トルコリラ円見通し 2月26日以降の持ち合いから下放れ(21/3/9)

トルコリラ円は3月9日未明安値で13.97円まで急落した。

トルコリラ円見通し 2月26日以降の持ち合いから下放れ(21/3/9)

トルコリラ円見通し 2月26日以降の持ち合いから下放れ

〇トルコリラ円、3/9未明安値13.97まで急落、持ち合い下放れ
〇対ドル、3/9早朝7.77リラへ下落、当日高値から安値まで5%を超える急落
〇為替市場は全般的にドル高で推移、新興国通貨安目立つ
〇トルコの政府系ファンド・証取CEOら解任、リラ売り要因になった可能性も
〇14.20以下での推移中は一段安警戒、13.90円割れからは13.70台後半への下落を想定する
〇14.20超えから続伸の場合は反騰入りの可能性ありとみて、14.30台への上昇を想定する

【概況】

トルコリラ円は3月9日未明安値で13.97円まで急落した。ドル全面高で新興国通貨が総じて下落する中でトルコリラ円は2月26日安値で14.16円まで下げた後は14.20円を下値支持線として戻り高値が切り下がる三角持ち合いの様相となっていたが、3日夕刻からの下落で14.20円を割り込んで持ち合い下放れに入った。
対ドルでのトルコリラも夕刻に3月5日安値7.57リラを割り込んで一段安に入り9日早朝には7.77リラへと大幅下落した。当日高値から安値までは5%を超える急落ぶりとなった。

【新興国通貨安進む】

米長期債利回りの上昇基調が続く中で為替市場は全般的にドル高で推移しており、ドル円は109円台に到達して1月6日安値102.57円以降の最高値を更新した。ユーロドルは1.1843ドルまで下げて1月6日以降の安値を更新したが、2月5日安値から2月25日へいったん戻したところからの一段安であり、下落規模は昨年9月1日から11月4日にかけての調整安期のレベルを超えてきた。豪ドル米ドルは3月5日に0.7620ドルまで下落して2月25日高値0.8006ドルからの下落が二段下げに発展している。
総じてドル高感が強まる中で、新興国通貨安も目立っている。ブラジルレアルは3月8日の急落で10月30日安値を割り込み5月8日安値以来の水準まで下落した。インドネシアルピアやタイバーツも下落が顕著となっておりタイバーツは3月2日から5日続落で下げ足が早まっている。南アランドやメキシコペソも4日続落となり新興国・アジア通貨は総崩れとなり始めているようだ。

【トルコの証取CEOら解任】

こうした中でトルコリラも対ドル及び対円で下げ足が早まり始めたと思われるが、3月8日にはトルコの官報でトルコの政府系ファンドのトルコ・ウェルス・ファンド(TWF)の最高経営責任者(CEO)が揃って交代した。またイスタンブール証券取引所のアッティラCEOも8日に辞任した。金融関連の主要組織で人事刷新の動きが広がっている状況だが、両CEO共にエルドアン大統領の娘婿であるアルバイラク前財務相が任命した人事であり、アルバイラク氏が昨年11月に突然辞任したことに関連しての人事と思われる。この交代劇が昨年11月のトルコ中銀総裁と財務相交代による金融政策正常化への動きと合致したものになるのかどうかは不透明だ。これらCEOの交代劇もリラ売り要因になった可能性もあるだろう。
3月8日のイスタンブール100株価指数は前日比0.76%安と下落した。3月1日から5日まで5営業日連騰してきた後の調整安とみられるが、トルコ株式市場への影響も出てくるかもしれない。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、2月26日夜安値の後は14.20円を下値支持線とした持ち合いとなっていたが、持ち合いを下放れしたため3月5日早朝安値を直近のサイクルボトム、5日夜高値を同サイクルトップとして弱気サイクル入りしたと思われる。安値形成期は10日早朝から12日朝にかけての間と想定されるので14.20円を下回る推移のうちは一段安警戒を優先し、14.20円超えからは強気転換注意とするが強気サイクル入りは14.30円を超える反騰からとする。

60分足の一目均衡表では3月8日夜の下落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落した。このため先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。強気転換は先行スパンを上抜くところからとし、その際は遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は20ポイント台序盤まで低下し、その後も30ポイント台序盤にとどまっているのでまだ一段安余地ありとみる。強気転換には50ポイントを超える反騰が必要と思われる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、13.90円を下値支持線、14.20円を上値抵抗線とする。
(2)14.20円以下での推移中は一段安警戒とし、13.90円割れからは13.70円台後半への下落を想定する。13.75円以下は反騰注意とするが、14.10円以下での推移が続くうちは10日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)14.10円から14.20円にかけてのゾーンは戻り売りにつかまりやすいとみるが、14.20円超えから続伸の場合は反騰入りの可能性ありとみて14.30円台への上昇を想定する。また14.20円以上での推移なら10日も高値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

3月10日
 16:00 12月 失業率 (11月 12.9%、予想 14.0%)
3月11日
 16:00 1月 経常収支 (12月 -32.1億ドル、予想 16.2億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 3/5時点 (2/26 545億ドル)
3月12日
 16:00 1月 鉱工業生産 前年同月比 (12月 9.0%、予想 8.5%)
 16:00 1月 鉱工業生産 前月比 (12月 1.3%)
 16:00 1月 小売売上高 前年同月比 (12月 0.6%、予想 2.3%)
 16:00 1月 小売売上高 前月比 (12月 -4.2%、予想 3.4%)
3月15日
 17:00 2月 財政収支 (1月 -241.5億リラ)
3月18日
 20:00 トルコ中銀 政策金利 (現行 17.0%、予想 17.0%)


注:ポイント要約は編集部

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