トルコリラ円見通し 12.50円台中心の持ち合い続くが戻り高値切り下がり傾向に(21/10/5)

トルコリラ円の10月4日は12.58円から12.48円の取引レンジ、5日早朝の終値は12.51円で先週末終値12.52円からは0.01円の円高リラ安だった。

トルコリラ円見通し 12.50円台中心の持ち合い続くが戻り高値切り下がり傾向に(21/10/5)

12.50円台中心の持ち合い続くが戻り高値切り下がり傾向に

〇昨日のトルコリラ円、夕刻9月物価上昇率発表直後売り優勢、一巡後12.58へ反騰
〇反騰一巡から深夜に安値12.47まで急落するやや乱調な展開、5日早朝終値は12.51
〇金融政策姿勢への不安によるリラ売り圧力と当面追加利下げ回避の見方によるリラ買いが交錯
〇ドル/トルコリラはドル安基調や売り一巡の下げ渋りで値動き鈍く10/1の高安レンジ内
〇9月消費者物価コア指数は前年比17%へ上昇、政策金利追加利下げ可能な数字
〇4日夜高値12.58以下での推移中は下向き、12.48割れからは12.40円台序盤を試すとみる
〇9/30夜高値12.62手前は戻り売り注意、12.63台へ乗せるところからは12.60台後半を目指す

【概況】

トルコリラ円の10月4日は12.58円から12.48円の取引レンジ、5日早朝の終値は12.51円で先週末終値12.52円からは0.01円の円高リラ安だった。
10月4日夕刻にトルコの9月物価上昇率の発表があり、消費者物価上昇率は全体もコア指数も前月から上昇したため、発表直後にはいったんリラ売り優勢となったが、売り一巡後にこの日の高値となる12.58円へ反騰、反騰一巡から深夜にはこの日の安値となる12.47円まで急落するやや乱調な展開となった。
物価上昇が止まない状況で9月23日にトルコ中銀が利下げを強行したわけだが、先行きの金融政策姿勢への不安によるリラ売り圧力と、物価上昇の現状を踏まえれば当面して追加利下げは回避されるだろうとの見方によるリラ買いが交錯した状況と思われる。

【対ドルでの下落一服だが一段安状態から抜け出せず】

ドル/トルコリラの10月4日は8.88リラから8.81リラの取引レンジ、5日早朝の終値は8.85リラで先週末終値の8.85リラと変わらず。
4日夕刻のトルコ9月物価上昇率発表からいったんリラ売り、直後にリラ買いへ転じ、再びリラ売りへと揺れ返す展開だったが、10月4日の為替市場全般が米連邦債務上限問題での先行き不安による米国株安でドル安基調となったことでリラ売り圧力もやや抑えられ気味で値動き事態は大きなものにならず、10月1日の高安レンジ内に収まった。トルコ中銀による利下げショックによる急落で9月30日未明に8.9557リラまで史上最安値を更新した後は売り一巡でひとまず下げ渋りとなっていたことも値動きを鈍くしたようだ。

【トルコの9月消費者物価は全体もコア指数も8月を上回る上昇】

10月4日夕刻に発表されたトルコの9月消費者物価指数の上昇率は前月比で1.25%となり8月の1.12%から伸びが加速したが、市場予想の1.35%は下回った。前年同月比では19.58%となり8月の19.25%を上回ったが市場予想の19.70%は下回った。
9月の消費者物価コア指数上昇率の前月比は1.5%で8月の0.4%から伸びが加速した。前年同月比は17.0%となり8月の16.8%を上回った。
9月の生産者物価上昇率は前月比で1.55%となり8月の2.77%からは鈍化、前年同月比は43.96%で8月の45.52%からは鈍化した。
トルコ中銀のカブジュオール総裁は9月8日の発言で政策金利を決める上での判断目安とする消費者物価指数についてはコア指数を採用する旨の発言を行った。全体の消費者物価上昇率を踏まえれば政策金利を引き下げられない状況にあったものの、8月のコア指数前年同月比は16.8%だったために政策金利は19%から18%へと引き下げられた。

9月の消費者物価コア指数の前年比が17%へと上昇したものの政策金利とはまだ1%の差があるため、トルコ中銀としては追加利下げをしようとするなら可能な数字といえるが、全体の消費者物価上昇率が前月比でも前年同月比でも8月を上回ったことや、原油相場の高騰等を踏まえれば追加利下げを躊躇させるものだろう。
今後は、中銀及び大統領による物価状況の判断や追加利下げへの姿勢等の発言を見ながら、年末までの追加利下げの有無を思惑してゆくことになるだろうが、9月23日の利下げショックが落ち着いているもののドル/トルコリラもトルコリラ円も下げ一服の持ち合い程度にとどまっているため、物価高騰中の利下げを断行した中銀及び大統領への政策的不信感が持ち合い下放れを招きやすい状況にあるのではないかと思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、9月28日午後高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとしたが、29日深夜に28日午前高値をわずかに超えてから失速し、さらに30日夜への反騰で29日深夜高値をわずかに超えてから再び失速する乱調な展開が続いたため、10月1日午前時点では9月30日昼安値12.48円を割り込む場合は30日夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして10月5日昼から7日昼にかけての間への下落を想定した。
10月1日夕刻に9月30日昼安値をわずかに割り込んでからいったん戻したが1日夜高値は30日夜高値に届かず、4日夜の反発でも戻り高値は切り下がっているため、現状は9月30日夜高値を起点とした下落期の継続とみる。9月30日夜高値から10月1日夜高値、10月4日夜高値と高値ラインは切り下がっているので、強気転換は4日夜高値超えからとする。

60分足の一目均衡表では9月28日以降をジグザグの推移で先行スパンを上抜いても維持できずに失速するパターンを繰り返しているので方向感に欠ける。9月30日夜から高値切り下がり基調のため、10月4日夜高値を抜けないうちは遅行スパン悪化中の安値試し優先とし、10月4日夜高値超えからは上昇期入りとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数も50ポイントを中心にしたジグザグが繰り返されており、60ポイント超えを売られて40ポイント割れは買われる展開が続いているが、徐々に高値が切り下がっているので安値を切り下げやすい状況とみて40ポイント割れからは30ポイント前後を試す流れになるのではないかとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、12.48円を下値支持線、10月4日夜高値12.58円を上値抵抗線とする。
(2)12.58円以下での推移中は下向きとし、12.48円割れからは12.40円台序盤(12.43円から12.40円)を試すとみる。12.40円以下は反騰注意とするが、12.50円以下での推移なら6日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)12.58円超えからは12.62円試しを想定する。12.62円手前は戻り売りにつかまりやすいとみるが、12.63円台へ乗せるところからは12.60円台後半(12.65円から12.69円)を目指す流れとみる。また12.60円以上での推移なら6日も高値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

10月07日
 20:00 外貨準備高(グロス) 10/1時点 (9/24時点 828.4億ドル)
10月11日
 16:00 8月 失業率 (7月 12.0%)
 16:00 8月 経常収支 (7月 -6.83億ドル)
10月12日
 16:00 8月 鉱工業生産 前月比 (7月 -4.2%)
 16:00 8月 鉱工業生産 前年同月比 (7月 8.7%)
 16:00 8月 小売売上高 前月比 (7月 0.7%)
 16:00 8月 小売売上高 前年同月比 (7月 12.3%)

10月21日
 20:00 トルコ中銀の次回金融政策決定会合

※ポイント要約は編集部

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