ユーロ ドル安に加えユーロ安の流れとなりやすい(週報11月第5週)

先週のユーロは、週初からのドル買いの動きで、年初来安値を更新し1.1185レベルの安値をつけることとなりました。

ユーロ ドル安に加えユーロ安の流れとなりやすい(週報11月第5週)

ドル安に加えユーロ安の流れとなりやすい

〇先週のユーロ、週初からドル買いの動きで年初来安値更新、1.1185レベルの安値つける
〇変異株オミクロン発見でドル円が下げ、ユーロドルも引っ張られドル売りの動きに
〇欧州でロックダウン実施ならドル安とユーロ安ミックスでユーロ円が大きく下げる流れ続く
〇今週は1.1180レベルをサポートに1.1350レベルをレジスタンスとする週と見る

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロは、週初からのドル買いの動きでドル円は2017年3月高値と並ぶ動きとなり、ユーロドルも年初来安値を更新し1.1185レベルの安値をつけることとなりました。ここまではこれまでの米金利上昇によるドル高の動きと欧州における新型コロナ感染者拡大によるユーロ売りとがミックスした値動きでこれまで通りだったのですが金曜に急変が起きました。

感染力が強くワクチンも効かない恐れがある変異株オミクロンが見つかったことで、世界的に人の移動が再度制限される可能性から、生産活動の後退、景気減速といった連想が株式市場を急落させ、リスクオフの動きからドル円が下げ、それに引っ張られてユーロドルでもドル売りという動きでの週末クローズとなりました。

週明けの市場ではわからないことが多いため、いったんパニックは収まっていますが、これまでも欧州では新型コロナ感染者が急拡大していたところに、新たなオミクロン株が見つかり始めていることから、状況次第ではロックダウンを実施する国が出てくる可能性は低くありません。そうなると、ドル安とユーロ安と双方の動きがミックスして最終的にはユーロ円が大きく下げるという流れが今後も続くリスクが高まります。

今週は経済指標、要人発言とも米ドルに影響するものが多い月初ではあるものの、欧州の経済指標も主要国のCPI速報値やPMI改定値など連日何かしら発表されるという日程です。ただ、現在の市場参加者の注目はオミクロン株の今後の動向に集まっていますので、欧州主要国で今は見つかり始めたという程度の感染について、おそらくそうなる可能性は高いものの今後拡大していくのかどうか見極める週となってきそうです。

こればかりは現時点では判断できませんので、テクニカルな観点から見ていきます。ユーロドルの日足チャートをご覧ください。

ドル安に加えユーロ安の流れとなりやすい

先週見た週足チャートで最初のターゲット1.1202(1.1908を起点とした逆N波動を想定した127.2%=161.8%の平方根エクスパンション)を達成した後の反転上昇であったことから、ごく短期的には1.12レベルがサポートとなる可能性もありますが、欧州の感染懸念が上値を抑えてくることは間違いありませんので、次のターゲットとなる1.1069レベル(同様に161.8%エクスパンション)は常に考えておくべきターゲットです。日足チャートに引いてある太いピンクの水平線です。

次に上方向を見ると、下抜けた下降ウェッジの下側のラインがレジスタンスとなってきそうな印象です、同ラインは今週1.1375〜1.1355水準を下降中です。

1.13台半ばでは戻り売りも出てくると考えられますので、先週安値をやや下回る水準とレジスタンスラインとに挟まれたレンジから、今週は1.1180レベルをサポートに1.1350レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。

今週のコラム

今週はユーロ円の週足を見ておきます。

ドル安に加えユーロ安の流れとなりやすい 2枚目の画像

ユーロ円は前週安値を下回り2021年長期ダブルトップにおけるネックラインを下回りつつある現状です。リスクオフ懸念と欧州における感染懸念とが合わさることでユーロ円は更なる下落リスクが伴いますので、年初来安値にはまだ距離はあるものの、年初来安値と高値の78.6%(61.8%の平方根)押しとなる127.01を目指した下げには注意が必要であると言えそうです。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

11月29日(月)
19:00 ユーロ圏11月消費者信頼感 ☆
22:00 ドイツ11月CPI速報値 ☆

11月30日(火)
16:45 フランス10月PPI
16:45 フランス11月CPI速報値 ☆
16:45 フランス7〜9月期GDP改定値
17:55 ドイツ11月失業率
18:00 フランス中銀総裁講演 ☆
19:00 ユーロ圏11月CPI速報値 ☆
24:00 パウエルFRB議長、イエレン財務長官上院議会証言 ☆

12月1日(水)
16:00 ドイツ10月小売売上高
17:50 フランス11月製造業PMI
17:55 ドイツ11月製造業PMI
18:00 ユーロ圏11月製造業PMI
18:30 英国11月製造業PMI
23:00 英中銀総裁講演 ☆
28:00 ベージュブック ☆

12月2日(木)
19:00 ユーロ圏10月PPI ☆
19:00 ユーロ圏10月失業率
**:** OPECプラス閣僚級会合 ☆

12月3日(金)
16:45 フランス10月鉱工業生産
17:50 フランス11月サービス業PMI
17:55 ドイツ11月サービス業PMI
18:00 ユーロ圏11月サービス業PMI
18:30 英国11月サービス業PMI
19:00 ユーロ圏10月小売売上高
22:30 米国11月雇用統計 ☆

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

11月22日(月)
ユーロドルはドル円と同様の値動きを辿り月曜NY市場までは動かず、NY市場ではパウエル議長再任指名のニュースに反応しドル買い・ユーロ売りの動きとなりました。

11月23日(火)
ユーロドルはアジア市場ではあまり動きが見られず、1.1226レベルへとわずかに月曜安値を切り下げました。欧州市場序盤に中国が米軍の台湾海峡通過に対して警告を発したとのニュースでドル売り・ユーロ買いとはなったものの値幅は伴わず、どちらかというと安値圏でもみあいのまま引けました。

11月24日(水)
ユーロドルはドル高地合いの流れとともに1.1186レベルまでユーロ売りが進みましたが、ドイツではSPD主導の3党連立での合意もあり、ユーロの買い戻しにつながりました。その後NY市場のFOMC議事録公表ではタカ派的だった内容にはあまり反応を見せず、1.12割れでの底固めの動きとなっていました。

11月25日(木)
NY市場が休場、金曜も取引所が短縮取引と米国勢が連休モードとなり、一日早い週末前のポジション調整といった動きとなりましたが、戻りも鈍く、買われたところではユーロを売りたい向きが残っている様子でした。

11月26日(金)
 金曜は早朝のオミクロン変異株のニュースをきっかけにリスクオフの嵐が吹き荒れる一日となりました。ドル円では2円以上もの円高でしたが、ユーロドルも東京早朝の1.1205レベルから1.1332レベルへとドル円に追随してのドル売りの動きとなりました。ユーロ円の売りも出ていたことからユーロドルの上昇は抑えられていました。

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