ユーロは底堅い流れを継続(週報5月第3週)

先週のユーロは、週前半はドル売りが先行する動きの中でユーロは高値圏でのもみあいを続けましたが、1.21台後半ではユーロ売りオーダーも出て来て伸び悩み。

ユーロは底堅い流れを継続(週報5月第3週)

ユーロは底堅い流れを継続

〇先週のユーロ、週前半は高値圏でのもみ合いを続けるも1.21台後半で伸び悩み米国CPI後に反落
〇後半はダイヤモンドボトムを形成し買い戻されての引けに
〇欧州でワクチン接種が進む、米欧日の接種回数がそのまま市場への強弱に影響
〇今週の材料としてECB総裁の講演あり、テーパリングに触れるならユーロ買いの流れの可能性
〇経済指標は週末に製造業・サービス業PMIの発表あり、ユーロ買いに動く材料へ反応しやすいか
〇今週は1.2050レベルをサポートに1.2200レベルをレジスタンスとする週と見る

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロは、週前半はドル売りが先行する動きの中でユーロは高値圏でのもみあいを続けましたが、1.21台後半ではユーロ売りオーダーも出て来て伸び悩み。水曜の米国CPI後のドル買いの動きで反落したものの、週後半はザラバのテクニカルで反転パターン(ダイヤモンドボトム)を形成したことも重なって買い戻されての引けとなりました。

先週は米国材料でドルの動きが与えた影響が大きかったのですが、欧州でもワクチン接種が着実に進み、最も進んでいるドイツでは100人あたり47人にまで数字が延びてきました。他のユーロ圏も軒並み35人〜45人と40人前後で推移して日本の4.4回と比べると10倍ほどの展開となっています。ちなみに英国が82回、米国が81回となっていて、英国と米国が強く、欧州が中間、日本は弱いと考えると、それがそのまま株式市場や為替市場での強弱に影響を与えていると言えます。

日本でも高齢者向けの予約が本日から始まり7月末を目途に終了、8月以降に一般接種という流れになるようですが、これまでの動きを見ていると遅れることはあっても、早まることは無さそうですし、しかも感染者数が多い世代が夏以降ということになると、欧州と日本との差は当面は広がる方向でしょう。今週は欧州材料としてはラガルドECB総裁の講演がありますが、改めてテーパリングに触れてくるとユーロ買いの流れになりそうです。

経済指標は金曜の製造業・サービス業のPMI速報値程度ですから、まずはECB総裁の発言、そして週末前のPMIという展開です。いずれにしても現状ではユーロ買い方向にバイアスがかかりやすいため、早期テーパリング発言や強いPMIなどユーロ買いに動く材料により反応しやすいという見方をしています。

テクニカルには日足チャートを見ていきましょう。

今週の週間見通しと予想レンジ

3月末までのドル高(ユーロ安)の動きに対して4月以降のドル安(ユーロ高)の動きはほぼ左右対称の値動きとなっています。すると大きくは2月高値.2242レベルをターゲットとしやすいのですが、先週も書いた通りでまずは3月安値からの上昇N波動を考え、50%エクスパンション1.2208をターゲットとしていると見てよいでしょう。

いっぽうで下値は先週の安値でいったん下を見たと考えられますので、今週も先週と同じく1.2050レベルをサポートに1.2200レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。

今週のコラム

今週はユーロ円の週足チャートを見てみましょう。

先週指摘した2018年高値と2020年安値の78.6%(61.8%の平方根)戻し132.55(赤の水平線)をトライする流れとなりました。日足チャートでは上昇チャンネルの上限に接してきましたが週足チャートで見ると更に大きな上昇ウェッジの中での動きであることがわかります。

今週のコラム

テクニカルなターゲット達成でいったんは調整局面に入る可能性もありますが、欧州と日本とのワクチン接種の差の拡大がユーロ円の一段高の材料であることがしばらくは続きやすいでしょう。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。

5月17日(月)
08:01 英国5月住宅価格

5月18日(火)
15:00 英国4月失業率
17:00 フランス中銀総裁講演
18:00 ユーロ圏1〜3月期GDP改定値
18:00 ユーロ圏3月貿易収支

5月19日(水)
15:00 英国4月CPI・PPI
18:00 ユーロ圏4月CPI

5月20日(木)
15:00 ドイツ4月PPI
18:00 ユーロ圏3月建設支出
20:50 ラガルドECB総裁講演

5月21日(金)
08:01 英国5月消費者信頼感
15:00 英国4月小売売上高
16:15 フランス5月製造業・サービス業PMI速報値
16:30 ドイツ5月製造業・サービス業PMI速報値
17:00 ユーロ圏5月製造業・サービス業PMI速報値
17:30 英国5月製造業・サービス業PMI速報値
20:00 ラガルドECB総裁講演
23:00 ユーロ圏5月消費者信頼感速報値

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

5月10日(月)
ユーロドルはドル円とともにドル買い・ユーロ売りの動きが先行し欧州市場序盤に1.2137レベルの安値をつけたものの買い戻される流れに転じました。その後NY市場後場までは動きが見られませんでしたが、ユーロポンドの売りに押され1.2128レベルまで一段安となり安値引けとなりました。

5月11日(火)
ユーロドルは東京市場では動かず、海外市場に移ってからはドル円同様にドル売りの動きとなったことからNY市場朝方には1.2182レベルの高値をつけ金曜雇用統計後の高値を更新しました。引けにかけてはドル買い戻しの動きとともに欧州市場朝方の水準に押して引けました。

5月12日(水)
ユーロドルはNY市場まではユーロ売り後のユーロ買い戻しとドルの動きとしてドル円と歩調を揃えていまし。予想を大きく上回るCPI発表直後にはドル買い・ユーロ売りとなったものの、その後切り返し東京朝方の高値を超えさらにCPI直後の安値を下抜けと乱高下の展開となりました。引けにかけてはユーロ売り(ドル買い)が目立ち、1.2066レベルをつけての安値引けとなりました。

5月13日(木)
ユーロドルは方向感がはっきりせず、1.2080レベルをもみあいの中心とした横方向の動きが続きました。欧州市場序盤には一時的に上下に振れる動きも見られましたが後は続かず、NYの引けまでもみあいを続けました。チャート的にはダイヤ型のもみあいパターンとなり、反転パターンと見るとユードルはユーロ買い・ドル売りに動きが出やすい引けとなりました。

5月14日(金)
ユーロドルは東京市場では動きが鈍かったものの米金利が低下する中、前日のチャートパターンも手伝って欧州市場に入るとユーロ高へと方向を定めました。NY市場では弱い経済指標も重なりドル売りユーロ高の流れが続き、ユーロドルは1.2148レベル、ユーロ円も132.85レベルの高値をつけ、それぞれ高値圏での引けとなりました。

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