ドル円 目先の安値をつけ底堅い流れ(週報1月第2週)

先週のドル円は週前半こそドルの上値が重く103円台前半で上値を抑えられる中で、6日には102.59レベルの安値をつけました。

ドル円 目先の安値をつけ底堅い流れ(週報1月第2週)

目先の安値をつけ底堅い流れ

〇先週のドル円、水曜に102.59レベルの安値をつけるも金曜には一時104円台に乗せドル高に反転した
〇1月下旬のFOMCに向けて各地区連銀総裁の発言に注意
〇連邦議会への侵入事件でトランプ氏への責任が問われるなどまだひと騒ぎある可能性
〇今週は103.50レベルをサポートに長期レジスタンスの104.50レベルをレジスタンスとする

今週の週間見通し

先週のドル円は週前半こそドルの上値が重く103円台前半で上値を抑えられる中で、6日には102.59レベルの安値をつけました。しかし、昨年末よりも水準は下げたものの102円台後半でのドル買いも根強く、米国ジョージア州上院選決選投票で民主党が2議席とも取ったことから財政支出拡大を当初は米債売りの面でドル安としたものの、その後は長期金利上昇をドル高と捉える流れに転じ、金曜には一時104円台に乗せ短期的には安値をつけドル高に反転して引けた1月第1週となりました。

ただ、米金利上昇を素直にドル高と捉えてよいのかは疑問が残るところで、米国の財政赤字拡大が今後も着実に進むと考えると最初の反応だった米債売りによるドル安のほうがしっくりと来ます。また金曜に米国10年債利回りのターゲットについて「2019年11月の水準と2020年3月の水準の半値戻しにあたる1.184%をターゲットとしやすい」と書きましたが、その日のうちに1.126%にまで上昇し、かなりターゲットに近づいています。

まだ日程的にはかなり離れてはいるものの1月26・27日のFOMCに向けて長期金利の上昇を懸念する発言が出てくる可能性も高いため、今週以降の各地区連銀総裁の発言には注意したいところです。現状の長期金利上昇が続く場合にはFOMCで債券購入について何らかの変更が加えられる可能性もありそうです。日銀スタイル(長期債利回りも金融政策に含めるイールドカーブコントロール)の検討も一時されていましたので、仮に長期金利上昇に歯止めをかけるような発言が出てくる場合にはドル高も長続きはしないと見るべきでしょう。

また、トランプ大統領にも責任があるとされる連邦議会への侵入で死者が出た事件ですが、今日にも下院で大統領弾劾が決議されます。上院では出席議員の3分の2の賛成が必要なため、そこまでの共和党からの造反は出ないと見られますが、弾劾以外にも憲法上の職務停止や辞職を促す議論なども出ていて、20日のバイデン新大統領就任まで10日を切る中で時間切れとなる可能性は高いものの、まだ一騒ぎあるかもしれないという状況です。

しかし、連邦議会への侵入事件でトランプ大統領はSNSのアカウントも削除され、当初は4年後の選挙に再挑戦する流れも絶たれたように思えます。20日を過ぎれば一般人となるため、民主党がトランプ大統領の脱税等一連の疑惑捜査を進める可能性もあり、一気に過去の人となってしまうかもしれません。いずれにしても、しばらくはヘッドラインを騒がせるであろうことだけは間違いありませんし、仮に相場に影響を与えるとしたらドル売りにつながるのではないかと考えています。

次にテクニカルに考えましょう。日足チャートをご覧ください。

チャートは先週のドル安からドル高に反転した動きで11月高値からのレジスタンスライン(青)を上抜けてきました。そして7月高値からのレジスタンスライン(ピンク)は引き続き強いレジスタンスとなってくると考えられます。抜けたレジスタンスがサポートと考えられますので103.50レベルをサポートに、長期レジスタンスは104.50レベルに位置していますので同水準をレジスタンスとする週を見ておきます。

