トルコリラ円見通し 7日連続の日足陰線で11月からの上昇幅に対する3分の1を削る(21/3/1)

トルコリラ円は2月18日から26日まで7営業日連続の日足陰線で下落した。

トルコリラ円見通し 7日連続の日足陰線で11月からの上昇幅に対する3分の1を削る(21/3/1)

7日連続の日足陰線で11月からの上昇幅に対する3分の1を削る

〇トルコリラ円、2/18から26まで7営業日連続の日足陰線で下落
〇新興国通貨、アジア通貨等も26日に急落、金融市場全般が手仕舞いを急ぐ展開に
〇対ドルでも2/22から5日連続の日足陰線で急落し安値で7.48をつける
〇11/6からの上昇への一服感が出たところにドル全面高でリラ売り再燃
〇トルコ1月貿易収支は30億3000万ドルの赤字、市場予想下回り12月からはやや減少
〇今週は1日の10-12月期GDP、3日の2月物価上昇率の発表に注目
〇12月の上げ渋りから3か月、昨年3月暴落後の上昇も丸1年経過で大きな調整期に入るか
〇全般的なドル高株安基調続けば、安値更新から半値押しの13.64を目指す流れ

【概況】

トルコリラ円は2月16日に15.26円まで上昇して昨年11月6日以降の高値を更新したが、2月18日のトルコ中銀金融政策発表直後に同値まで戻したところでダブルトップ形成となり、2月18日当日から2月26日まで7営業日連続の日足陰線で下落した。2月25日は14.28円の安値からいったん戻して下ヒゲ陰線となっていたが、26日は14.16円まで安値を切り下げて25日の下ヒゲをつぶした。

為替市場は米長期債利回り上昇を気にしながらもドル安基調を継続して2月24日午前にポンドが昨年3月来最高値を更新、南アランドが2月24日夜に、豪ドルも2月25日夜へ高値を更新するなど株高同調でのリスクオン心理を優先した展開を続けてきた。しかし2月25日夜にNYダウが急落に転じ、26日も大幅続落して2日間で千ドルを超える下落規模となったことから為替市場も株安・米長期債利回り上昇によるリスク回避的な流れへと急旋回して主要通貨が急落した。新興国通貨、アジア通貨等も26日には急落となり、金融市場全般が手仕舞いを急ぐ展開となった。この流れに当面の買い材料を消化して下落し始めていたトルコリラも巻き込まれて下げ足を速めた印象だ。
対ドルでのトルコリラも2月16日に6.88リラまで高値を伸ばしてきたが、2月22日から26日にかけて5日連続の日足陰線で急落して安値では7.48リラを付けた。

トルコリラは昨年11月6日までは連日の史上最安値更新で独歩安となってきたが、11月7日の中銀総裁更迭から金融政策正常化への期待で持ち直し、新総裁下での二度の大幅利上げにより市場の信認を回復してからは為替市場全般のドル安基調に乗ってドル安リラ高で進み、またクロス円全般の上昇に乗ってトルコリラ円も上昇基調を継続してきた。
しかし二度の利上げ後は追加利上げが見送られ、当面のリラ買い材料も一巡したために上値が重くなり11月6日からの上昇への一服感が出てきたところだったが、ドル全面高へ向かったことでリラ売りも再燃した状況だ。

【コロナショックを引きずる貿易赤字、GDPと消費者物価に注目】

トルコ統計局が発表した1月の貿易収支は30億3000万ドルの赤字で市場予想の47億ドルの赤字ほどではなく、12月の45.3億ドルの赤字からはやや減少した。恒常的な貿易赤字国でありそれを観光収入が埋め合わせする構造なのだが、昨年の感染拡大第一波以降の貿易は低調であり、輸出入ともに秋からは改善傾向にあるが1月の輸出の伸びは前年比9.3%増で12月の12.2%増から鈍化、輸入は0.4%減で12月の8.9%増から悪化した。

