トルコリラ円見通し 8月20日の乱高下後はジリ高基調を維持、13円到達後も高値を切り上げる(21/8/25)

トルコリラ円の8月24日は13.08円から12.95円の取引レンジ。25日早朝の終値は13.01円で前日の13.00円からは0.01円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し 8月20日の乱高下後はジリ高基調を維持、13円到達後も高値を切り上げる(21/8/25)

8月20日の乱高下後はジリ高基調を維持、13円到達後も高値を切り上げる

〇トルコリラ円、8/23夜13円台に到達後8/24も高安レンジを切り上げる、ジリ高基調維持している印象
〇対ドル、8/24は8.44から8.37の取引レンジ、為替市場全般のドル安を背景に上昇再開気配
〇米株高等により金融市場全般のリスク選好感回復、ドル安への揺れ返しで、ドル安リラ高の動き
〇週末の米連銀パウエル議長講演控える、週末に向けてドル安リラ高一服となる可能性も
〇経常収支と外貨準備高は改善傾向、トルコリラ対ドルでの史上最安値から持ち直しやすい環境にあるか
〇12.90以上での推移中は上昇余地ありとし、13.10超えからは13.15前後を試すとみる
〇12.90割れからは弱気転換注意とし、12.85割れからは12.74前後を目指す下落を想定する

【概況】

トルコリラ円の8月24日は13.08円から12.95円の取引レンジ。25日早朝の終値は13.01円で前日の13.00円からは0.01円の円安リラ高だった。
8月20日早朝にドル/トルコリラがフラッシュクラッシュ的なドル安リラ高が発生したためにトルコリラ円も13.24円へ一時的に急伸してから早々に12.85円近辺まで押し返される動きとなり、20日夕刻に12.74円まで安値を切り下げたもののその後は再び水準切り上げに入り23日夜に13円台に到達、24日も高安レンジを切り上げてきている。
為替市場全般としては、先週はほぼ丸1週間をドル全面高の様相だったが、20日夜からはドル高一服で週明けの23日からは先週に対する揺れ返し的な動きでドル全面安の様相となり、ドルトルコリラでもドル安リラ高へ進んでいる。一方でドル円は米長期債利回り動向を見ながら16日夜安値109.10円から19日昼高値110.22円へ上昇した後も109.50円割れを買い戻されつつ110円台到達では売られる持ち合いで方向感にやや欠けるところだが、トルコリラ円はドル/トルコリラでのドル安リラ高を反映してジリ高基調を維持している印象だ。

【ドル安への揺れ返しで新興国通貨が上昇、ドル安リラ高の動き】

ドル/トルコリラの8月24日は8.44リラから8.37リラの取引レンジ、25日早朝の終値は8.39リラで23日終値の8.41リラからは0.02リラのドル安リラ高となった。8月20日は早朝のフラッシュクラッシュ的なドル安リラ高で一時8.25リラへ上昇したところから20日夕刻安値8.55リラまでいったん反落したが、為替市場全般のドル安を背景に上昇再開気配となっている。
先週は為替市場全般がドル全面高の様相だったが20日夜にはドル高も一服し、23日からはドル安へと風向きも変わってきており、ユーロドルは20日夜に1.1664ドルまで下落して年初来安値を更新したところから反騰入りして1.1750ドル台に到達して8月19日未明のFOMC議事録公開時に付けた高値1.1742ドルを超えており議事録公開後の下落分を解消している。資源通貨の豪ドル米ドルも20日夕安値で0.7106ドルまで年初来安値を更新したところから反騰入りして0.72ドル台を回復してFOMC議事録前の水準へ戻した。

南アランドも対ドルで8月20日夕刻に15.38ランドまで下落したところから反騰入りして15ランド弱の水準までドル安ランド高の推移となっている。メキシコペソも対ドルで20日深夜安値20.44ペソから反騰入りしている。
総じて8月19日のFOMC議事録公開を挟んだドル全面高が落ち着いて揺れ返しの動きに入っており、NYダウの連騰やナスダック総合指数の史上最高値更新等により金融市場全般のリスク選好感が回復、新興国通貨も買われている様相だ。
ただし、8月6日の米7月雇用統計が予想を超える改善となったことで米連銀の量的緩和縮小開始も早まるとの見方は解消したわけではなく、8月27日夜の米連銀パウエル議長のジャクソンホール講演ではテーパリング開始へのガイダンスも示されると予想されており、内容次第ではドル高のぶり返しも発生しかねないところと注意される。また講演前には先週に対する揺れ返し的なドル安も一服してポジション調整的なドルの買い戻しも発生しやすくなると思われるので、ドル/トルコリラも週末に向けてはドル安リラ高一服となる可能性があると思われる。

