トルコリラ円見通し 12円台後半中心の持ち合い続く、内外の難問も山積(21/8/17)

トルコリラ円の8月16日は12.94円から12.80円の取引レンジ、先週末の13日の取引レンジ内にとどまっての小動きだった。

トルコリラ円見通し 12円台後半中心の持ち合い続く、内外の難問も山積(21/8/17)

12円台後半中心の持ち合い続く、内外の難問も山積

〇昨日のトルコリラ円、12.94から12.80で先週末13日の取引レンジ内にとどまっての小動き
〇9日以降下値支持線やや切り上がりつつ、上値抵抗線も切り下がるレンジ縮小型の持ち合い
〇対ドルでは13日終値8.51から16日終値8.45へとリラ高ドル安、日足は3日連続陽線での上昇
〇トルコはアフガン情勢、山火事や洪水、感染拡大等外交内政上の難問を抱えた状況
〇8/16安値12.80割れからは下向き、11日夜安値12.72試しへ向かうとみる
〇12.80以上での推移中は上向き、12.95超えからは11日早朝高値13.01試しへ向かうとみる

【概況】

トルコリラ円の8月16日は12.94円から12.80円の取引レンジ、先週末の13日の取引レンジ内にとどまっての小動きだった。
6月2日安値12.44円と6月21日安値12.48円をダブル底としてその後はジリ高の推移を続けて8月3日には13.15円まで戻り高値を切り上げてきたが、6月11日に付けた高値13.21円には届かず、8月3日のトルコ7月消費者物価上昇率が前年比18.98%となり政策金利の週間レポレート19.00%に迫ったことで実質マイナス金利状態への転落も懸念されるとしてリラ売りが再開、8月9日まで5営業日連続の日足陰線で下落して8月9日安値では12.67円まで失速したが、その後は下げ一服で12円台後半での持ち合いを続けている。

【レンジ縮小型の持ち合い】

トルコリラ円は8月11日に13.01円まで戻した後は伸びずにいる。8月9日安値12.67円から11日夜安値12.72円と底上げをし、8月16日も安値で12.80円まで下げたところは買い戻されて底上げ基調を維持している。一方で戻り高値は11日朝の13.01円、13日朝の12.98円と切り下がり、16日も夜に12.94円まで上昇したところからは伸びず、下値支持線がやや切り上がりつつも上値抵抗線も切り下がるレンジ縮小型の持ち合いの様相となっている。
8月3日のトルコ物価上昇率発表、8月12日のトルコ中銀金融政策での政策金利現状維持と当面の焦点となる発表イベントを通過したもののさらに大きく動くきっかけにはならず、次のきっかけ待ちの様相となっている。

【ドル円の下落とドルトルコリラでのリラ高ドル安】

ドル/トルコリラの8月16日は8.52リラから8.41リラの取引レンジ、13日終値8.51リラから16日終値8.45リラへとリラ高ドル安となった。日足は3日連続の陽線での上昇であり、8月3日8.27リラから8月11日8.67リラへ下落したところで下げ一巡、6月25日の史上最安値8.79リラを割り込む流れはひとまず回避したとしてリラ買い優勢の流れとなっている。
対ドルでのリラ売り一巡で確りする一方で、ドル円は8月16日夜に109.10円まで下落、8月11日高値110.79円から大幅下落しており、トルコリラ円にとってはドル安リラ高が押し上げ要因になる一方でドル円の大幅下落が上値を抑える状況で板挟みとなっている。

米連銀による量的金融緩和縮小への動きが米長期債利回りの上昇とドル高を招いてきたが、米7月コアCPIの伸び率が鈍化したことで8月11日からは全般的なドル高が一服、先週末のミシガン大消費者信頼感指数が予想を大幅に下回り、週明けの16日もNY連銀製造業景況指数が予想を超える悪化となるなど、米連銀が量的緩和縮小を開始するには景況感の悪化が足かせとなるのではないかとの思惑でドル高にブレーキがかかっている印象もある。そのあたりはトルコリラにはプラスだが、トルコも利下げしたいエルドアン大統領の意向とは裏腹に物価上昇がやまず、ここにきて難題も山積し始めている。

