トルコリラ週報:『方向感に欠ける展開が継続。トルコ中銀は政策金利の据置を決定』(8/14朝)

トルコリラの対円相場は、方向感に欠ける値動きが続いております。

トルコリラ週報:『方向感に欠ける展開が継続。トルコ中銀は政策金利の据置を決定』(8/14朝)

『方向感に欠ける展開が継続。トルコ中銀は政策金利の据置を決定』

〇今週のトルコ円、週明け12.69まで下落するも、失業率改善等で13.04まで反発
〇週後半は北部の洪水被害、トルコ中銀のタカ派姿勢に売買交錯12.85レベルで週末推移
〇トルコ円チャートポイント密集し、膠着感強まる
〇ファンダメンタルズは米長期金利上昇による資金流出、国内のコロナ感染拡大懸念等トルコ下落材料残る
〇エルドアン大統領の要求はねつけ、政策金利据え置いたカブジュオール中銀総裁の去就注目
〇トルコ円下落がメインシナリオ、来週の予想レンジ(TRYJPY):12.60ー13.00

今週のレビュー(8/9−8/13)

今週のトルコリラ円(TRYJPY)相場は、週初12.77円で寄り付いた後、@米早期テーパリング観測の高まりを背景とした米長期金利の急上昇を背景に、週明け早々に週間安値12.69円(7/9以来、約1ヵ月ぶり安値圏)まで下落しました。しかし、ボリンジャーバンド下限に続落を阻まれると、Aトルコ6月失業率(結果10.6%、前回13.2%)の大幅改善や、Bトルコ中銀会合を控えたポジション調整が支援材料となり、週央にかけて、週間高値13.04円まで反発しました。もっとも、週後半にかけては、Cトルコ北部の黒海沿岸地域で発生した豪雨・洪水の影響(トルコ経済の先行き不安)に伴うリラ売り材料と、Dトルコ中銀会合で政策金利が現行の19.00%に据え置かれると共に、声明文でも「高インフレを背景に現在の金融引き締めスタンスを断固として維持する」方向性が示されたことに伴うリラ買い材料が交錯し(上下しつつも方向感を見出しづらく)、本稿執筆時点(日本時間8/14午前5時00分現在)では、12.85円前後で推移しております。

来週の見通し(8/16−8/20)

トルコリラの対円相場は、方向感に欠ける値動きが続いております。チャート的には13.00円前後で戻り売り、12.70円前後で押し目買いが強まる構図となっており、日に日に膠着感が強まってきている状況です(複数のチャートポイントが同一箇所に密集して身動きが取り辛いチャート形状→新規材料待ち)。

但し、ファンダメンタルズ的に見ると、@米早期テーパリング観測を背景とした国内から国外への資本流出圧力や、Aトルコ国内における新型コロナウイルスの感染拡大懸念(トルコ経済の先行き不透明感)、BキプロスやS400を巡るEU及び米国との関係悪化懸念、Cインフレ上昇に伴うトルコリラの実質金利低下、Dエルドアン大統領による強力な利下げ圧力など、トルコリラの下落リスクを意識させる材料が複数残っています。

以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(膠着相場を経てトルコリラは下放れすると予想)。尚、来週はトルコ国内の経済イベントに乏しいことから、米ドル主導の動きが想定されます(米経済指標が強ければ、米早期テーパリング観測を通じた米ドル高を背景に新興国通貨に下押し圧力が加わり易い)。また、可能性としては低いものの、エルドアン大統領の要求に反して政策金利の据え置きを決定したカブジュオール総裁の解任リスク(ネガティブサプライズ)にも注意が必要でしょう(アーバル前トルコ中銀総裁は本年3/20に在任期間わずか5ヶ月で解任された前例あり。カブジュオール総裁も任命後5ヶ月が経過済み)。

来週の予想レンジ(TRYJPY):12.60ー13.00

注:ポイント要約は編集部

『方向感に欠ける展開が継続。トルコ中銀は政策金利の据置を決定』

トルコ円日足

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