ドル円見通し 米経済指標強くドル高継続で111円台回復(21/7/1)

ドル円は6月30日夜の急伸で111円台を回復、1日早朝には111.11円を付けて6月24日午前に付けた4月23日安値以降の最高値に並んだ。

ドル円見通し 米経済指標強くドル高継続で111円台回復(21/7/1)

米経済指標強くドル高継続で111円台回復

〇ドル円、30日夜の急伸で111円台回復、1日早朝に111.11をつけた後、高値を若干更新している
〇30日発表の米経済指標が予想を超え、週末の雇用統計も良好との見方強まりドル高継続、111円台回復へ
〇米雇用統計も良好な数字なら米連銀の量的緩和縮小開始時期も早まる可能性
〇110.75以上で推移中は上昇余地あり、110.50前後を目指すとみる
〇110.80台までは押し目買いされやすく110.75を割り込む場合反動安入り、110.50前後への下落を想定

【概況】

ドル円は6月30日夜の急伸で111円台を回復、1日早朝には111.11円を付けて6月24日午前に付けた4月23日安値以降の最高値に並んだ。1日早朝には高値を若干更新してきている。
6月17日未明の米FOMCが利上げ想定時期を前倒しして量的緩和縮小議論に着手するとしたことでドル全面高となる中、ドル円は17日午前に110.81円へ急伸したものの、NYダウ等が大幅下落したことでリスク回避的な円高となり6月21日には109.70円まで下げてFOMC前の水準をいったん割り込んだ。

しかしNYダウが反騰に転じてナスダック総合指数が史上最高値更新へと上昇したことでドル円におけるリスク回避感が後退したとして6月24日には111.11円まで一段高となった。111円到達では高値警戒感も出て月末要因と7月2日の米雇用統計も控えた状況でポジション調整的に売られて6月30日夕までは安値を徐々に切り下げる展開だった。
しかし30日はADP民間雇用報告が予想を上回り、シカゴPMIが予想を下回ったものの確りした数字を維持、中古住宅保留指数も予想を大きく超えたことで米景気回復感と週末の米労働省雇用統計も良好との見方が強まったためにドル高が継続、ドル円も110.60円を超えた辺りから買いの連鎖反応となって111円台回復に至った。

【雇用改善期待高まる】

6月30日の米長期債利回りは総じて前日と変わらず。10年債利回りは一時1.44%まで低下してから切り返して前日比変わらずの1.47%で終了。30年債利回りも前日比と変わらず2.09%、利上げ時期に敏感でFOMC後に急伸した2年債利回りは0.24%台へ低下してから持ち直してこちらも前日比と変わらずの0.25%で終了した。NYダウは前日比210.22ドル高と上昇したものの史上最高値の更新が続いたナスダック総合指数は高値警戒感もあって前日比24.38ポイント安と小幅下落した。

米ADPによる6月全米雇用報告では、非農業部門民間就業者数は前月比69万2000人増で市場予想の60万人増を上回った。5月分は速報の97.8万人増から88.6万人増へ下方修正された。ドル高要因となったが、前月の発表時に予想を大幅に上回ったことでドル高となったものの翌日の米雇用統計本番がさえない数字となって失望を買った経緯もあるので反応は穏やかだった。

6月のシカゴ購買部景況指数(シカゴPMI)は66.1で5月の75.2から低下して市場予想の70.0を下回った。同指数を構成する5指標のうちで生産、受注残、雇用の4指標が悪化したもののサプライヤーデリバリー指標は1974年3月以来の高水準へ上昇しており、景気回復感を強める高水準を維持したといえる。
米不動産業者協会(NAR)が発表した5月の米住宅販売保留指数は前月比8.0%上昇で市場予想の0.8%低下及び4月の4.4%低下を上回った。前年同月比は13.9%上昇で予想の5.2%上昇を上回った。4月の53.7%上昇からは大幅に鈍化したが、前年がパンデミック開始時だったためのギャップであり好調さを維持している。

