY市場後場までは一貫してユーロ買いが続きましたが、前日高値を上抜けて以降はテクニカルな買いが目立ち、その後はユーロ円も前日高値を上抜けとユーロ買い戻しが目立つ1日となりました。

1月6日(木)
ユーロドルは東京市場ではユーロ円の下げに引っ張られて上値が重い展開となりましたが、欧州市場では買い戻しも見られNY前場には1.1332レベルの日中高値をつけました。しかし前日高値を超えられなかったことから引けにかけては再び安値圏へと押し、方向感がはっきりしない1日で終わりました。

1月7日(金)
ユーロドルは欧州市場でユーロクロスの買いが強まったことから一時的に上昇する場面も見られましたが基本的にもみあい。雇用統計直後はNFPと失業率の反する内容に振れましたが、その後は全般的なドル安の流れの中でユーロドルでのドル売りが目立ち、ユーロドルは1.1365レベルまで上昇しての高値引けとなりました。

ディスクレーマー

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