テクニカルには、今週はこれまでよりドル高でのもみあいとなりやすいのですが、材料的にはドル売りに反転する発言が出やすくなってきている点には注意しておきましょう。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定

(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2021年FOMCメンバー(ニューヨーク、シカゴ、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。

1月11日(月)
**:** 東京市場休場
10:30 中国12月CPI・PPI
16:00 トルコ11月経常収支
16:00 トルコ10月失業率
23:40 ラガルドECB総裁講演

1月12日(火)
08:00 (ダラス連銀総裁講演)
08:50 本邦11月貿易収支(国際収支)
09:01 英国12月小売売上高
28:00 (ボストン連銀総裁講演)

1月13日(水)
16:00 トルコ11月鉱工業生産
17:30 フランス中銀総裁講演
18:00 ラガルドECB総裁講演
19:00 ユーロ圏11月鉱工業生産
20:00 南ア11月小売売上高
22:30 米国12月CPI
24:30 週間原油在庫統計
28:00 ベージュブック
28:00 (フィラデルフィア連銀総裁講演)
30:45 NZ住宅建築許可件数

1月14日(木)
09:01 英国12月住宅価格
**:** 黒田日銀総裁挨拶、日銀地域経済報告
**:** 中国12月貿易収支
22:30 米国新規失業保険申請数
22:30 米国12月輸入物価
23:00 (ボストン連銀総裁講演)
25:00 アトランタ連銀総裁講演
26:30 パウエルFRB議長講演

1月15日(金)
16:00 英国11月貿易収支、鉱工業生産
16:45 フランス12月CPI
19:00 ユーロ圏11貿易収支
22:30 米国12月小売売上高、PPI
22:30 米国1月NY連銀製造業景況指数
23:15 米国12月鉱工業生産、設備稼働率
24:00 米国1月ミシガン大消費者信頼感速報値
24:00 米国11月企業在庫

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

1月4日(月)
新年初日の東京市場では首都圏の緊急事態宣言を懸念して株安と円高でのスタートとなりました。昼過ぎには12月最終週の安値を割り込み、欧州市場に入るとドル安の動きが対ユーロでも広がり一時102.70レベルの安値をつけました。しかし、相変わらず102円台後半でのドル買いも根強く自立反転する中でユーロの下げとともに朝方の水準に戻して引けました。

1月5日(火)
ドル円は前日海外市場でのドル買い戻しが一巡すると改めてドル売りの動きを再開し終日じりじりと水準を切り下げる動きとなりました。NYの昼前後には前日安値を下抜け102.61レベルの安値をつけ上値の重たいままで引けました。

1月6日(水)
ドル円は前日の流れを受けて朝方に102.59レベルの安値をつけましたがそこまで、その後はNY市場までは多少の上下を挟みながら緩やかに上昇する動きが続きました。NY市場では株高の動きからドル円、ユーロ円が上昇しNY昼前には103.44レベルの戻り高値をつけました。またジョージア州決選投票で2議席とも民主党が取る動きが見えてきたことで財政支出拡大による赤字拡大思惑が米債売りとドル売りの動きとなり、引けにかけては103円水準へと押して引けました。

1月7日(木)
ドル円は前日NY市場以降のドル売りの動きを絶好の押し目と捉えた買いが見られ、東京前場の株高も手伝って昼前には103.25レベルまでじり高となっていました。その後も全般的なドル買いが終日続きましたが、前日とは逆に米金利上昇をドル高要因として米国10年債利回りが1.088%まで上昇する中で、NY市場昼過ぎには株高とともに103.96レベルの高値をつけ高値圏でもみあいのまま引けました。

1月8日(金)
東京市場では前日の流れを受けドルが底堅い動きとなっていたもの3連休を控えて積極的な動きは見られませんでした。欧州市場序盤にユーロ売りの動きに沿ってドル円も104.08レベルの高値をつけ、その後は弱い米国雇用統計で一時103.60レベルまで下げたもののすぐに買い戻され104円近い水準の高値圏のもみあいのままで引けました。

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