【トルコの難題】

アフガニスタンの首都カブールがタリバンに制圧されてガニ大統領が国外へ脱出、米軍の完全撤退への動きに合わせてタリバンがほぼアフガニスタンを制圧した。トルコはNATO加盟国としてタリバンと対峙する側に位置しており、米国との間では空港警備を要請されていたが、米軍撤退とアフガニスタン政府軍崩壊の中でタリバンからもトルコ軍の撤退が要求されている。
トルコにとってはイラン経由でアフガニスタンから大量の難民が流入してくることも懸念材料であり、タリバン軍に対抗するような行動もとれず、難しい選択を迫られる状況にある。

トルコでの大規模な山火事も続いている。ギリシャにも拡大して周辺諸国が消火協力に動いているが、トルコ領域ではロシアやアゼルバイジャンが航空機による消火活動支援を行っている中でロシアの消火活動中の航空機が墜落事故に見舞われている。

またトルコ北部の黒海沿岸では先週に大洪水が発生して被災地からは2千人以上が避難している。
トルコの首都アンカラではシリア難民によるトルコ人殺害事件をきっかけにトルコ人によるトルコ国内のシリア人への襲撃事件が暴動規模へ発展している。
新型コロナウイルスによる感染拡大も第四波の発生が顕著になっており、8月16日には新規感染者が1万8163人、累計は609万人を超えた。死者も1日で165人増で5万3324人に拡大している。今のところは新たなロックダウン等による経済活動規制強化の動きは見られないものの、拡大ペースは第二波や第三波の初期に匹敵する勢いであり、今後の経済活動委縮への懸念も強まるところだ。
アフガン情勢、山火事や洪水、感染拡大等の難問は今のところは相場への影響も見られないものの、外交内政上の難問を抱えた状況にあることは認識しておきたい。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、8月11日朝高値を前回のサイクルトップ、11日夜安値を同サイクルボトムとして上昇期に入ってきた。高値形成期は14日早朝から18日午後にかけての間と想定されるのでまだ上昇余地ありとみるが、12.80円を割り込むところからは弱気サイクル入りとして17日の日中から18日夜にかけての間への下落を想定する。
 
60分足の一目均衡表では8月16日午後からの持ち直しで遅行スパンが好転、先行スパンからも上抜けてきているので遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、先行スパンから再び転落するところからは下げ再開の可能性ありとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。
60分足の相対力指数は50ポイント以上を概ね維持して推移しているのでまだ上昇余地ありとみるが、60ポイント台前半では上値が重い印象だ。50ポイント割れから続落に入る場合は下げ再開注意とみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、12.80円を下値支持線、12.95円を上値抵抗線とする。
(2)12.80円以上での推移中は上向きとし、12.95円超えからは11日早朝高値13.01円試しへ向かうとみる。13円以上は反落警戒とするが、12.80円以上での推移なら18日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)12.80円割れからは下向きとして11日夜安値12.72円試しへ向かうとみる。12.75円以下は反騰注意とするが、12.80円以下での推移なら18日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

8月19日
 20:00 トルコ中銀金融政策決定会合議事要旨
 20:30 週次外貨準備高(グロス) 8/13時点 (8/6時点 677.4億ドル)
8月20
 23:30 7月 中央政府債務残高 (6月 202.7億リラ)
8月23日
 16:00 8月 消費者信頼感指数 (7月 79.5)
 17:00 7月 観光客数 前年同月比 (6月 853.4%)
8月24日
 19:00 7月 自動車生産台数 前年同月比 (6月 3.8%)
8月25日
 16:00 8月 製造業景況感 (7月 114.8)
 16:00 8月 設備稼働率 (7月 76.7%)

※ポイント要約は編集部

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