トルコリラ円見通し 再び10月31日以降の持ち合い放れに挑戦するか(19/12/2)

12月2日午前は、早朝に18.95円へいったん反落して開始したものの早々に19円台を回復して19.05円まで上昇してきている。

トルコリラ円見通し 再び10月31日以降の持ち合い放れに挑戦するか(19/12/2)

【概況】

トルコリラ円は11月21日夜高値19.07円で10月31日未明高値19.08円に迫ったものの高値更新へ進めず、その後は下落基調につかまって11月25日朝安値で18.92円へ下落、戻り高値が切り下がりながら11月27日深夜には18.87円まで続落した。しかしその後はドル高が一服する中でドル/トルコリラでドル安リラ高となり、ドル円も11月29日夜には109.66円をつけて8月26日以降の高値を更新する円安となったため、それら相乗効果で11月27日深夜安値から出直りに入り、29日深夜には19.04円まで切り返した。
12月2日午前は、ドル円が11月29日夜高値を超えて円安で開始したため、早朝に18.95円へいったん反落して開始したものの早々に19円台を回復して19.05円まで上昇してきている。

10月後半からは18.80円前後までを下値支持線とし、19円台へ乗せても維持しきれない持ち合い相場が続いてきた。その中でも11月15日安値18.77円から11月21日へ戻し、10月31日高値に迫ったところでは、高値更新ならダブルトップ破りを伴っての持ち合い上放れへ進む可能性があった。しかしその時はいったん仕切り直しとなって11月27日深夜への下落となった。
11月27日深夜安値から29日夜、さらに週明け12月2日午前へ切り返してきたことでもう一度持ち合い放れ、ダブルトップ型で終わっていたところへの再挑戦に入っている印象だ。
10月31日高値を超えないか、わずかに超えても19円割れから失速する様なら持ち合いの継続となり、11月27日深夜安値割れからは持ち合い下限試し、さらに持ち合い下放れへ転じる可能性も抱えているが、19円割れを切り返して11月27日深夜安値割れに至らなうちは、持ち合い上放れの可能性ありと考えたいところだ。

【貿易赤字は縮小だが伸びは冴えない。中銀の利下げ姿勢はどうなるか】

【貿易赤字は縮小だが伸びは冴えない。中銀の利下げ姿勢はどうなるか】

10月のトルコ貿易収支は18.1億ドルの赤字だったが、9月の20.7億ドルからは縮小した。最近の赤字ピークは7月の32.16億ドルであり、その後は改善傾向が見られる。ただし、10月の輸出伸び率は前年同月比でマイナス0.3%、輸入がマイナス4.5%とさえない。特に輸出の伸び率は2か月連続で前年を下回っているが、直近の1年間でも6か月がマイナスで、輸入の伸び率も同様に直近1年間で5か月がマイナスとなっている。
トルコ経済は通貨危機的な状況を脱却し、トルコ中銀も大幅利下げを続けて落ち着きを見せているが、まだまだ足腰の弱さも残っている印象だ。


トルコ中銀は12月12日に金融政策決定会合を開催する。米連銀のFOMCが12月10日から11日であり、12日当日はECB理事会もある。
トルコ中銀は7月25日に1週間物レポ金利を4.25%引き下げて19.75%とし、3年振りの大幅な利下げに入った。9月12日には3.25%引き下げて16.5%とした。さらに10月24日には2.5%引き下げて14.00%とした。

トルコ中銀のウイサル総裁は7月に就任してからの3回の政策決定でいずれも市場の予想を上回る大幅利下げを実施してきた。トルコリラの危機的な下落やパニック的なインフレが落ち着き、経済情勢も持ち直しに入ってきたことや、中東情勢及び米国との対立も未解決ではあるが喫緊の危機状況を脱していることが利下げを可能としている。またエルドアン大統領からの中銀への利下げ圧力を忖度したものともいえる。
12月12日の金融政策会合では、3回連続の大幅利下げの後として現状維持の予想ではあるが、12月2日のトルコGDP、12月3日の消費者物価及び生産者物価動向次第では4回目の利下げとなる可能性もあるかもしれない。利下げは一般的には通貨安要因となるが、不安定な状況からの脱却として利下げが可能となっていることにより却ってトルコリラ上昇に寄与する側面もある。

