ドル円見通し 9月30日以降の安値を更新、米国株安とドル安感が強まる(21/10/5)

ドル円は10月4日午前安値110.87円から夜高値111.30円へ小反発したものの深夜に110.81円まで下落して9月30日夜高値112.07円以降の安値を更新した。

ドル円見通し 9月30日以降の安値を更新、米国株安とドル安感が強まる(21/10/5)

9月30日以降の安値を更新、米国株安とドル安感が強まる

〇ドル円、海外序盤に高値111.30へ小反発するも深夜に110.81まで下落し9/30以降の安値更新
〇米10年債利回りの低下、米連邦政府債務上限問題未解決、株安警戒感が重石
〇米株、NYダウ前日比323.54ドル安、ナスダック総合指数は同311.22ポイント安の大幅下落
〇株安と共に米国リスクとして債券売りの場合、米長期債利回り上昇でもドル円下落継続の可能性も
〇4日夜高値111.30を超えないうちは一段安警戒、110.60割れからは110円台序盤を試す流れ
〇111.30を超える場合は流れが変わったとみて111円台後半を試す上昇を想定

【概況】

ドル円は10月4日午前安値110.87円から夜高値111.30円へ小反発したものの深夜に110.81円まで下落して9月30日夜高値112.07円以降の安値を更新した。
9月30日夜高値への上昇は9月15日夜安値109.09円と22日午前安値109.11円をダブル底とし、23日未明の米FOMCによる利上げ想定時期の前倒しを背景としたものだったが、FOMC後の上昇も一巡、米10年債利回りは9月28日にピークを付けて低下に転じたことや米連邦政府の債務上限問題の未解決と株安が警戒されていることで下落している印象だ。

【ナスダックの下落止まらず、ダウも軟調】

10月4日のNYダウは前日比323.54ドル安と下落、ナスダック総合指数は同311.22ポイント安の大幅下落となった。米連邦政府債務上限問題、中国恒大集団のデフォルトリスク、天然ガスや原油相場の高騰等の先行き不透明感が株安の背景とみられるが、特にナスダック総合指数の下落が顕著となっている。ナスダック総合指数は9月7日に15403.44ポイントの史上最高値を付けてから下落に転じており10月4日もこの間の安値を更新して下げ幅は1221.54ポイント安に拡大した。下落規模としては今年2月16日から3月5日への1778.07ポイント安や昨年9月2日から9月21日への1554.58ポイント安よりもまだ小さいが、インフレ進行と先行きの利上げ観測や諸々の不安要素が入り混じる中で下げていること、史上最高値更新を続けてきた上昇もそろそろ大きな調整につかまっても不思議ないという高所恐怖症もあるところのため、今年3月5日への下落規模を超えてくるようだと株安不安によるリスク回避的な円高の発生ということも警戒しておく必要があるのではないかと思う。

【米連邦債務上限問題はぎりぎりまで混乱の気配】

10月4日の米10年債利回りは前週末比で0.01%上昇の1.48%で終了したが、1.50%までいったん戻してから低下したために日足のローソク足で見れば上ヒゲの目立つ状況だ。米債務上限問題への警戒感から米国債売りとなり利回りが上昇している側面と、インフレ進行とそれを抑えるために米連銀の利上げ時期も前倒しされたことによる利回り上昇の側面を併せ持つ状況だ。

米野党共和党のマコネル上院院内総務はバイデン大統領宛ての書簡で「与党民主党は独力で米連邦政務の債務上限問題に取り組む必要がある」「インフレに直面しているのに民主党は共和党の支持なく巨額の歳出などを行おうとしている」と批判しており、民主党が政策的な妥協をしない限り問題解決に協力しない姿勢を示している。トランプ政権時代とは与野党の立場が逆転しておりトランプ政権時代でも、土壇場でこの問題は解決してきたため、今回も土壇場解決を予想するが、解決が見えないうちは市場の不安も先行する。株安から安全資産として債券買いが優勢となる場合は利回り低下だが、株安と共に米国リスクとして債券売りとなって長期債利回り上昇となる場合でも、ドル円としてのドル高反応は限定的となり9月30日高値をピークとしたドル円の下落継続となる可能性もあるところだ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、9月15日夜安値と22日午前安値をダブルボトムとした上昇が9月30日夜高値で一巡して下落期に入っている。10月4日午前安値から夜へいったん小反発してから安値を更新しているため、4日夜高値を起点として新たな下落期入りとすれば安値形成期は7日午前から11日午前にかけての間と想定されるので今週末の米雇用統計前段階では下げやすい状況と思われる。強気転換は4日夜高値超えからとするが、その際は5日夜から7日夜にかけての上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では1日未明への急落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落したが、その後も両スパン揃っての悪化が続いている。遅行スパンは好転しやすい位置にいるが、先行スパンを上抜き返せないうちはまだ一段安余地ありとして遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところからは下げ再開とし、強気転換は先行スパンを上抜き返すところからとする。

60分足の相対力指数は4日夜への上昇で60ポイントを超えたものの70ポイントには届かずに50ポイント割れへ失速した。その後も50ポイントを割り込んだ状況にとどまっている。50ポイントを超えないか一時的に超えても維持できないうちはまだ一段安余地ありとし、55ポイントを超えてその後も50ポイント台を維持し始める場合は上昇再開の可能性ありとする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、110.60円をを下値支持線、10月4日夜高値111.30円を上値抵抗線とする。
(2)4日夜高値を超えないうちは一段安警戒とし、110.60円割れからは110円台序盤(110.30円から110.00円)を試す流れとみる。110.20円以下は反発注意とするが、111円以下での推移なら6日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)10月4日夜高値手前は戻り売りにつかまりやすいとみるが、4日夜高値を超える場合は流れが変わったとみて111円台後半(111.50円から112.00円手前)を試す上昇を想定する。

【当面の主な予定】

10/5(火)
休場 中国
12:30 (豪) 豪中銀、政策金利 (現行 0.10%、予想 0.10%)
16:55 (独) 9月 サービス業PMI改定値 (速報 56.0、予想 56.0)
17:00 (欧) 9月 サービス業PMI改定値 (速報 56.3、予想 56.3)
17:30 (英) 9月 サービス業PMI改定値 (速報 54.6、予想 54.6)
18:00 (欧) 8月 生産者物価指数 前月比 (7月 2.3%、予想 1.3%)
18:00 (欧) 8月 生産者物価指数 前年同月比 (7月 12.1%、予想 13.5%)
21:30 (米) 8月 貿易収支 (7月 -701億ドル、予想 -706億ドル)
22:45 (米) 9月 サービス業PMI改定値 (速報 54.4、予想 54.4)
23:00 (米) 9月 ISM非製造業景況指数 (8月 61.7、予想 60.0)

10/6(水)
休場 中国、EU首脳会議
08:30 (日) 黒田日銀総裁、日米財界人会議で講演
10:00 (NZ) ニュージーランド中銀 政策金利 (現行 0.25%、予想 0.50%)
15:00 (独) 8月 製造業新規受注 前月比 (7月 3.4%、予想 -2.0%)
15:00 (独) 8月 製造業新規受注 前年同月比 (7月 24.4%、予想 16.5%)
17:30 (英) 9月 建設業PMI (8月 55.2)
18:00 (欧) 8月 小売売上高 前月比 (7月 -2.3%、予想 0.9%)
18:00 (欧) 8月 小売売上高 前年同月比 (7月 3.1%、予想 0.4%)
21:15 (米) 9月 ADP非農業部門雇用者数 前月比 (8月 37.4万人、予想 45.0万人)
22:00 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、講演
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計

※ポイント要約は編集部

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