トルコリラ円見通し 歴史的暴落からの急反騰一巡、8円台維持で落ち着き次のきっかけ待ち(22/1/5)

トルコリラ円の1月4日は8.87円から8.42円の取引レンジ、5日早朝の終値は8.61円で前日終値の8.78円からは0.17円の円高リラ安となった。

トルコリラ円見通し 歴史的暴落からの急反騰一巡、8円台維持で落ち着き次のきっかけ待ち(22/1/5)

トルコリラ円 歴史的暴落からの急反騰一巡、8円台維持で落ち着き次のきっかけ待ち

〇トルコリラ円、31日から3日まで小幅続伸、1/4は8円台中盤推移で反落やや落ち着く
〇対ドル、4日は13.59から12.74の取引で3日レンジ内とどまる、戻り一巡し次のきっかけ待ちか
〇過去の史上最安値更新後リバウンドと比較し、まだ底入れと言えない状況
〇8円割り込み再度12/20安値6.17迫る場合、歴史的暴落続く可能性も
〇8.50以下での推移中は下向きとし、8.30割れからは8.00前後への下落を想定する
〇8.80から9.00にかけてのゾーンは戻り売りにつかまりやすいとみる

【概況】

トルコリラ円の1月4日は8.87円から8.42円の取引レンジ、5日早朝の終値は8.61円で前日終値の8.78円からは0.17円の円高リラ安となった。
高インフレ下での連続利下げによる不信感から歴史的な大暴落に見舞われて12月20日に6.17円の史上最安値を付けたが、12月20日夜にエルドアン大統領がリラ預金の為替差損を補填する政策を発表したことからリラの買い戻しに入り12月23日には11.14円の高値を付けた。しかしリラ買いも一巡して12月27日から12月30日までは4日連続の下落となった。
1月3日には8.13円まで安値を切り下げたが、3日夕刻のトルコ12月CPI発表でひとまず目先の材料を消化して終値ベースでは31日から3日へ小幅続伸、1月4日も新たな手掛かりに欠けたものの8円台中盤での推移となり、12月23日からの反落もやや落ち着いている。

【対ドルでの戻り一巡、4日は3日のレンジ内にとどまる】

ドル/トルコリラの1月4日は13.59リラから12.74リラの取引レンジ、5日早朝の終値は13.33リラで前日終値の13.11リラからは0.22リラのドル高り安となった。
連続利下げによる歴史的暴落が12月20日安値18.36リラで一巡し、リラ預金保護政策によるリラの買い戻し殺到で12月23日高値10.05リラまで急反騰したが、リラ買いも一巡して再び下落基調に入っている。
1月3日には13.91リラまで安値を切り下げたが、3日夕刻のトルコCPI発表後は目先の材料消化で落ち着いており、1月4日は新たな手掛かりに欠けて1月3日の高安レンジ内にとどまっての推移だった。
1月3日夜から4日夜にかけてはNYダウの連騰と米長期債利回りの上昇によりドル高が進行したことでトルコリラも圧迫された印象だが、暴落からの急反騰とその後の揺れ返しによる下落もやや落ち着いて次のきっかけ待ちといったところか。

【過去の史上最安値更新後のリバウンドとの比較】

トルコリラ円は2018年8月13日に15.25円まで当時の史上最安値を付けた時は、2017年9月高値32.42円から17.17円の下落幅で2018年11月の戻り高値22.08円まで6.83円、凡そ40%を戻した。
2020年11月6日に12.03円まで下げて当時の史上最高値を更新した時は2018年11月高値から10.05円の下げ幅で2月16日高値15.26円まで3.23円、凡そ32%を戻した。
今回は2021年2月高値15.26円から12月20日安値6.17円まで9.09円の下落、12月23日高値11.14円までの戻りは4.97円、凡そ55%を戻している。
2018年8月底からの戻りは3か月、2020年11月底からの戻りは3か月であり、今回も12月20日安値で当面の大底となった場合には3か月程度の戻りを入れてもよいところといえるが、1月3日安値まで3.01円の反落で既に戻り幅の6割を解消しているため、底入れとまではまだ言えない状況だ。10円という心理的な節目を割り込んだ状況にあり、暴落前の最安値だった2020年11月底12.03円にも届いていない。

CPIの前年比が30%を超え、PPIでは70%を超えるハイパーインフレ懸念を抱えている状況にあり、高インフレ下での無謀な連続利下げ、通貨危機回避のための国家的なリラ預金補償、国民生活の困窮や政権批判の高まり、中銀の独立性の破壊という異常事態の中にあり、まだ混迷の終局が見えない状況とすれば、8円を割り込んで再び12月20日安値に迫るようだと歴史的な暴落の続きに入る可能性もあるところと注意したい。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、12月25日早朝高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとして年末への下落を想定してきたが、1月3日へ続落したところから9円まで戻したために1月4日午前時点では1月3日夕安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとした。また高値形成期を1月4日から6日夕にかけての間と想定したが戻りは短命の可能性もあるとみて8.50円割れを弱気転換注意とし、1月3日夕安値割れからは新たな弱気サイクル入りとした。
1月3日夜高値からはジリ安の推移が続いているので既にサイクルトップを付けて弱気サイクル入りしている可能性がある。このため1月3日夜高値を上抜く場合は上昇継続とするが、3日夜高値を超えないうちは6日午後から10日午後にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では1月4日夜へのジリ安で遅行スパンが悪化しているため遅行スパン悪化中は安値試し優先とするが、3日夜高値を超えるところからはさらに高値追及へ進むとみて遅行スパン好転中の高値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は1月3日夜高値からのジリ安で50ポイントを割り込んだ状況にある。50ポイントを超えないか一時的に超えても維持できないうちは一段安警戒とし、35ポイント割れからは20ポイント台前半への低下へ進むとみる。55ポイント超えからは上昇再開とみて60ポイント台中盤への上昇を想定するが、65ポイント以上は反落警戒とする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、8.30円を下値支持線、9.00円を上値抵抗線とする。
(2)8.50円以下での推移中は下向きとし、8.30円割れからは8.00円前後への下落を想定する。8.00円以下は反騰注意とするが8.30円以下での推移が続くなら6日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)8.80円から9.00円にかけてのゾーンは戻り売りにつかまりやすいとみる。ただし、新たな強気材料を伴って9円を超える場合は9.30円前後への上昇を想定する。

【当面の主な予定】

1月06日
 20:30 週次 外貨準備高(グロス) 12/31時点 (12/24時点 725.6億ドル)
1月07日
 16:00 11月 失業率 (10月 11.2%)
 19:00 12月 自動車生産 前年比 (11月 -19.7%)
1月11日
 16:00 11月 経常収支 (10月 31.56億ドル)
1月13日
 16:00 11月 鉱工業生産 前年比 (10月 8.5%)
 16:00 11月 小売売上高 前月比 (10月 0.9%)
 16:00 11月 小売売上高 前年比 (10月 16.2%)
 20:30 週次 外貨準備高(グロス) 1/7時点 


注:ポイント要約は編集部

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