【経常収支と外貨準備高の改善傾向】

エルドアン大統領は先週の与党首脳会議の席でトルコ中銀の公的準備金は1,090億ドルに達したと述べ、経常収支の慢性的な赤字から脱却することも可能だとの認識を示したと報じられている。公式データでは6月末のトルコ中銀による公的準備金は977億ドルに達している。
8月13日発表の6月経常収支は11.27億ドルの赤字だったが5月の32.04億ドルからは大幅に改善した。7月は観光収入も回復基調を示していることで経常赤字の改善も見込まれる。
8月20日発表の8月13日時点の外貨準備高はグロスで673.6億ドルとなり8月6日時点の677億ドルからわずかに減ったものの今年3月時点で500億ドルを割り込んだところから改善傾向が続いている。外貨準備高はネットでも8月13日時点の241.2億ドルは4月時点で100億ドルを割り込んだところから改善傾向にある。
トルコの国内製造業は堅調な回復基調にあり、感染拡大の波が繰り返されつつも経済の疲弊を限定的なものとしており、欧州からの観光客もワクチン普及により前年の激減状況から改善してきている。

9月1日に4-6月期のトルコGDPが発表されるが市場予想では前年同期比で20%を超える可能性が見込まれている。パンデミック期との対比となるので主要国の同期のGDP伸び率は大きいが、トルコは1-3月期に7.0%成長を達成しており、主要国の中でも優秀な数字をはじき出しているので注目度も大きい。
物価上昇がやまずに7月のCPI前年比が18.95%に達して政策金利の週間レポレート19.00%に迫った状況にあり、エルドアン大統領の要求する利下げは難しいものの、当面は利下げできない状況が続くことでかえってリラ売りの勢いを削ぐ形となっており、ドル/トルコリラとしては6月25日の史上最安値から持ち直す動きを続けやすい環境にあるのだろうと思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、8月20日早朝に一時的なドル安リラ高を背景に急騰したところの高値からいったん20日夕刻へ下げ、その後に13円到達へ戻してきたため24日午前時点では20日夕安値を起点として強気サイクル入りしているとし、高値形成期を25日早朝から27日朝にかけての間と想定した。
24日夜もジリ高基調を継続しているので引き続きトップ形成中とし、12.90円以上での推移中は上向きとするが、20日早朝の一時的急騰から3日を経過しているので反落注意期にあるとみて12.90円割れを弱気転換注意、12.85円割れからは弱気サイクル入りとして25日夜から27日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では8月20日夕刻からの上昇を継続して先行スパンを突破しているので遅行スパン好転中の高値試し優先とみる。弱気転換は先行スパンから再び転落するところからとし、その際は遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。
60分足の相対力指数は50ポイント台を維持して確りしているので70ポイント超えを目指す上昇の可能性ありとみるが、50ポイント割れから続落に入る場合はいったん調整安に向かうとみて30ポイント前後への低下を伴う下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、12.90円を下値支持線、13.10円を上値抵抗線とする。
(2)12.90円以上での推移中は上昇余地ありとし、13.10円超えからは13.15円前後を試すとみる。13.15円以上は反落注意とするが勢い付く場合は13.20円試しへ向かう可能性もあるとみる。また12.95円以上での推移なら26日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)12.90円割れからは弱気転換注意とし、12.85円割れからはいったん下げに入るとみて20日夕安値12.74円前後を目指す下落を想定する。12.77円以下は反騰注意とするが、12.85円以下での推移なら26日安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

8月25日
 16:00 8月 製造業景況感 (7月 114.8)
 16:00 8月 設備稼働率 (7月 76.7%)
8月26日
 20:30 週次 外貨準備高 8/20時点 (8/13時点 673.6億ドル)
8月27日
 16:00 8月 経済信頼感指数 (7月 100.1)
8月31日
 16:00 7月 貿易収支 (6月 -28.5億ドル)
9月01日
 16:00 4-6月 GDP 前期比 (1-3月 1.7%)
 16:00 4-6月 GDP 前年同期比 (1-3月 7.0%)
 16:00 8月 イスタンブール製造業PMI (7月 54.0)
9月03日
 16:00 8月 消費者物価 前月比 (7月 1.8%)
 16:00 8月 消費者物価 前年同月比 (7月 18.95%)
 16:00 8月 生産者物価 前月比 (7月 2.46%)
 16:00 8月 生産者物価 前年同月比 (7月 44.92%)

9月23日
 20:00 トルコ中銀金融政策決定会合 政策金利 (現行 19.00%)


※ポイント要約は編集部

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