ドル円見通し 111円台到達後は上値重い、米長期債利回り低下とクロス円全般の下落に圧される(21/6/29)

ドル円は6月24日午前高値で111.11円へ上昇して最高値を更新、25日夜には110.47円へ反落、28日夜には110.97円までいったん戻したものの111円には届かず。

ドル円見通し 111円台到達後は上値重い、米長期債利回り低下とクロス円全般の下落に圧される(21/6/29)

111円台到達後は上値重い、米長期債利回り低下とクロス円全般の下落に圧される

〇ドル円、111円到達で上値重くなり25日夜110.47へ反落、28日夜に110.97まで戻すも111円には届かず
〇28日は主要な米経済指標の発表なく手掛かり難の中、ドルストレートでドル高気配の推移
〇クロス円全般はドル円の上値の重さとユーロや豪ドルなどの下落で総じて下げる
〇週末の雇用統計では非農業部門雇用者数が伸び、失業率も改善する予想で雇用回復感が強まる可能性
〇110.80以下で推移中は下向き、110.47割れから110円台序盤を試すとみる
〇110.97超えから111.11試し、超えれば111.30前後を目指す上昇を想定

【概況】

ドル円は6月24日午前高値で111.11円へ上昇して4月23日以降の最高値を更新、3月31日高値も超えたが、111円到達では上値が重くなり、25日夜には110.47円へ反落、28日夜には110.97円までいったん戻したものの111円には届かずに反落となり、25日夜安値割れに余裕が乏しい状況となっている。

6月28日は主要な米経済指標の発表はなく全般に手掛かり難だったが、為替市場はドルストレートでドル高気配の推移となり、クロス円全般はドル円の上値の重さとユーロや豪ドルなどの下落により総じて下げた。
6月17日未明のFOMCを挟んで先々週はほぼ1週間のドル全面高となり、先週はその揺れ返しでドル全面安の様相だったものの、主要通貨毎には戻りの勢いにも差が出て23日夜以降は徐々に上値が重くなる状況、ユーロドルは25日夜に戻り高値を切り上げたものの週明けは失速した。ポンドドルも28日夕刻へ小反発したものの29日早朝には週末安値を割り込み23日夜高値以降の安値を更新している。豪ドルとNZドルも25日夜高値からはジリ安に風向きが変わり、南アランドも25日夜からは対ドルで失速している。
市場心理は週末をきっかけに週替わりで方向性も変わりやすいが、ドル全面高の週からドル全面安の週となり、今週はドル高再燃で週末の米雇用統計を意識した動きと思われる。

【米長期債利回り低下、株高とのはざま】

6月28日の米長期債利回りは総じて低下した。10年債利回りは前日比0.05%低下の1.48%、30年債利回りは同0.05%低下の2.10%、2年債利回りも0.01%低下の0.26%だった。利上げ時期に敏感な2年債利回りはFOMCを挟んで直前の0.15%台から0.28%台へ急伸、その後も高値圏を維持している。10年債や30年債利回りは2年債売り・10年債買い等の裁定取引で低下傾向にある。2年債利回りの急伸が落ち着いたところで10年債利回り等が低下したことでドル円は日米金利差面でやや売られやすい状況のようだ。

米国株式市場はまちまち、NYダウは前日比150.57ドル安と下落し、先週末の連騰で550ドルを超える上昇幅を削ったが、長期債利回りの低下局面で買われやすいナスダック総合指数は前日比140.12ポイント高と上昇して取引時間中及び終値ベースの史上最高値を更新している。景気回復期待を背景とした先高感が強まってきている印象だ。

今週末の米6月雇用統計では非農業部門雇用者数が5月の55.9万人増から69万人増へと伸びる予想となっている。失業率も5月の5.8%から5.7%へ改善する予想となっている。市場予想を超える改善がみられれば、米連銀によるテーパリング(量的緩和縮小)開始の条件でもある雇用回復感が強まり、10-12月期には開始される可能性も高まるとしてドル全面高・米2年債や5年債利回り上昇となりドル円には上昇要因となる可能性があるが、その際に株安でクロス円全般が急落反応を見せるようだとリスク回避的な円高がドル高を相殺してドル円が伸び悩みないしはいったん上昇してから反落に転じる可能性もあると思われる。逆に予想外に低調な水準なら、米連銀もテーパリングの議論を始めても着手は年明け以降へ先送りされる可能性も高まると受け止められてドル安へ向かう可能性も考えられる。前哨戦となる重要指標発表も相次ぐので、目先は慎重になりつつも一喜一憂する動きとなりやすいところだ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、6月21日昼安値で目先の底を付けて反騰入りしてきたが、24日午前高値で111.11円を付けたところでピークを付けて下落期に入った。25日夜安値から28日夜高値へいったん戻したものの戻り高値を切り下げて28日深夜には底割れへの余裕が乏しくなっているため、25日夜安値を直近のサイクルボトム、28日夜高値を同サイクルトップとして下落期に入っている印象だ。このため28日夜高値を超えないうちは30日夜から7月2日深夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では28日夜の反落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落しているので、遅行スパン好転中は安値試し優先とする。強気転換は28日夜高値超えからとし、超えないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところからは下げ再開とみる。