【4か月サイクルのピーク期】

トルコリラ円は2018年8月暴落から出直った後は、2018年11月29日、2019年3月27日、同年7月31日と概ね4か月周期で戻り高値をつけてきた。一方で昨年8月暴落直後の8月30日安値からは2019年1月3日、同年5月9日、同年8月26日とこれも概ね4か月毎に底をつけてきた。
現状はこの4か月周期の前回高値7月31日から4か月を経過したところにある。また10月末からは18.80円前後から19円台序盤までの狭いレンジでの横ばい続きであり、相場の値動きの煮詰まりによるストレスもかなり貯まった状況にある。
10月31日高値を超えて続伸なら持ち合い上放れでさらに上昇基調を継続してゆく可能性もあるが、高値更新に失敗するか、わずかに超えてから急落に転じる場合は、この4か月周期での戻り高値をつけての下落期入りとなり、年末年始にかけての下落局面に入る可能性が出てくる点に注意したい。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、11月21日夜と25日夕の両高値をダブルトップとして弱気サイクル入りしてきたが、27日深夜安値からの反騰で28日夜には戻り高値切り下がりパターンから脱却してきたため、29日午前時点では27日深夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとし、11月28日夕刻から12月3日午後にかけての間への上昇を想定した。12月2日朝にいったん反落したものの切り返しているのでまだ上昇余地ありとするが、12月2日朝安値を割り込むところからは弱気サイクル入りとして次のボトム形成期となる12月2日夜から4日深夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では28日夜の上昇で遅行スパンが好転し、深夜への続伸で先行スパンも上抜いたが、その後も両スパン好転を維持しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とする。ただし反落注意期にも入っているので遅行スパン悪化からは下げ再開として先行スパン下限試しとし、さらに先行スパンから転落する可能性にも注意する。

60分足の相対力指数は29日夕刻の上昇時に70ポイント台後半となり、12月2日朝の反落で50ポイントまで下げてから再び切り返している。相場が高値更新しても指数のピークが切り下がる弱気逆行となりやすい推移となっているため、60ポイント割れを切り返す内は上昇余地ありとするが、50ポイント割れからは下げ再開とみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、19.00円、次いで12月2日朝安値18.95円を下値支持線、11月21日高値19.07円を上値抵抗線とみる。
(2)19円を上回るか、一時的に割り込んでも切り返す内は上昇余地ありとし、11月21日高値超えからは19.10円前後試しを想定するが、19.05円以上は反落警戒圏とみる。
(3)19円割れを切り返せなくなる場合は12月2日朝安値試しとし、安値更新からは弱気サイクル入りとみて11月27日深夜安値18.87円試しへ向かう流れとみる。18.88円以下は反発注意とするが、18.93円以下での推移なら週明けも安値試しを続けやすいとみる。

【当面の主な経済指標等の予定】

12月02日
 16:00 7-9月期GDP 前年同期比(前期 -1.5%)
 16:00 7-9月期GDP 前期比(前期 +1.2%)
 16:00 11月製造業PMI (10月 49.0)
12月03日
 16:00 11月消費者物価指数 前年同月比 (10月 8.55%)
 16:00 11月消費者物価指数 前月比 (10月 2.00%)
 16:00 11月生産者物価指数 前年同月比 (10月 1.7%)
 16:00 11月生産者物価指数 前月比 (10月 0.17%)
12月11日
 16:00 10月経常収支 (9月 24.8億ドル)
12月12日
 20:00 トルコ中銀 政策金利 (現行 14.00%)
12月13日
 16:00 10月鉱工業生産 前年同月比 (9月 3.4%)

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