トルコリラ円見通し 9月2日以降の安値を更新、13円挟んだ小持ち合いから下放れ(21/9/17)

16日はドル円が戻したもののドル全面高の様相の中でドル/トルコリラでのドル高リラ安が進んだことで12.81円まで一段安となり、13円を挟んだ持ち合いから下放れてきた。

トルコリラ円見通し 9月2日以降の安値を更新、13円挟んだ小持ち合いから下放れ(21/9/17)

トルコリラ円見通し 9月2日以降の安値を更新、13円挟んだ小持ち合いから下放れ

〇昨日のトルコリラ円、ドル高リラ安が進んだ影響で12.81まで一段安、13円挟んだ持ち合いから下放れる
〇ドルトルコリラ、9/16の米経済指標が総じて強かったことでドル高リラ安へ動き8.50台へ下落
〇米FOMCからのドル高警戒感・トルコ中銀金融政策決定会合からのリラ安警戒感が重なりつつある様相
〇12.90以下での推移中は一段安警戒とし、12.80割れからは12.70台前半への下落を想定する
〇12.90超えからは12.95手前を試すとみるが、12.93以上は反落警戒とみる

【概況】

トルコリラ円の9月16日は12.98円から12.81円の取引レンジ、17日早朝の終値は12.84円で前日終値12.94円からは0.10円の円高リラ安となった。
6月2日安値12.44円と6月21日安値12.48円をダブル底とした上昇が続いて9月2日には13.32円まで高値を切り上げてきたが、9月3日のトルコ物価指数及び米雇用統計を挟んでの乱高下で行き詰まり、9月8日のトルコ中銀総裁による利下げ余地を示唆するような発言から下落に転じて9月9日には12.89円まで続落した。その後は13円を挟んだ下げ渋り型の持ち合いとなっていたが、13.10円には届かずに上値が重くなり、15日夜はドル/トルコリラがほぼ横ばい推移だったもののドル円が急落したところで12.88円へ安値を切り下げ、16日はドル円が戻したもののドル全面高の様相の中でドル/トルコリラでのドル高リラ安が進んだことで12.81円まで一段安となり、13円を挟んだ持ち合いから下放れてきた。

【ドル/トルコリラは持ち合い下放れ】

ドル/トルコリラの9月16日は8.54リラから8.40リラの取引レンジ、17日早朝の終値は8.52リラで前日終値の8.42リラからは0.10リラのドル高リラ安となった。
来週の米FOMCを控えてドル高基調での推移が続いているが、15日夜のNY連銀景況指数が予想を上回ったところではドルトルコリラの動きは鈍かったものの、16日夜の米経済指標が総じて強かったことでユーロドルや豪ドル等が9月3日以降の安値を更新する中でドルトルコリラでもドル高リラ安へ動いて8.50リラ台へ下落した。
9月9日に8.51リラへ下落してから9月10日高値8.36リラへ戻した後はこの高安レンジ内での持ち合いに入り、ドルストレートにおけるドル高には鈍感な動きを続けてきたが、ドル高感が強まる中で持ち合いから下放れに入った。このため、9月3日高値8.24リラからの下落は9月9日までを一段目とし、持ち合い下放れにより二段目の下落期に入ってきた印象だ。来週の9月21-22日の米FOMCからのドル高警戒感、9月23日のトルコ中銀金融政策決定会合からのリラ安警戒感が重なり始めていると思われる。

【トルコリラの下落再開感強まる】

トルコリラ円は6月2日安値12.44円と6月21日安値12.48円をダブル底とし、昨年11月6日に付けた史上最安値12.03円割れをひとまず回避して戻してきた。昨年11月からのリラ高を利上げにより演出してきたアーバル前トルコ中銀総裁が突然解任されたことで最安値を試す動きに入って3月後半から大幅下落した後、後任のカブジュオール総裁がインフレ率を下回る政策金利にはしないと繰り返し強調してきたことで当面は利下げがないとみてリラは持ち直してきた。

9月8日、カブジュオール総裁は講演で、政策金利を判断する上で消費者物価上昇率については全体ではなくコア指数を基準とする旨の発言をした。9月3日に発表されたトルコの8月消費者物価上昇率は全体では前年同月比19.25%となり7月の18.95%から上昇して政策金利の週間レポレート19.00%を上回ったが、消費者物価コア指数の前年同月比は16.8%で7月の17.2%から若干低下して政策金利も下回った。このためコア指数を基準とすれば利下げも可能ということになり、9月2日まで続いてきた利下げは無いとみてのリラ高から利下げの可能性を警戒したリラ売りへと流れも変わってきた。加えて米連銀によるテーパリング開始への動きがドル高感を助長しているため、トルコリラとしてはドル高感とリラ安感が重なる状況になりつつある。
6月2日安値以降の上昇一巡による下落入りの可能性を踏まえ、来週の米FOMC及びトルコ中銀金融政策決定会合の結果次第では6月2日安値に迫る流れとなる可能性もあると注意したい。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、9月13日夕高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとして14日午後から16日夕にかけての間への下落を想定していたが、16日午前時点では前回ボトムから5日目に入ったために15日夜安値で直近のサイクルボトムを付けた可能性があるとした。
9月15日夜安値から下げ渋っていたものの16日夜に一段安しているため、16日午前高値ですでにサイクルトップを付けて底割れにより新たな弱気サイクル入りしていると思われる。次の安値形成期は20日夜から22日夜にかけての間と想定されるので16日午前高値を超えないうちは17日夜から週明けにかけての一段安警戒とみる。

60分足の一目均衡表では9月14日夜の下落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落し、その後も両スパン揃っての悪化が続いているので遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。先行スパンを上抜き返せないうちは一時的に遅行スパンが好転してもその後に悪化するところからは下げ再開とみる。
60分足の相対力指数は16日夜の下落時に20ポイント割れまで低下してからやや戻しているが、40ポイント以下での推移中はさらに一段安余地ありとみる。相場が続落する過程で指数のボトムが16日夜時点から切り上がる場合は強気逆行として反騰注意とするが、その際も40ポイント以下での推移なら下落継続の可能性を優先する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、12.80円を下値支持線、12.90円を上値抵抗線とする。
(2)12.90円以下での推移中は一段安警戒とし、12.80円割れからは12.70円台前半への下落を想定する。12.72円以下は反騰注意とするが、12.90円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)12.90円超えからは12.95円手前を試すとみるが、12.93円以上は反落警戒とみる。

【当面の主な予定】

9月20日
 23:30 8月 中央政府債務 (7月 203.2億リラ)
9月22日
 16:00 9月 消費者信頼感指数 (8月 78.2)
9月23日
 20:00 トルコ中銀 政策金利・週間レポレート (現行 19.00%)
 20:00 トルコ中銀 政策金利・翌日物貸出金利 (現行 20.50%)
 20:00 トルコ中銀 政策金利・翌日物借入金利 (現行 17.50%)
 20:00 トルコ中銀 政策金利・後期流動性貸出金利 (現行 23.50%)
 20:30 週次外貨準備高・グロス 9/17時点 (9/10時点 796.6億ドル)
9月24日
 16:00 9月 製造業景況感 (8月 113.9)
 16:00 9月 設備稼働率 (8月 77.1%)
 17:00 8月 観光客数 前年同月比 (7月 367.5%)


※ポイント要約は編集部

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