ドル円、ドル高トレンドへ回帰、押し目買いが入りやすい(週報5月第1週)

先週のドル円は前週金曜NY市場でつけた107.48レベルで目先の安値をつけた動きとなり、上下を挟みながらも一貫してドル買い戻しの週となりました。

ドル円、ドル高トレンドへ回帰、押し目買いが入りやすい(週報5月第1週)

ドル円、ドル高トレンドへ回帰、押し目買いが入りやすい

〇先週のドル円、東京GW前の実需のドル買いやFOMC影響で一貫してドル買い戻しの週に
〇ドルは2度目の109円台乗せで底堅さを確実にし4/13以来のドル高円安水準で一週間を終える
〇クロス円は全般に円売りの動き、米国や欧州と比べワクチン接種の遅れが明確といった側面も
〇今週は水曜まで東京と中国市場が休場、月曜がメーデーの振替休日で休みとなる国も
〇今週は細かい上下はあるが先週の流れを受けドル高方向の材料に反応しやすい週
〇今週は108.50レベルをサポートに、110.00レベルをレジスタンスとする流れ

今週の週間見通し

先週のドル円は前週金曜NY市場でつけた107.48レベルで目先の安値をつけた動きとなり、上下を挟みながらも一貫してドル買い戻しの週となりました。東京がゴールデンウィークで休みとなる前の実需のドル買いも見られましたが、FOMCにおいてテーパリング議論があるのではないかといった思惑も緩和縮小、ドル買いという連想になっていたかと思います。

FOMCではテーパリング議論は時期尚早と現在の超緩和状態を継続することを明確にしましたが、FOMC後のドル売りの動きは長続きせず、絶好の押し目を挟んだ形となって週末に向けてドルは2度目の109円台乗せで底堅さを確実にし、4月13日以来のドル高円安水準で一週間を終わりました。

この一週間はドルも強い動きではあったものの、円安でもありクロス円は全般に円売りの動きが目立ちました。米国や欧州におけるワクチン接種進展に比べて日本の遅れが明確なことによる円売りという側面もあったようです。これまでの動きからすると株安となり、為替は円高という展開が多かったのですが、株式市場が若干上値が重たい程度で横方向のもみあいとなっていたことから、ドルやユーロを買って円を売るというシンプルな動きとなっていたと言えるでしょう。

テクニカルにも3月末に長期レジスタンスを上抜けドル高へと長期的に転換したと思わせた直後から4月は最終週直前まで一貫したドル売りとなっていましたが、その動きも前週金曜に目先の安値を見たことから改めてドル高の動きに回帰したと考える参加者も増えてきた様子です。今週は水曜まで東京と中国市場が休場となり、また週明け月曜がメーデーの振替休日で休みとなる国もあることから、週前半は参加者が少ないことに注意が必要です。

そして月初の一週間ということで連日経済指標の発表も多く、金曜に米国雇用統計の発表もあります。細かい上下はありそうですが、先週の流れを受けてドル高方向の材料に反応しやすい週となりそうです。

テクニカルには日足チャートをご覧ください。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

4月に入ってからピンクの平行線で示した下降チャンネルの中での動きを続けていましたが、先週火曜に明確に上抜けてきたことで4月の下降トレンドが終わり、改めて上昇トレンドに回帰するかどうかを試す5月上旬という流れになってきました。

下降チャンネル上端を抜けたのが108円水準であることから通常であれば同水準をサポートと考えますが、既に距離があることから上抜けして以降の安値圏となっている108円台半ばがサポ―トとなりやすい水準です。いっぽうでレジスタンスは3月末高値と4月安値との61.8%戻しが109.62、78.6%(61.8%の平方根)戻しが110.21ですが、以前のサポートライン(赤)が今週は110円の大台手前に位置していることから110円の大台がレジスタンスという見方で良さそうです。

今週は108.50レベルをサポートに、110.00レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2021年FOMCメンバー(ニューヨーク、シカゴ、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。

5月3日(月)
**:** 東京、中国、LDN市場休場
15:00 ドイツ3月小売売上高
16:00 トルコ4月製造業PMI
16:00 トルコ4月CPI
16:50 フランス4月製造業PMI
16:55 ドイツ4月製造業PMI
17:00 ユーロ圏4月製造業PMI
22:45 米国4月製造業PMI
23:00 米国4月ISM製造業景況指数
23:00 米国3月建設支出