トルコの製造業は持ち直し傾向にあるものの1月は欧州各国のロックダウンの影響もあって伸びきれなかったというところか。

7日連続の日足陰線で11月からの上昇幅に対する3分の1を削る

今週は3月1日夕刻に10-12月期のGDP、3月3日に2月の物価上昇率の発表がある。GDPの前年同期比は7-9月期の6.7%増から7.1%増へと上昇することが予想されているが、前期比では7-9月期の15.6%増から2.2%増へと鈍化することが予想されている。2月の消費者物価は前年同月比で15.39%へ上昇とみられ1月の14.97%から伸びると見込まれている。トルコリラ上昇によってもまだ物価上昇が収まらないと中銀も追加利上げを迫られることになりかねない。特に世界的な株安が進んで新興国通貨も下落が長引く情勢となれば物価上昇の継続感も強まりやすい。全般的な新興国通貨安が続く中でトルコ統計の弱さが出るようだとリラ売りも勢い付きかねないところと注意したい。

【40週サイクルの底打ち上昇も前回と同じ16週で一巡】

トルコリラ円は週足レベルにおいて概ね40週前後の周期で底打ちを繰り返してきた。この40週サイクルにおける底打ちは2018年8月13日底から39週目の2019年5月9日安値、36週目の2020年1月8日安値、44週目の2020年11月6日底と刻んできた。
2020年11月6日底からの上昇も2月16日高値までで数えて16週を経過したのだが、2018年8月13日底(通貨危機的暴落で付けた当時の史上最安値)からの反騰が2018年11月29日までの16週で一巡したことや、2014年1月27日底からの上昇も最終的には同年12月5日まで続いたものの16週目の同年5月14日高値から同年10月16日まで調整期につかまったことから、今回も同じく16週を経過して上値が重くなったために戻り一巡への警戒感も持つべきところと指摘してきたが、懸念が現実化した印象だ。

どの市場でも3か月も上昇すると買い材料を消化して下げやすくなるのは共通であり、主要通貨における昨年3月コロナショック以降の展開でも6月の急落調整、9月から10月末への下落、12月からの上げ渋り、そこから3か月経とうとする2月末にピークアウトしても不思議ないし、また昨年3月暴落後の上昇も丸1年を経過したのだからいったん大きな調整期に入っても不思議ないところだ。

【当面のポイント】

【当面のポイント】

昨年11月6日安値12.03円から2月16日高値15.26円までの上昇幅が3.23円。3分の1押しが14.18円で既に到達しており、半値押しが13.64円にある。また2月16日から2月26日への下げ幅に対する半値戻しが14.71円にある。
7日連続陰線での急落のため、突っ込み警戒感から戻す場合、半値戻しの14.71円前後が上値抵抗となりやすく、金融市場全般が株高ドル安へと流れを変え、トルコのGDP及び物価上昇率などの発表からリラ買い反応となるなら半値戻しを超えて15円台回復を目指す展開になる可能性があると思われる。
しかし、全般的なドル高株安基調が続くなら、安値更新から半値押しの13.64円を目指す流れへ進みやすいとみる。

【当面の主な予定】

3月1日
 16:00 10-12月期 GDP前期比 (7-9月期 15.6%、予想 2.2%)
 16:00 10-12月期 GDP前年同期比 (7-9月期 6.7%、予想 7.1%)
 16:00 2月 イスタンブール製造業PMI (1月 54.4、予想 53.6)
3月3日
 16:00 2月 消費者物価 前年同月比 (1月 14.97%、予想 15.39%)
 16:00 2月 消費者物価 前月比 (1月 1.68%、予想 0.7%)
 16:00 2月 生産者物価 前年同月比 (1月 26.16%、予想 27.1%)
 16:00 2月 消費者物価 前月比 (1月 2.66%、予想 1.2%)

3月4日
 20:30 週次 外貨準備高 2/26時点 (2/19時点 538.6億ドル
3月10日
 16:00 12月 失業率 (11月 12.9%、予想 14.0%)
3月11日
 16:00 1月 経常収支 (12月 -32.1億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 3/5時点 
3月12日
 16:00 1月 鉱工業生産 前年同月比 (12月 9.0%)
 16:00 1月 鉱工業生産 前月比 (12月 1.3%)
 16:00 1月 小売売上高 前年同月比 (12月 0.6%)
 16:00 1月 小売売上高 前月比 (12月 -4.2%)

注:ポイント要約は編集部

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