トルコリラ円見通し 3月11日高値へ迫る、トルコ中銀の利上げ観測が下支え(21/3/17)

トルコリラ円は3月16日夜に対ドルでトルコリラが上昇した局面で14.60円へ上昇したが、3月11日夕高値14.61円には一歩届かなかった。

トルコリラ円見通し 3月11日高値へ迫る、トルコ中銀の利上げ観測が下支え(21/3/17)

3月11日高値へ迫る、トルコ中銀の利上げ観測が下支え

〇トルコリラ円、16日夜に14.60へ上昇、一旦14.43まで下げその後は15.50を挟んで持合い推移
〇対ドルでは16日夜に7.46リラへ上昇し15日夜高値を超えて上昇を継続
〇18日のトルコ中銀金融政策決定会合では市場予想が金利据え置きから追加利上げへ変わる
〇18日未明には米連銀FOMC声明発表と議長会見もありドル高感が強まるのかドル安へ傾斜するのか注目
〇トルコ、3月15日時点での新型コロナウイルス新規感染者は1万5503人となり年初来で最多に
〇14.40以上で推移中は上昇余地あり、14.61超えから14.70前後への上昇を想定
〇14.40割れからは14.20台後半への下落を想定

【概況】

トルコリラ円は3月16日夜に対ドルでトルコリラが上昇した局面で14.60円へ上昇したが、3月11日夕高値14.61円には一歩届かなかった。いったん14.43円まで下げたところは押し目買いされて持ち直し、その後は14.50円を挟んでややジリ高気味の持ち合い推移となっている。
3月8日深夜安値13.97円から3月11日夕高値14.61円まで戻したところから3月12日夜に14.28円まで反落したが、再び高値更新を伺うところまで戻しており、3月18日のトルコ中銀金融政策決定会合での利上げ観測が下支えとなっている印象だ。

対ドルでのトルコリラは3月16日夜に7.46リラへ上昇して15日夜高値7.48リラを超えた。その後は上げ渋っているものの3月15日夕安値7.61リラからの上昇を継続している。ただし3月11日夕高値7.42リラ超えには至っていない。

【中銀利上げ観測とトルコ10年債利回りの上昇】

米長期債利回りの上昇とそれに触発された主要国の長期債利回り上昇を反映し、またトルコ中銀の利上げ観測を背景としてトルコ10年債利回りが顕著に上昇してきた。3月12日に13.74%へ一段高となり、16日は13.85%まで水準を切り上げている。昨年11月には11.57%まで低下したところからの持ち直しであり、2月末までは13%台序盤が抵抗となっていたが3月5日から一段高に入っている。今のところは11月にトルコリラが史上最安値を更新した際につけた14.37%を超えていないものの、世界的な長期債利回り上昇による同調圧力と共にトルコ国内の物価上昇が続いていることを反映した動きだ。
トルコの消費者物価上昇率は2月に前年同月比で15.61%へ上昇、生産者物価は同27.09%へと上昇している。このためトルコ長期債利回りも物価上昇率を追いかける展開となっている印象だ。

3月18日のトルコ中銀の金融政策決定会合では、市場予想も3月序盤時点での主要政策金利据え置き見通しから追加利上げへと変わってきた。現時点での市場予想は現行の17.0%から18.0%への引き上げ予想が中心となっているが、アナリストの予想レンジは17%の据え置きから最も利上げ率の大きいもので20%への利上げ予想をするものもいる。

市場予想通りの利上げならトルコリラ円も2月16日と2月18日のダブルトップからの下落を3月5日安値で一巡として上昇再開へ向かう可能性も出てくるが、据え置きとなれば失望売りに崩れる可能性もあるところだ。
エルドアン大統領は低インフレ・低金利を主張してきたが、リラ暴落回避のために中銀総裁を昨年11月に更迭して新総裁下での利上げを容認してきた。しかしこれまでの利上げに対しても苦々しく思っているであろうと推察されるため、新総裁がどこまでインフレ抑制のための引き締め姿勢を示せるのかにより、市場のトルコリラへの信認が継続するのかも決まってくると思われる。
3月18日未明には米連銀のFOMC声明発表と議長会見もある。ドル高感が強まるのかドル安へ傾斜してゆくきっかけになるのか注目されるところだ。

【トルコの感染第三波】

トルコのエルドアン大統領は3月15日に新型コロナウイルス感染が再び増加している事に対して現時点で新たな規制は実施しないとした。3月15日時点での新規感染者は1万5503人となり年初来で最多となった。
トルコは3月1日から多くの県で規制緩和を始めており、2週間毎に規制措置緩和についての見直しを行うとしてきたが、2週を経過して感染増加が顕著となっているものの、入院患者数や集中治療室の使用率、重症者数は増加していないとして閣議で「現状の措置を継続して状況を注視する決定を下した」とした。
新型コロナウイルス感染増加ペースは世界全体で1月8日の84万人超をピークに急減して2月15日には27万人弱まで減ったが、その後は再び増加傾向にあり3月11日には48万人を超えた。トルコの累計感染者数は3月16日時点で1万6749人増の291万人で世界9位で、死者累計は2万9623人となっている。イタリアが三度目のロックダウンに入るなど、各地で第三波あるいは第四波の拡大傾向も見られ始めている。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、3月12日夕安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして高値形成期を16日午後から18日夕にかけての間へと想定した。16日夜高値から小反落したものの14.50円を挟んで確りしているためまだ上昇余地ありとするが14.40円を割り込む場合は弱気サイクル入りと仮定して17日夕から19日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では3月15日夜に遅行スパンが好転、先行スパンを上抜いたが、その後も両スパン揃っての好転を維持しているので、先行スパンからの転落回避中は遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパン転落からは下げ再開と仮定して遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は50ポイント以上での推移を維持しているのでまだ上昇余地ありとするが、50ポイント割れから続落に入る場合はいったん下げに入るとみて30ポイント前後への下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、14.40円を下値支持線、14.61円を上値抵抗線とする。
(2)14.40円以上での推移中は上昇余地ありとし、14.61円超えからは14.70円前後への上昇を想定する。14.70円以上は反落注意とするが、14.50円以上での推移なら18日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)14.40円割れからは14.20円台後半への下落を想定する。14.30円以下は反騰注意とするが、14.45円を下回る水準での推移なら18日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

3月18日
 19:30 2月 自動車生産台数 前年比 (1月 -3.3%、予想 4.5%)
 20:00 トルコ中銀 政策金利 週間レポレート (現行 17.0%、予想 18.0%)
 20:00 トルコ中銀 政策金利 翌日物貸出金利 (現行 18.5%)
 20:00 トルコ中銀 政策金利 翌日物借入金利 (現行 15.5%)
 20:00 トルコ中銀 政策金利 後期流動性貸出金利 (現行 21.5%)
 20:30 週次 外貨準備高 グロス 3/8時点(532.5億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 ネット 3/8時点(115.7億ドル)

3月22日
 17:00 2月 観光客数 前年比 (1月 -71.48%)
3月24日
 16:00 3月 消費者信頼感指数 (2月 84.5)
3月25日 トルコ中銀金融政策決定会合議事要旨公表
 20:30 週次外貨準備高
3月26日
 16:00 3月 製造業景況感 (2月 109.3、予想 107.0)7
 16:00 3月 設備稼働率 (2月 74.9%、予想 75.0%) 

注:ポイント要約は編集部

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