トルコリラ円見通し 13.10円台中心の小康状態続く(21/5/11)

トルコリラ円の5月10日は13.22円から13.10円の取引レンジ。

トルコリラ円見通し 13.10円台中心の小康状態続く(21/5/11)

トルコリラ円見通し 13.10円台中心の小康状態続く

〇トルコリラ円、5/10は13.22から13.10の取引レンジ、5/7から高安レンジをさらに縮小した小動き
〇昨日3月のトルコ失業率の発表、やや改善したものの市場の反応は限定的
〇5/10夜にかけてクロス円の高値更新が続いたが、トルコリラ円はその動きになびかず
〇トルコ中銀の先行きの利下げ姿勢見込みがリラ買いを抑制か
〇13.15以下での推移中は一段安余地ありとし、13.05割れからは13.00前後への下落を想定する
〇13.15超えからは13.20試しとみる

【概況】

トルコリラ円の5月10日は13.22円から13.10円の取引レンジ。先週末の5月7日が13.24円から13.08円のレンジだったため、7日から高安レンジをさらに縮小した小動きとなっている。
4月26日に12.67円まで下落して3月22日の中銀総裁更迭による暴落後の安値を更新したところから4月29日高値13.38円までいったん戻したものの、その後は5月5日安値13.03円まで失速してから小動きを続けている。3月30日に13.01円まで急落したところから4月2日に13.84円までいったん戻してから失速して小動きを続けたときに近い動きだが、その時よりもボラティリティがやや低下した状況だ。
5月10日には3月のトルコ失業率の発表があり、2月の13.2%(13.4%から改定)から13.1%へと改善したが、市場の反応は限定的だった。

為替市場は5月7日の米雇用統計がさえなかったことで米連銀の量的緩和縮小開始が先送りされるとしてドル全面安となり、10日夜にかけてはドル安が進行、クロス円においてもユーロ円、ポンド円、豪ドル円、南アランド円等が昨年のコロナショック以降の最高値を更新したが、トルコリラ円はそれらの動きになびかなかった。やはり金融政策への不信感を抱えたままの状況であり、先週の物価上昇率及び中銀による政策金利現状維持決定を通過してもなお楽観的なリラ買い意欲の回復には至っていない印象だ。

【先行きの利下げ姿勢がリラ買いを抑制】

5月6日にトルコ中銀は政策金利を2会合連続で据え置いた。カブジュオール新総裁に交代してからは利下げを回避しており、6日の声明でも物価上昇率を下回るような利下げは行わないとして市場の信頼回復に努めているが、エルドアン大統領と同様の利下げによる物価安定を唱える人物とされ、アーバル前総裁による積極的な利上げを嫌って更迭したことを踏まえれば、物価上昇率が落ち着けばいずれ利下げに踏み切るだろうと市場は見ている。

5月10日のロイター報道では、三菱UFJフィナンシャル・グループが公表したトルコの金融緩和開始時期の予想が従来の第2四半期から第3四半期(7-9月期)に先延ばしされたとされる。トルコ中銀は4月を物価上昇率のピークとしており、4月の消費者物価上昇率は17.14%で3月の16.19%から加速したところでそろそろピークに近いという認識を持っており、5月の消費者物価の伸びが鈍化してくれば利下げへの衝動に駆られる可能性があり、市場もそのあたりを意識して先行きの利下げを織り込んでリラ売りへ向かう事も考えられる。逆に5月も物価上昇率の伸びが加速すれば利下げ時期がさらに先送りされるとしても、いずれは利下げをしたいとの中銀スタンスは変わらないとして積極的なリラ買いには向かい難いと思われる。
国際資源市況の上昇、穀物相場や植物油相場の大上昇は続いており、10日にはLME銅相場の最高値更新、トルコ向けの鉄スクラップ相場の急騰等が伝えられており、トルコにとっては物価上昇を抑え込むのは難しい状況と思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、小動きが続いているものの5月5日夜安値で直近のサイクルボトムを付けて上昇期に入っていたが、10日夕高値からはジリ安の推移となっているため、10日夕高値を直近のサイクルトップとして弱気サイクル入りしていると思われる。安値形成期は10日夜から12日夜にかけての間と想定されるので既に反騰注意期にあるが、11日夜から12日にかけてはまだ一段安余地が残るところとみる。13.10円台を中心とした持ち合いのため、中間点の13.15円を超えるところからは強気転換注意とし、13.20円超えからは次の強気サイクル入りとして13日から17日にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では5月10日夜の下落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落し始めているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とするが、先行スパンを上抜き返すところからは上昇再開の可能性ありとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は30ポイント台までいったん低下したところからやや戻し気味だが50ポイント以下での推移中は一段安警戒とし、50ポイント超えからは上昇再開の可能性ありとみて60ポイント台への上昇を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、13.05円を下値支持線、13.20円を上値抵抗線とする。
(2)13.15円以下での推移中は一段安余地ありとし、13.05円割れからは13.00円前後への下落を想定する。13.00円以下は反騰注意とするが、15.15円以下での推移なら12日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)13.15円超えからは13.20円試しとみる。13.20円前後は戻り売りにつかまりやすいとみるが、13.15円以上を維持しての推移なら12日は高値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

5月11日
 16:00 3月 鉱工業生産 前月比 (2月 0.1%)
 16:00 3月 鉱工業生産 前年同月比 (2月 8.8%)
 16:00 3月 小売売上高 前月比 (2月 3.4%)
 16:00 3月 小売売上高 前年同月比 (2月 4.6%)
 16:00 3月 経常収支 (2月 -26.1億ドル)
 20:00 トルコ中銀金融政策決定会合議事要旨
5月17日
 17:00 4月 財政収支 (3月 238億リラ)
5月20日
 20:30 週次 外貨準備高 5/7時点 (前週 469.2億ドル)


注:ポイント要約は編集部

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