総じて米景気回復感を助長する指標発表だったが、週末の米雇用統計も良好な数字になれば米連銀の量的緩和縮小開始時期も早まる可能性がある。ダラス連銀のカプラン総裁は30日の通信社インタビューで「景気過熱による物価急上昇や金融市場での不均衡増大といった副作用に警戒が必要」、「量的緩和策による米国債や住宅ローン担保証券(MBS)の買い入れ規模を徐々に圧縮していく取り組みをすぐに始めるべきだ」と述べた。米連銀は量的緩和縮小の条件を、雇用と物価が目標に向けて「一段と大きく前進すること」としているが、同総裁は予想していたよりも早期に「一段と大きく前進」へ到達すると思うと述べている。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、6月21日昼安値から4日目となる6月25日夜安値でいったん底を付けたものの28日夜の戻り高値からの反落で底割れしたために新たな弱気サイクルに入ったとして6月30日夜から7月2日深夜にかけての間への下落を想定していた。30日朝時点ではまだ一段安余地ありとしたが、6月28日夜高値を超えるところからは強気サイクル入りとした。
6月30日夜の急伸で28日夜高値を超えて一段高に入ったため、30日夕安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとする。高値形成期は1日夜から5日夜にかけての間と想定されるのでまだ上昇余地ありとみるが米経済指標の発表も相次ぐので波乱注意とし、110.75円割れからは弱気転換注意として30日夕安値110.41円試しへ向かうとみる。

60分足の一目均衡表では30日夜の急伸で遅行スパンが好転、先行スパンを上抜き返した。このため遅行スパン好転中は高値試し優先とし、先行スパンからの転落を回避するうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところからは上昇再開とし、弱気転換は先行スパン転落からとする。

60分足の相対力指数は30日夜の急伸で80ポイントに迫った後も70ポイント以上を維持している。60ポイント台までを下値支持帯としてまだ上昇余地ありとするが、相場が高値を更新してゆく中で指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられる場合及び50ポイント割れからは弱気転換注意とする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、110.75円を下値支持線、111.50円を上値抵抗線とする。
(2)110.75円以上での推移中は上昇余地ありとし、111.50円前後を目指すとみる。111.50円以上は反落注意とするが110.75円以上を維持するなら2日の日中も高値試しへ向かいやすいとみる。また勢い付く場合は112円へ迫る可能性もあるとみる。
(3)110.80円台までは押し目買いされやすいとみるが、110.75円を割り込む場合は反動安入りの可能性ありとみて110.50円前後への下落を想定する。110.50円以下は反発警戒とするが、110.75円を割り込んだ水準での推移なら2日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

7/1(木)
休場、香港、カナダ
OPEC総会、OPECプラス閣僚級会合
10:30 (豪) 5月 貿易収支 (4月 80.28億豪ドル、予想 100.00億豪ドル)
10:45 (中) 6月 財新製造業PMI (5月 52.0、予想 51.8)
15:00 (独) 5月 小売売上高指数 前月比 (4月 -5.5%、予想 5.0%)
15:00 (独) 5月 小売売上高指数 前年同月比 (4月 4.4%、予想 -1.0%)
16:55 (独) 6月 製造業PMI改定値 (速報 64.9、予想 64.9)
17:00 (欧) 6月 製造業PMI改定値 (速報 63.1、予想 63.1)
17:30 (英) 6月 製造業PMI改定値 (速報 64.2、予想 64.2)

18:00 (欧) 5月 失業率 (4月 8.0%、予想 8.0%)
18:00 (英) ベイリー英中銀総裁、基調講演
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 41.1万件、予想 39.0万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 339.0万人、予想 338.2万人)
22:45 (米) 6月 製造業PMI改定値 (速報 62.6、予想 62.6)
23:00 (米) 6月 ISM製造業景況指数 (5月 61.2、予想 61.0)
23:00 (米) 5月 建設支出 前月比 (4月 0.2%、予想 0.4%)

7/2(金)
08:50 (日) 6月 マネタリーベース 前年同月比 (5月 22.4%)
10:30 (豪) 5月 住宅ローン新規申請件数 前月比 (4月 4.3%)
18:00 (欧) 5月 生産者物価指数 前月比 (4月 1.0%、予想 1.2%)
18:00 (欧) 5月 生産者物価指数 前年同月比 (4月 7.6%、予想 9.5%)
21:30 (欧) ラガルドECB総裁、パネスディスカッション
21:30 (米) 5月 貿易収支 (4月 -689億ドル、予想 -713億ドル)
21:30 (米) 6月 非農業部門就業者数 前月比 (5月 55.9万人、予想 69.5万人)
21:30 (米) 6月 失業率 (5月 5.8%、予想 5.7%)
21:30 (米) 6月 平均時給 前月比 (5月 0.5%、予想 0.3%)
21:30 (米) 6月 平均時給 前年同月比 (5月 2.0%、予想 3.6%)
23:00 (米) 5月 製造業新規受注 前月比 (4月 -0.6%、予想 1.5%)


※ポイント要約は編集部

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