トルコクーデター鎮圧、週明けトルコリラ反発へ

15日金曜日のニューヨーク時間遅く(日本時間16日早朝)に伝えられたトルコでの軍の一部によるクーデターの試みは、

トルコクーデター鎮圧、週明けトルコリラ反発へ

トルコクーデター鎮圧、週明けトルコリラ反発へ

金曜NYK市場終盤のクーデター報道にトルコ大幅下落のまま越週

15日金曜日のニューヨーク時間遅く(日本時間16日早朝)に伝えられたトルコでの軍の一部によるクーデターの試みは、一時は反乱勢力が「全権を掌握した」と発表するに至りました。しかし、約12時間を経過して日本時間16日午後5時ごろにはトルコ軍より「クーデターの試みは失敗に終わった」との情報が流れ反乱兵士が投降、失敗に終わりました。
トルコでは多数の市民を含む200名以上が死亡、クーデターに関与したとされる反乱派の将校兵士1,500人以上を含む3,000人近くの拘束者が出ているとのことです。

クーデター発生が伝えられたのは週末のニューヨーク時間終盤で、トルコリラは対ドルで2.8950レベルから一時今年1月21日来の安値である3.0504まで急落、対円は直前の36.50レベルから34.53と約2円下落し、それぞれ3.0157、34.775の安値圏で越週しています。
市場が終了したのがクーデター失敗が伝えられる前であったため、週明けにはトルコリラの急反発が予想されます。

週明けのトルコリラは薄い市場で荒い値動きに注意

一方で、月曜は本邦休日でマーケットが薄いうえトルコリラは元々流動性が低く、月曜もトルコ市場の開く時間帯までは売買幅が広がったり取引自体が成立しにくかったりする状況が予想されます。
為替取引ですので、銀行間ではトルコ市場オープン前に何らかの取引が成立する可能性は高いのですが、あくまで銀行間の話で特に個人の取引の場合、相場が薄い時間帯に無理に取引すると思わぬコストを支払うはめになりかねないので十分な注意が必要です。

トルコのクーデターのニュースでは、ドル円自体もリスクオフの流れで1円ほど下落しています。市場が薄いといってもドル円のような主要通貨は早朝から取引が正常に行われますので、トルコ円の売りポジションを買い戻す場合などは、場合によってはドル円とドルトルコに分解して、まずはドル円部分を買い戻したうえで、流動性と値動きを十分確認の上トルコリラの取引を行うことも検討すべきかと思います。

軍の弱体化とテロ活発化懸念、ロシアとの関係改善にも暗雲

今回のクーデターが短時間に未遂で終わったことはもちろんトルコの経済にとっては良いことですが、これまでも国内のクルド人勢力との武力対立、ISのテロ等国内の情勢に不安があったものを強力な軍事力で押さえつけてきたエルドアン大統領が頼みの綱の軍の内部反乱を抑えられなかったことの打撃は小さくありません。
報道ではクーデターは軍の一部の非主流派による反乱との見方が次第に強まっているようですが、拘束されている人数から見ても、また、当初かなり組織的にメディア、空港などを占拠したことを見ても、相応の規模と深さでの軍の関与が想像されます。

今後調べが進むにつれ粛清等の動きによる軍の内部分裂、弱体化は避けられないものと見られ、クルド系のテロやISの活動活発化が懸念されます。
観光等の産業への打撃、海外からの投資の減少等の影響は避けられないでしょう。

さらに、シリアの空爆をめぐって対立のあるロシアは今回即座に現政権を支持する姿勢を表明しなかった等、一部で外交上も遺恨を残した形です。

短時間のトルコリラ回復は困難、中期では経済回復期待も

これらの状況から週明けトルコリラの反発も短時間での金曜下落前の水準への回復は難しいのではないかと思われます。

一方で機を見るに敏なエルドアン大統領がこの機会を見逃すとも思えず、今回の国民の支持を背景に反対派の粛清を進め、一気に大統領権限の強化を図る動きに出るでしょう。
経済重視のエルドアン大統領のことですから、中期的には一層の強権発動でトルコ経済にはプラスとなる可能性があります。

エルドアン大統領の「民主主義の勝利」

それにしてもこのところ、中銀の独立性が危ぶまれるほどの度重なる利上げ圧力、憲法改正による大統領権限の拡大への意欲、それに反対したダウトオール首相の解任とあまり民主的とは思えない言動の目立つエルドアン大統領に対するクーデターの失敗が「民主主義の勝利」「民主主義の成熟」と報道されるのは皮肉なことです。

もちろん民主主義的方法で選ばれた大統領を超法規的な手段で倒そうとした試みが挫かれたわけですし、伝えられるところでは元々エルドアン派に近い勢力による権力闘争のようでもあり、表現に間違いはないのですが・・・。

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