『ショートカバー主導で急上昇。トルコ中銀会合がメインイベント』
〇トルコ円週明け12.59まで下落するも6/4安値12.58を前に下げ渋ると週末にかけ13.21まで急伸
〇6/14の米土首脳会談による関係改善期待、フィッチの第4四半期利下げ見通し等が支援
〇トルコ円今週末にかけての急伸でテクニカルには短期的上昇リスク警戒される一方で続伸余地は乏しいか
〇ファンダメンタルズも下落材料残る
〇トルコリラ円相場の下落をメインシナリオとして予想
〇6/14の米土首脳会談、6/17のトルコ中銀金融政策決定会合に注目
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):12.75ー13.25
今週のレビュー(6/7−6/11)
今週のトルコリラ円(TRYJPY)相場は、週初12.63円で寄り付いた後、早々に週間安値12.59円まで下落しました。しかし、先週末金曜日(6/4)に記録した安値12.58円をバックに下げ渋ると、@バイデン米大統領とトルコのエルドアン大統領が6/14に会談することが報じられたこと(両国関係の改善期待)や、A米格付け大手フィッチ・レーティングスによる「トルコの利下げは第4四半期」との見通し発表、Bトルコ中銀によるインフレ予測発表(引き続き高インフレが継続するとの見解示唆)、C上記ABを背景とした早期利下げ観測の後退(ショートカバー誘発→エルドアン大統領による利下げ要求発言に端を発した急落分の全値戻し)が支援材料となり、週末にかけて、5/10以来、約1ヵ月ぶり高値となる13.21円まで急伸しました。引けにかけて反落するも下値は堅く、結局13.07円前後での越週となっております。
来週の見通し(6/14−6/18)
トルコリラの対円相場は、6/2に記録した約7ヵ月ぶり安値12.45円をボトムに反発に転じると、今週末にかけて、一時13.21円まで急伸しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドを上抜けするなど、短期的な上昇リスクが警戒されます。但し、上方には一目均衡表雲下限や、200日移動平均線、90日移動平均線といった強力なレジスタンスポイントが控えている為、余程強いトルコリラ買い材料が出てこない限り、ここからの続伸余地は乏しいと判断できます(事実、週末は一目均衡表雲下限に続伸を阻まれる形でやや長めの上髭が出現)。来週はショートカバー一巡後の反落リスクに警戒が必要でしょう。
ファンダメンタルズ的に見ても、@トルコ経済の先行き不透明感(今週発表されたトルコ4月失業率やトルコ4月鉱工業生産は共に冴えない結果)や、Aトルコ中銀による利下げ観測(市場参加者の大方の見方は来週6/17の会合は政策金利据え置き。第4四半期に利下げ実施。但し、他国がテーパリングに向けて前進しつつある中、トルコとの金融政策格差は顕著。潜在的なトルコリラ売り材料として要警戒)、B国内から国外への資本流出圧力(中銀の独立性に対する不信感)など、トルコリラ円相場の下落を意識させる材料が残っています。
以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は、6/14の米土首脳会談、6/17のトルコ中銀金融政策決定会合に注目が集まります。前者で米土関係の決裂(溝が埋まらない状態)が見られた場合や、後者で利下げに向けた地均しが見られた場合には、トルコリラが一転して今週の上げ幅を吐き出す恐れもあるため、来週は特にダウンサイドリスクに注意が必要でしょう。
来週の予想レンジ(TRYJPY):12.75ー13.25
トルコ円日足
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