60分足の相対力指数は110.50円前後から111円前後までのレンジ内での騰落が続いているので方向感に欠けるが、50ポイント以下での推移中は下向きとし、25日夜安値割れからは30ポイント割れを目指すとみる。60ポイント前後は戻り売りにつかまりやすいところとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、110.25円から110.00円までを下値支持帯、28日夜高値110.97円を上値抵抗線とする。
(2)110.80円以下での推移中は下向きとし、25日夜安値110.47円割れからは110円台序盤(110.25円から110.00円)を試すとみる。110円前後は反発注意とするが、110.70円以下での推移なら30日も安値試しへ向かいやすいとみる。また下げ足が速まる場合は6月21日安値109.70円試しへ向かう可能性もあると注意する。
(3)110.80円から111円手前は戻り売りにつかまりやすいとみてその後に110.50円割れするところからは下げ再開とするが、28日夜高値超えからは24日高値111.11円試し、さらに超えれば111.30円前後を目指す上昇を想定する。また28日夜高値を超えた後も110.80円以上での推移なら30日も高値試しへ向かう可能性があるとみる。

【当面の主な予定】

6/29(火)
G20外相会合
ブリュッセル・エコノミック・フォーラム、メルケル独首相、ラガルドECB総裁等参加
OPECプラス共同技術委員会
17:30 (英) 5月 消費者信用残高 (4月 -4億ポンド、予想 2.4億ポンド)
17:30 (英) 5月 マネーサプライM4 前月比 (4月 0.1%)
17:30 (英) 5月 マネーサプライM4 前年同月比 (4月 9.1%)
18:00 (欧) 6月 消費者信頼感・確定値 (速報 -3.3)
18:00 (欧) 6月 経済信頼感 (5月 114.5、予想 116.5)
21:00 (独) 6月 消費者物価指数速報値 前月比 (5月 0.5%、予想 0.4%)
21:00 (独) 6月 消費者物価指数速報値 前年同月比 (5月 2.5%、予想 2.3%)

22:00 (米) 4月 米連邦住宅金融局(FHFA) 住宅価格指数 前月比 (3月 1.4%、予想 1.6%)
22:00 (米) 4月 ケース・シラー米住宅価格指数 前年同月比 (3月 13.3%、予想 14.5%)
22:00 (米) バーキン・リッチモンド連銀総裁、討論会参加
23:00 (米) 6月 コンファレンス・ボード消費者信頼感指数 (5月 117.2、予想 119.0)
24:45 (欧) ヴィルロワ・ド・ガロー仏中銀総裁、講演
25:00 (英) ハウザーハウザー英中銀理事、講演
25:00 (独) バイトマン独連銀総裁、講演

6/30(水)
08:50 (日) 5月 鉱工業生産速報値 前月比 (4月 2.9%、予想 -2.0%)
08:50 (日) 5月 鉱工業生産速報値 前年同月比 (4月 15.8%、予想 27.0%)
10:00 (中) 6月 製造業PMI (5月 51.0、予想 50.8)
10:30 (豪) 5月 民間部門信用残 前月比 (4月 0.2%)
14:00 (日) 5月 新設住宅着工戸数 前年同月比 (4月 7.1%、予想 8.4%)
14:00 (日) 6月 消費者態度指数・一般世帯 (5月 34.1、予想 35.5)
15:00 (英) 1-3月期 GDP改定値 前期比 (速報 -1.5%、予想 -1.5%)
15:00 (英) 1-3月期 GDP改定値 前年同期比 (速報 -6.1%、予想 -6.1%)
15:00 (英) 1-3月期 経常収支 (10-12月 -263億ポンド、予想 -145億ポンド)

16:55 (独) 6月 失業者数 前月比 (5月 -1.50万人、予想 -2.00万人)
16:55 (独) 6月 失業率 (5月 6.0%、予想 5.9%)
18:00 (欧) 6月 消費者物価指数速報値 前年同月比 (5月 2.0%、予想 1.9%)
18:00 (欧) 6月 消費者物価コア指数速報値 前年同月比 (5月 1.0%、予想 0.9%)
20:00 (英) ホールデン英中銀委員、金融政策について講演
21:15 (米) 6月 ADP非農業部門民間就業者数 前月比 (5月 97.8万人、予想 55.0万人)
22:45 (米) 6月 シカゴ購買部協会景況指数 (5月 75.2、予想 70.0)
23:00 (米) 5月 住宅販売保留指数 前月比 (4月 -4.4%)
23:00 (米) 5月 住宅販売保留指数 前年同月比 (4月 53.5%)
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計


※ポイント要約は編集部

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