ユーロは底堅い流れだが上値も限定的(週報5月第4週)

先週のユーロは、週前半は欧州の経済正常化期待とそれによるテーパリング思惑を背景としたユーロ買いが先行しました。

ユーロは底堅い流れだが上値も限定的(週報5月第4週)

ユーロは底堅い流れだが上値も限定的

〇先週のユーロ、週前半は欧州の経済正常化期待とテーパリング思考を背景としたユーロ買いが先行
〇対ドルだけではなく対円でも買いが進みユーロ円は2018年2月以来の高値に
〇ビットコイン急落でユーロに売りが入るも、下がった段階での買いも根強く、上下ともにオーダーの存在
〇ECBのテーパリング思惑などが今週の材料になるが目新しさはなく、新規の材料待ち
〇今週は1.2130レベルをサポートに5月高値1.2245レベルをレジスタンスとする流れとみる

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロは、週前半は欧州の経済正常化期待とそれによるテーパリング思惑を背景としたユーロ買いが先行しました。ユーロは対ドルだけでなく対円でも買いが進み、ユーロ円は2018年2月以来の高値を見せましたが、水曜のビットコイン急落によるリスクオフの動きからユーロ円にも売りが入り、ユーロドルも火曜の東京市場の水準へと押しました。

しかし下がったところでのユーロ買いも根強く改めて上昇したものの週間高値となっていた1.22台半ばではユーロ売りも出て、上下ともにオーダーの存在を感じさせての週末クローズとなりました。材料的にはECBのテーパリング思惑とビットコイン急落によるリスクオフ懸念が大きな材料となっていましたが、火曜以降は似たようなレンジで上下を繰り返すのみで方向性が出るには至っていません。

ECBのテーパリングについては、4月からの緊急プログラムによる債券購入が始まった直後からワクチン接種の進展とともに経済が正常化し、そうなればテーパリングの流れというECB関係者の発言が常に市場参加者の頭にあり、ワクチン接種回数の増加がユーロを底堅くするという流れが続いてきました。目新しい材料も無いため、どうしても金融政策に目が向きやすいのですが、それでも2月高値をわずかに上抜けただけで後が続きません。

今週も経済指標はあまり影響のあるものは見当たりませんし、要人発言もサプライズがあるとは思えず、引き続き直近の高値圏でECBのテーパリング思惑、あるいは仮想通貨(暗号資産)市場の動きとそれに影響を受けやすいユーロ円の動向といったところが材料となってきます。ただ、使い古された材料という感じもあり、現状では次の新たな材料が出てくるのを待っているというのが正解でしょうか。

テクニカルに見ていきます。

今週の週間見通しと予想レンジ

先週は2月高値を一時的とはいえ上抜けましたので、年初来高値から年初来安値への下げに対して、ピンクの平行線で示した上昇チャンネルの中で全戻しをターゲットに上昇中という見方は続きそうです。そして直近では上値側が若干減速して内側のラインとサポートラインとで構成される上昇ウェッジになってきています。

今週もこの上昇ウェッジの中での動きを継続すると考えることが妥当でしょうから、1.2130レベルをサポートに5月高値1.2245レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。

今週のコラム

今週はポンド円の週足チャートを見てみましょう。

今週のコラム

ユーロ円は2018年2月以来の高値となりましたが、ポンド円も年初来高値を更新し同じく2018年2月以来の高値を更新しました。

現在、ユーロ円、ポンド円、豪ドル円、カナダ円とユーロ円とコモンウェルス(英連邦)のクロス円が強い流れが続いています。そして、軒並み2018年1・2月以来の高値となっているだけでなく、2018年高値を上抜けると一段高となりそうなチャートばかりです。

長期的にこうしたクロス円はかなり微妙な水準に到達しているため、いったんは売買の攻防も見られそうですが、テクニカルには2018年高値を一度は試すだろうというのが大方の見方となっています。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。

5月24日(月)
**:** フランクフルト市場休場
23:30 英中銀総裁講演

5月25日(火)
15:00 ドイツ1〜3月期GDP改定値
17:00 ドイツ5月ifo企業景況感
22:00 フランス中銀総裁講演

5月26日(水)
15:45 フランス5月消費者信頼感

5月27日(木)
15:00 ドイツ6月GFK消費者信頼感

5月28日(金)
15:00 ドイツ4月輸入物価
15:45 フランス1〜3月期GDP改定値
15:45 フランス5月CPI速報値
15:45 フランス4月PPI
18:00 ユーロ圏5月消費者信頼感
**:** G7

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

5月17日(月)
ユーロドルは東京市場では動かず欧州市場ではテーパリング思惑でユーロ買いが強まったものの高値は1.2169レベルまで。NY朝方にいったん押しは入ったものの引けにかけては改めてユーロ買いが入る流れとなりましたが、値幅は狭く取引も鈍いままでした。

5月18日(火)
ユーロドルは世界的な経済活動正常化への期待は欧州でも広がり、4月から加速していた債券の購入ペースを早期に減速させるという思惑が根強く、前日からのテーパリング思惑も継続しました。ユーロドルは前週高値を上抜けるとテクニカルな買いも加わってNY朝方には1.2234レベルの高値をつけました。ユーロ円も133.19レベルまで上昇し、2018年2月以来の高値をつけました。

5月19日(水)
ユーロドルは東京市場ではユーロ円の買いによる上昇、欧州市場ではドル買いによる下げとなりました。ビットコイン急落に端を発するNY市場でのリスクオフによるドル売りの動きへの反応も限定的で、その後のFOMC議事録によるドル買いの動きで1.2160レベルまで押して安値圏での引けとなりました。

5月20日(木)
ユーロドルはドル安の流れの中でユーロ買いが進行、ワクチン接種進行の差によるユーロ円買いの動きは見られず、ドル安によるユーロの買い戻しを要因に動いていました。NY引け間際には1.2229レベルの高値をつけましたが前日高値はトライしきれずの引けとなりました。

5月21日(金)
ユーロドルは東京市場では底堅い動きとなり1.2240レベルの高値を付けましたが週間高値は超えられず。その後の海外市場ではユーロが対ドル、対円で弱い流れへと転じ、ユーロドルはNY昼過ぎに1.2161レベルの安値をつけました。しかし水曜安値を試せなかったことから引けにかけてはやや戻しての引けとなりました。

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