トルコリラ円見通し 対ドルで最安値更新も円の全面安で反発(21/10/12)

トルコリラは対ドルでは史上最安値を更新したが、一方でドル円が113円台到達へ円安となりクロス円全般が円の全面安となったことでトルコリラ円は円安由来で上昇した。

トルコリラ円見通し 対ドルで最安値更新も円の全面安で反発(21/10/12)

トルコリラ円見通し 対ドルで最安値更新も円の全面安で反発

〇トルコリラ円、9/30高値12.62を超え10/11高値12.64をつけるが、12.60以上は戻り売りにつかまる
〇ドル円が急伸、トルコリラ円も円安に押し上げられた恰好
〇対ドル、10/8安値8.98を割り込み、10/11安値9.01で史上最安値更新
〇トルコ経常収支は改善するもリラ買い材料とはならず、大統領の中銀総裁解任懸念がリラ売りを助長
〇12.55以上での推移中は上昇余地ありとするが、12.64以上は反落警戒圏とみる
〇12.55割れからは、12.40台序盤(12.43から12.40)を目指すとみる

【概況】

トルコリラ円の10月11日は12.64円から12.48円の取引レンジ、12日早朝の終値は12.57円で先週末終値12.48円からは0.09円の円安リラ高となった。
トルコリラは対ドルでは史上最安値を更新したが、一方でドル円が113円台到達へ円安となりクロス円全般が円の全面安となったことでトルコリラ円は円安由来で上昇した。
トルコ中銀による利下げの動きを背景に9月2日高値13.32円から9月27日安値12.42円へ下落した後は新たな安値更新を回避しつつ12.50円を挟んでほぼ横ばいの持ち合いで推移しており、持ち合い中の高値は9月30日の12.62円だったところを11日夕刻高値でいったん超えたが、12.60円以上は持ち合いの上値抵抗帯として今回も戻り売りにつかまった印象だ。

【ドル円の急伸で持ち合い圏にとどまる】

10月8日の米9月雇用統計を通過して米長期債利回りが上昇、欧州各国や英豪の長期債利回りも上昇する中でクロス円においては円の全面安という様相だ。
ドル円の上昇は2月末から3月31日高値へ向けて急騰した時に近い勢いであり、既にパンデミック前の高値である2020年2月の112.21円を超え、2016年12月高値以降の右肩下がりの下降チャンネルからも上抜けてきている。週足チャート上の上値抵抗目安となる高値は2018年10月4日の114.54円や2017年11月6日の114.72円等のある114円台後半へ切り上がってきた印象だが、それらを超えると2016年12月15日高値118.65円までさらに切り上がる可能性も警戒される勢いとなっている印象だ。
クロス円全般が大上昇しているためにトルコリラ円も円安に押し上げられた恰好だが、あくまでも原市場であるドル/トルコリラにおけるリラ安の動きが変わらなければ円安だけで本格上昇することは難しいのではないかと思われる。

【対ドルで史上最安値を更新】

ドル/トルコリラの10月11日は9.01リラから8.90リラの取引レンジ、12日早朝の終値は8.99リラで週末終値の8.96リラからは0.03リラのドル高リラ安となった。安値の9.01リラで10月8日に付けた史上最安値8.98リラを割り込んで最安値を更新した。
10月8日の米雇用統計では非農業部門就業者増加数が予想を大幅に下回ったものの失業率の改善、平均時給の上昇を踏まえれば雇用回復基調は変わらず、一方でNY原油が80ドルを超える水準まで上昇するなど先行きのインフレ進行も警戒されるため、米連銀による11月会合でのテーパリング開始決定と来年の利上げ開始という既定路線は変わらないと市場は受け止めて10月8日に米10年債利回りが一段高となった。
トルコ10年債利回りも上昇しているが、リラ安を反映しての悪い金利上昇という印象であり、米長期債利回り上昇によるドル高リラ安感が勝る状況と思われる。

【トルコの経常収支は改善】

10月11日に発表されたトルコの8月失業率は12.1%で7月と変わらずだった。労働参加率は51.2%で7月の51.3%からはわずかに低下した。
8月のトルコ経常収支は5.28億ドルの黒字で7月の6.83億ドルの赤字から改善した。市場予想は1億ドル程度の赤字見込みだったが予想を上回った。経常収支の改善は海外からの観光客が戻ってきていることによる観光収支の黒字が貢献していると思われる。5月に33.25億ドルの赤字、6月に12.01億ドルの赤字、7月に6.83億ドルの赤字と改善傾向が続いての黒字転換であり本来ならリラ買い材料となってもよいところだが、それ以上に現況では中銀の利下げ強行でのリラ安感、さらにエルドアン大統領が中銀総裁解任に動くのではないかとの懸念報道がリラ売りを助長している。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、10月11日夕刻への上昇で8日午後高値を超えたため、8日夕安値と9日早朝をダブルボトムとして強気サイクル入りしたと思われる。高値形成期は13日午後から15日午後にかけての間と想定されるが、9月27日安値以降は12.40円台後半を下値支持帯として12.60円台序盤までを上値抵抗とした持ち合いの範囲でジグザグの展開が続いており、サイクルのピークもボトムも短縮気味での推移となっているので戻りは短命の可能性がある。12.55円以上での推移中は上昇余地ありとするが、12.55円割れからは弱気転換注意として8日夕安値12.45円試しとし、底割れからは弱気サイクル入りとして13日夕から16日朝にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表ではジグザグ推移が続いているため方向感に欠ける。先行スパンを上回るうちは上昇余地ありとして遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパン転落からは下げ再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は11日夕刻の上昇で70ポイントを超えたがその後に50ポイントまで失速している。50ポイント以上を維持するか一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとするが、45ポイント割れからは下落期入りとみて30ポイント割れを試す流れを想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、12.55円を下値支持線、12.64円を上値抵抗線とする。
(2)12.55円以上での推移中は上昇余地ありとするが、12.64円以上は反落警戒圏とみる。
(3)12.55円割れからは12.40円台序盤(12.43円から12.40円)を目指すとみる。12.40円以下は反騰注意とするが、12.50円以下での推移なら13日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

10月12日
 16:00 8月 鉱工業生産 前月比 (7月 -4.2%)
 16:00 8月 鉱工業生産 前年同月比 (7月 8.7%)
 16:00 8月 小売売上高 前月比 (7月 0.7%)
 16:00 8月 小売売上高 前年同月比 (7月 12.3%)
10月14日
 20:00 外貨準備高 10/8時点 (10/1時点 83.20億ドル)
10月15日
 17:00 9月 財政収支 (8月 +408.4億リラ)
10月20日
 23:30 9月 中央政府債務 (8月 204.2億リラ)
10月21日
 20:00 トルコ中銀 金融政策決定会合


※ポイント要約は編集部

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