トルコリラ円見通し ドル円の急伸に支えられるが下げ渋り持ち合いの範囲(21/7/1)

トルコリラ円の6月30日は12.79円から12.61円の取引レンジ。前日とほぼ変わらずの高安範囲だったが、前日の日足陰線に対して陽線での切り返しとなった。

トルコリラ円見通し ドル円の急伸に支えられるが下げ渋り持ち合いの範囲(21/7/1)

ドル円の急伸に支えられるが下げ渋り持ち合いの範囲

〇トルコリラ円、30日は12.79から12.61の取引レンジ、前日の日足陰線に対して陽線での切り返しに
〇対ドルは8.74から8.62で前日とほぼ変わらない推移にとどまる
〇米雇用統計が予想以上に良ければドル高が加速しトルコリラも売られやすくなる可能性
〇トルコ5月貿易収支は41.3億ドルの赤字で市場予想と一致、輸出入は昨年同時期と比べ回復感を示す
〇12.67以上で推移中は上昇余地あり、12.80超えから12.90前後を目指すとみる
〇12.67割れから下げ再開を警戒し12.60前後試し、12.60割れから12.50から12.55へ下値目途引き下げ

【概況】

トルコリラ円の6月30日は12.79円から12.61円の取引レンジ。前日とほぼ変わらずの高安範囲だったが、前日の日足陰線に対して陽線での切り返しとなった。
6月21日安値で12.48円まで下げて6月2日安値12.44円へ迫ったものの底割れを回避し、6月23日に12.89円まで戻したところからは上げ渋っており、この4日間は12.80円手前から12.60円前後までのレンジでの騰落で日足は陰線と陽線を交互に付けている。
6月30日は米経済指標の強さからドル円が急伸し、夕刻の110.40円台から深夜には111円台を回復、1日早朝には6月24日付けた4月23日以降の高値である111.11円を超えて111.16円まで高値を伸ばしたことがトルコリラ円には押し上げ要因となったが、12.80円に届かない範囲にとどまった。

ドル/トルコリラの6月30日は8.74リラから8.62リラの取引レンジで前日とほぼ変わらないレンジでの推移にとどまった。米経済指標が強かったことと先週末でFOMC後の揺れ返し的なドル安が一巡してドル高感が再燃していることが圧迫要因だが、6月26日早朝に8.799リラへ下落して史上最安値を更新したことで下落一服感が出ており、29日及び30日の値動きは若干リラの買い戻し優勢の動きだった。しかし30日夜に8.62リラへ上昇したところでは戻り売りにつかまっており、8.62リラから8.64リラにかけては上値が重くなっている状況だ。
為替市場全般は1日夜の米新規失業保険申請件数とISM製造業景況指数、2日夜の米労働省雇用統計へと重要指標が続く中でドル高感が加速するのか、いったんドル安へ風向きを変えるのか試されるところにある。先のFOMCで米連銀が量的緩和縮小開始の議論に着手して利上げ想定時期を前倒ししたことから、特に2日夜の米雇用統計が予想以上の良好さを示す場合はドル高が加速してトルコリラも売られやすくなると注意したい。

【対外貿易は回復基調を維持、5月サービス部門PPIは伸びが加速】

【対外貿易は回復基調を維持、5月サービス部門PPIは伸びが加速】

トルコ統計局が発表した5月の貿易収支は41.3億ドルの赤字となり市場予想と一致したが、4月の30.8億ドルを上回った。恒常的な貿易赤字国ではあるが、輸出入の伸びは堅調さを示した。輸出は前年同月比で63.7%増となり4月の113.6%増に続いて昨年同期のパンデミック期との比較において回復感を強めた。輸入も前年同月比51.6%増となり4月の62.5%増に続いて回復感を示した。

6月30日に発表された5月のサービス部門生産者物価指数の伸び率は前月比13.24%となり4月の9.75%から加速した。前年同月比では28.55%となり4月の26.26%から加速した。前年同月比は2020年5月に9.72%まで伸び率が鈍化していたがその後は上昇基調にあり、2020年10月に20%を超えた後も顕著な低下を見せずに2018年9月の31.0%以来の高水準となっている。
トルコ中銀は7月14日に金融政策決定会合を開くが、その前の7月5日に6月の物価上昇率の発表が控えている。5月の消費者物価上昇率は前年同月比で16.59%だったが市場予想では17%台への上昇が見込まれている。5月の生産者物価上昇率は38.33%だったが40%超えの予想も出ている状況だ。
物価上昇が収まらない限りはトルコ中銀も懸案の利下げへ踏み切れないと思われるが、物価上昇を抑制するための利上げをしなければ市場も利上げ催促的なリラ売り攻勢をとりかねないところだ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、6月26日早朝安値からの戻りが29日早朝高値で一巡して下落期に入っていたが、30日夜の上昇で29日早朝高値を超えてきたため、30日午前安値を起点として新たな上昇期に入った可能性がある。このため、30日午前安値12.61円を上回るうちは7月2日朝から6日朝にかけての間への上昇余地ありとみる。ただし戻りは短命の可能性もあるので12.67円割れを弱気転換注意とし、12.61円割れからは下落期入りとして7月5日朝から7日午前にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では30日夜の上昇で遅行スパンが好転、先行スパンも上抜いた。その後も両スパン揃っての好転を維持しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、高値切り上げへ進めないと遅行スパンは悪化しやすくなると注意し、先行スパン転落からは下げ再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は30日夜の上昇で70ポイント台へ乗せたがその後の伸び悩みで50ポイント台へ低下している。50ポイントを一時的に割り込んでも回復するうちは60ポイント超えから上昇再開とみるが、45ポイント割れからは下げ再開を警戒して30ポイント前後への低下へ向かうとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、12.67円を下値支持線、12.80円を上値抵抗線とする。
(2)12.67円以上での推移中は上昇余地ありとし、12.80円超えからは12.90円前後を目指すとみる。12.85円以上は反落注意圏とみるが、12.70円以上を維持しての推移なら2日の日中も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)12.67円割れからは下げ再開を警戒して12.60円前後試しとし、12.60円割れから下げ足が速まる場合は12.50円から12.55円にかけてのゾーンへ下値目途を引き下げる。また12.67円以下での推移が続く場合は2日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

7月1日
 16:00 6月 イスタンブール製造業PMI (5月 49.3)
 20:30 週次外貨準備高 6/25時点 (6/18 560.2億ドル)
7月5日
 16:00 6月 消費者物価上昇率 前月比 (5月 0.89%)
 16:00 6月 消費者物価上昇率 前年同月比 (5月 16.59%)
 16:00 6月 生産者物価上昇率 前月比 (5月 3.92%)
 16:00 6月 生産者物価上昇率 前年同月比 (5月 38.33%)
7月8日
 20:30 週次 外貨準備高 7/2時点
7月9日
 16:00 5月 経常収支 (4月 -17.12億ドル)
7月12日 
 16:00 5月 失業率 (4月 13.9%)
7月14日
 20:00 トルコ中銀金融政策決定会合


※ポイント要約は編集部

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