トルコリラ円見通し トルコ中銀は政策金利据え置き、市場反応は限定的(21/5/7)

トルコリラ円も5月5日夜安値で13.03円まで下げたところからのややジリ高での持ち直しを続けており、7日午前は13.15円近辺での推移で確りしている。

トルコリラ円見通し トルコ中銀は政策金利据え置き、市場反応は限定的(21/5/7)

トルコリラ円見通し トルコ中銀は政策金利据え置き、市場反応は限定的

〇トルコリラ円、5/5夜安値13.03まで下げてからジリ高推移、5/7午前は13.15近辺で確り
〇昨日のトルコ中銀金融政策決定会合、政策金利は19.00%に据え置き、サプライズなく市場の反応限定的
〇対ドル、為替市場全般が株高ドル安で推移、5/7朝には8.23リラまで上昇
〇2会合連続での金利据え置き、インフレ率が低下し始めればインフレ率を上回る範囲で利下げの可能性も
〇13.10以上での推移中は上昇余地ありとして13.23試しを想定、13.20以上は反落注意とする
〇13.10割れから続落の場合は下げ再開を警戒して13.03試しとする

【概況】

トルコ中銀が5月6日夜の金融政策決定会合で政策金利を現状維持としたが、市場の予想通りで声明などにもサプライズ感はなく、トルコリラ円は大きな反応を見せなかった。しかし、為替市場全般が株高ドル安で推移したことで対ドルでトルコリラが上昇したためにトルコリラ円も5月5日夜安値で13.03円まで下げたところからのややジリ高での持ち直しを続けており、7日午前は13.15円近辺での推移で確りしている。

ドル/トルコリラは5月5日夕刻に8.37リラへ下落したところからはジリ高で持ち直しを続けており、20時の中銀金融政策発表後の反応も限定的なものにとどまり、7日朝には8.23リラまで上昇、7日午前は8.27リラ近辺での推移となっている。
5月6日はNYダウが前日比318.19ドル高と上昇して取引時間中及び終値ベースでの史上最高値を2日連続で更新したが、米長期債利回りが小動きにとどまったことで株高=リスク選好での投機通貨買いという動きとなり、メジャー通貨ではユーロドルが反騰、豪ドルやNZドルが4月4日深夜安値からの上昇を継続、新興国通貨でも南アランドが5月4日夜からの上昇を継続、メキシコペソも深夜から上昇するなど総じてドル安となった。このためドル/トルコリラも全般的なドル安に支えられた格好で中銀の金融政策発表を通過してドル安リラ高基調での推移となった。

【トルコ中銀、2会合連続で金利据え置き】

トルコ中銀行は6日の金融政策決定会合で市場予想通りに主要政策金利を19.00%に据え置いた。据え置きは3月19日に就任したカジュブオール総裁下で2会合連続。
トルコ中銀は声明において「政策金利はインフレ率を上回る水準に設定され続ける」としてインフレが進行する中では利下げをしない姿勢を改めて強調したが、アーバル前総裁が3会合連続で利上げを行ってきた際に声明に記載していた「必要に応じて追加利上げの準備がある」との文言を削除した状況は変わらない。カブジュオール中銀総裁は4月29日に「インフレは4月がピークになる」と述べており、インフレ率が低下し始めた段階ではインフレ率を上回る範囲で利下げに踏み切る可能性も考えられる。

トルコリラ円見通し トルコ中銀は政策金利据え置き、市場反応は限定的

5月3日に発表された4月の消費者物価上昇率は年率で17.14%だった。仮に5月の消費者物価上昇率が低下すれば現行の政策金利19.00%からの利下げ余地も出てくることになるが、逆に中銀の思惑を超えてインフレ率がさらに加速する場合は追加利上げを強いられることにもなりかねない。トルコの国内鉱工業生産等は堅調な回復を見せているが、観光収入は激減したままであり、世界の感染拡大が第二波に入り、トルコ自身も第三波に見舞われている現状を踏まえると、景気回復期待の頭打ちと、感染拡大抑制に成功しているエリアでの景気回復感とのギャップによりリラ安と物価上昇がスパイラルに継続することも考えられる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、4月30日深夜安値でいったんサイクルボトムを付け、5月3日夕刻へ戻したところでサイクルトップを付けて再び下落期に入っていたが、5日夜へ安値を切り下げたところからは持ち直しを続けているので、5日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとする。前回のサイクルトップが3日夕と4日午後の両高値によるダブルトップだったため、今回のトップ形成期は4日午後高値を起点として7日午後から11日午後にかけての間と想定する。13.10円割れから続落に入る場合は弱気転換注意とし、5日夜安値を割り込むところからは新たな弱気サイクル入りとして10日夜から12日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では5月7日午前への上昇で遅行スパンが好転、先行スパンも上抜いている。このため先行スパンを上抜いた状況を維持するうちは一段高余地ありとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパンから再び転落する場合は下げ再開を警戒して遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は4日夜から5日夕にかけての安値更新に際し指数のボトムがほぼフラットとなる強気逆行を見せたが、その後の上昇継続により60ポイント近辺へ戻しているので、50ポイント以上での推移中は上昇余地ありとして70ポイント台乗せへ向かう可能性があるとみるが、50ポイント割れから続落に入る場合は下げ再開を警戒し、40ポイント割れからは30ポイント割れを目指す下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、13.10円を下値支持線、5月3日夕高値13.23円を上値抵抗線とする。
(2)13.10円以上での推移中は上昇余地ありとして3日夕高値試しを想定する。13.20円以上は反落注意とするが、13.12円以上での推移なら週明けも高値試しを続けやすいとみる。
(3)13.10円割れから続落の場合は下げ再開を警戒して5日夜安値13.03円試しとし、安値更新からは12.95円前後への下落を想定する。12.95円以下は反騰注意とするが、13.10円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

5月10日
 16:00 3月失業率 (2月 13.4%)
5月11日
 16:00 3月 鉱工業生産 前月比 (2月 0.1%)
 16:00 3月 鉱工業生産 前年同月比 (2月 8.8%)
 16:00 3月 小売売上高 前月比 (2月 3.4%)
 16:00 3月 小売売上高 前年同月比 (2月 4.6%)
 16:00 3月 経常収支 (2月 -26.1億ドル)
 20:00 トルコ中銀金融政策決定会合議事要旨
5月17日
 17:00 4月 財政収支 (3月 238億リラ)



注:ポイント要約は編集部

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