5月4日(火)
**:** 東京、中国市場休場
10:30 豪州3月貿易収支
10:45 中国4月MarkIt製造業PMI
17:00 フランス中銀総裁講演
17:30 英国4月製造業PMI
21:30 米国3月貿易収支
23:00 米国3月製造業新規受注

5月5日(水)
**:** 東京、中国市場休場
07:45 NZ1〜3月期失業率
10:30 豪州3月住宅建築許可件数
16:50 フランス4月サービス業PMI
16:55 ドイツ4月サービス業PMI
17:00 ユーロ圏4月サービス業PMI
18:00 ユーロ圏3月PPI

21:15 米国4月ADP全国雇用者数
22:30 シカゴ連銀総裁講演
22:45 米国4月サービス業PMI
23:00 レーンECB理事講演
23:00 米国4月ISM非製造業指数
23:30 週間原油在庫統計
25:00 (クリーブランド連銀総裁講演)
**:** 英中銀MPC(〜6日)

5月6日(木)
07:45 NZ3月住宅建築許可件数
08:50 日銀会合議事要旨公表
10:00 NZ5月企業信頼感
15:00 ドイツ3月製造業新規受注
17:30 英国4月サービス業PMI
18:00 ユーロ圏3月小売売上高
20:00 トルコ中銀政策金利発表
20:00 英中銀MPC結果発表

21:30 米国新規失業保険申請件数
21:30 米国1〜3月期単位労働コスト速報値
22:15 シュナーベルECB理事講演
23:00 (ダラス連銀総裁講演)
**:** スコットランド選挙

5月7日(金)
10:30 豪中銀四半期金融政策報告
10:45 中国4月Markitサービス業PMI
**:** 中国4月貿易収支
15:00 ドイツ3月貿易収支、鉱工業生産
15:45 フランス3月貿易収支、鉱工業生産
17:30 英国4月建設業PMI
19:00 ラガルドECB総裁講演
21:30 米国4月雇用統計
23:00 米国3月卸売売上高・在庫

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

4月26日(月)
週明けのドル円は東京市場では売りが先行したものの107円台半ばにはドル買いオーダーが残っていることもあって下げきれない展開が続きました。欧州市場序盤には107.64レベルの安値をつけていましたが、昼過ぎにそれまで下げていたユーロドルの動きとともにドル買いへと転じNY市場では108円台乗せ、108.20レベルをつけた後にやや押して引けました。

4月27日(火)
東京市場のドル円は多少の下押しを挟みながらも実需買いに支えられて底堅い値動きを続けました。海外市場に移ってからも高値安値ともに切り上げる展開となり、NY市場昼前には米金利が上昇する動きとともにドル買いとなり、108.77レベルまで上昇後、高値圏での引けとなりました。

4月28日(水)
FOMCを前にして積極的な取引は手控えられていたものの全般にドルが底堅い動きでNY市場に入りました。NY市場に入りイベント前のポジション調整からややドル売りが出ての発表待ち、FOMCでは景気回復を指摘しつつも現在の金融政策を維持しテーパリングを議論する時期ではないとしました。FOMC直後のドル買いは続かず、一転米金利低下、ドル売りの動きとなりドル円は108.58レベルとドル安値圏での引けとなりました。

4月29日(木)
東京市場が休場となった29日は朝方こそFOMC後のドル売りの流れを継続し、ドル円は108.43レベルの安値をつけましたがそこまで。米金利が上昇し金曜の水準を上抜ける動きとともにドル買い戻しが目立ち、NY市場前場には強い米国GDP速報値も手伝って109.22レベルの高値をつけました。引けにかけては米金利低下とともに欧州市場の水準へと戻して引けました。

4月30日(金)
月末のドル円は東京市場が3連休前ということもあってNY市場まで108.90前後の狭い値幅での取引が続きました。NY市場に入り発表された経済指標が予想よりも強かったことをきっかけにドルが上昇、ドル円は109.37レベルまで上昇し高値圏での引けとなりました。

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